FC2 Blog Ranking 前川弁護士blog
FC2ブログ
前川弁護士blog
弁護士の日常を書いております
フリーエリア

Facebookのアカウントです。ファンページもあります。

プロフィール

 前川 直輝

Author: 前川 直輝
最終学歴 京都大学法学部
司法修習 54期
カリフォルニア州弁護士
Maekawa国際法律事務所・代表弁護士
https://maelaw.jp/

最近の記事

最近のコメント

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

February 2019 - Q2 - Torts
2019年2月試験のEssayのうち第2問を見てみました。
7月以降の受験を検討されていて、この問題を後でやりたい方は読み飛ばしてください。
また、先の投稿でも記載したとおり、試験委員会の模範答案を見る前ですから、正確性には欠ける可能性があることをご了承ください。

さて、Essayの取り組み方の基本ですが、
1. 一番最後の問い(CALL)の部分を読む
 問いに答えることが目標です。問題文に何が書いてあろうが、とにかく質問されていることにダイレクトに答えます。
 これが出来ていない答案がかなりあります。
 また、出題科目を確認することができますし、記載の仕方によって出題意図が推し量れたり、小問に分かれている場合は時間配分にも気をつけることになります。
2. 問題文をざっと読んでイメージを作る
 具体的な場面を想像することが大切です。いきなり論点に入りたいとは思うのですが、出題意図とか、結論の方向性(どちらを勝たせるか)については、一般常識や普通の感覚が大切だと思います。具体的なイメージを持つことで、Factも記憶に残りやすくなるでしょう。
3. 問題文を注意深く読んで、思いついたことをメモしておく
 Issue・論点は思いついたら兎に角書いておきます。日本の試験だと、これは関係ないだろう、といった”判断”が挟まり、必要最小限のことを書こうとしがちです。しかし、これは日本の試験が減点をするからで、カリフォルニア州司法試験は余事記載のペナルティが一切ありません(採点者の主観や印象は別ですが)。模範答案の中にも、まるで関係がない議論をしているものがたくさん見られます。
 兎に角忘れないように、メモをしましょう。試験ですから、過去問の傾向から頻出論点ですとか、科目ごとのコツのようなものはありますから、キーワードを見落とさないことです。また、大抵の場合、人の言葉の引用は、とても大切で、いろんな論点が示唆されたり、分析が必要になります。
4. 答案構成をする(紙に書くか、ラップトップにいきなり打ち込むか)
 答案構成は配布されるスクラッチペーパーにするべきだ、パソコンがフリーズしたらどうするんだ、というアドバイスが一般的です。確かに、私の受験経験でも、隣席の受験生のPCに不具合が出て、Handwritingに切り替えたのを何度か見ていますから、リスクヘッジとして大切な視点だと思います。
 ただし、限られた時間で準備をするというのに、手書き答案の練習をする余裕があるか、また、紙に答案構成をして、それをパソコンで打ち直す手間を二重にかける余裕があるか、は考える必要があります。
 私は最後まで、時間内に仕上げることに困難がありました。1秒でも時間が惜しかったので、PCフリーズはリスクとして許容した上で、パソコンに打ち込んでいました。これは意見が分かれるでしょうが、試験でフリーズしにくいようにパソコンを管理したり、そもそもエラーが出にくいと思われるMacを使うとか、リスクを極小化することに注力したつもりです。
5. 以上の過程を必ず1時間で終える。
 Essayは1問を必ず1時間でやり終えることです。雪だるま効果とはよくいったもので、5分位いいだろうと思ったら、またたく間に2問目、3問目と時間が押してしまいます。どの問題も等しく点数が割り振られており、どれか1科目で大きく落ち込むと回復が難しいですから、よほどの戦略がない限り、1問1時間を厳守できるようにしましょう。
 とはいえ、それでも私は最後の受験時でも10分くらいはみ出て3問目をやっていました。その場合でも要領よく対応できる準備はしました。本番では何があっても焦らないような準備も必要でしょう。

 さて、早速CALLを読みましょう。

Bob and Carol filed a lawsuit against Dan to recover for their injuries.
1. What claims may Carol reasonably raise against Dan, what arguments may Dan reasonably make, and what is the likely outcome? Discuss.
2. What claims may Bob reasonably raise against Dan, what arguments may Dan reasonably make, and what is the likely outcome? Discuss


 Claimとあり、Injuriesとありますから、Torts・不法行為法かなぁとある程度想像がつきます。Crimeではないし、Procedureを問う科目でもない。登場人物も会社はなくて個人ばかりのようですから、Corporateとかは関係なさそうです。Partnershipは関係あるかもですが、Injuriesですからおそらく身体傷害による不法行為でしょうね。
 問題は2つに分かれています。いずれも被告はDanで、原告はCarolとBobで異なります。Bobは普通男性、Carolは女性ですから、夫婦か、恋人か、きょうだいか何かの関係があるのかな、とも想像しておきます。
 Tortsだと想定できた場合、Intentional Torts, Negligence、Strict Liabilityなど項目を落とさないようにメモ書きしておくのも良いです。なぜなら、Claim"s"とあるように、どれだけClaim(請求原因)を立てることができるかが勝負なので、論点を落とさないようなチェックリストのようなものを用意しておく必要があるからです。問題文を読み出すと、個別論点や思い込みに集中してしまって、広い視野で漏れがないかチェックできなくなりがちです。
 問題文に忠実にいうと、原告のClaims、これらに対する被告の”Arguments”、かならずLikely outcomeを書いて結論付けることが大切です。なお、従来はDefensesと書かれることが多かったですが、厳密な意味での抗弁以外にも、Claimsが成り立つかどうか要件該当するかどうかの分析での反論もありうるからか、Argumentsという言い方になっているのでしょう。
 出題意図との兼ね合いで重要なのですが、必ず小問は相互に比較する視点が試されます。CarolとBobとで、何かが違います。その違いは、多くの場合、同じIssueで違う分析・結論を導くことになります。何か比較するぞという意識を持つと、出題意図=比較的多く書くべき箇所、あるいは思いつくべき主要論点を落とさないで済みます。
 私は”COMPARE”とか”比べる”と問題文の一番上に書き込んでいました。

 第1段落を見ましょう。

Dan, a dog breeder, had some eight-week-old puppies to sell. Bob and Carol went to his house to look at them. Dan invited them into the living room where the puppies were located and said, “Whatever you do, don’t go into the room at the end of the hall.”
As they were examining the puppies, the largest puppy, without warning, gave Carol a nasty bite on her hand. Dan told Bob to go to the bathroom near the end of the hall to retrieve some bandages.


 1文目で、Danは犬のブリーダー、Bob/Carolはお客さんらしいと分かります。犬に病気があったか、噛まれたか逃げたか、何かトラブルが起きたかなと予想します。”eight-week-old puppies”とありますが、これも見逃してはいけません。8週目くらいの子犬とあります。まだしつけもできていないでしょうし、歯も生え揃っているのかどうか。可愛いから触りたくもなるでしょうね。ただし、物理的に小さいかどうかは書いていません。また”Some”とありますから、何匹かいるので、選びにいくのかなとも想像がつくでしょう。
 Danは、子犬がいるリビングに案内をし、「何をしてもいいけれど、ホール(廊下)の端にある部屋には入らないように」と注意します。何か危ないものがあるのでしょうね。ただ、端っこの部屋と言われて、おそらく初訪問のゲストがわかるでしょうか。また入るなとは言われたものの、何故なのかも説明がないですから、言われた側もあまり印象に残らないかもしれません。
 次の文章で、キャロルは犬に手を噛まれてしまいます。細かいところも注意深く書かれています。”Nasty bite"とあるから、子犬の甘噛みじゃないよということです。また、Without warningとあるから、全く予期できなかった=よくあるケース、犬を激昂させるようなアクションもなく、被害者側に噛まれたこと自体に過失がないということが明確だと思います。
 DanはBobに、廊下の端っこにあるバスルームに向かい、包帯を取ってきてくれと言います。あれ、さっきは廊下の端っこの部屋には入るなと警告したはずです。何か起こりそうな予感です。間違いやすい指示をしていますし、先程の警告を無意味にするような言い方になっていますね。

 Tortsの定石ですが、動物が出てきたらAnimalに対する典型論点はフォローします。Wild animalに対するStrict Liabilityがありますし、飼っている動物domestic animalについても原則Strict Liabilityはないですが、飼い主が動物の危険性を知っていて、それがその種類で異質な危険であれば、例外的に無過失責任を負います。それ以外は一般の過失責任ですから、その動物を飼っている一般的な人/reasonable prudent personを想定して、どういう注意義務があるかを検討するべきです。普通ならこういうことをすべきだ、という基準を考えて定めることがNegligenceの要点です。子犬のブリーダーとしてどういう注意をすべきだったでしょうか。
 また、Tortsの典型論点として、不動産の所有者の特別な義務があります。MBEでも頻出ですが、不動産オーナーがTrespasser(不法侵入者。これは発見可能な場合と、そうでない場合とで分かれますね)、Licensee(オーナーの許諾を得て、ビジネス以外で立ち入る人。隠れた危険で、オーナーが知っていたものについては保護する責任があります)、Invitee(商用目的で立ち入る人、その他公に開かれた場所に立ち入る人)の3種類に分かれます。
 今回は、子犬のブリーダーが、その客を招き入れていますから、Inviteeですので、隠れた危険で、事前に知り又は知っておくべきものから守る必要があります。Danは子犬をリビングに放し飼いにしているところ、子犬が突然に客の手を噛むというのは、Inviteeにとっては隠された危険ですし、飼い主は知っておくべきことでしょう。ただ、”the largest puppy"とありますから、大きい子犬を見るときは注意すべきことがInvitee=Carolにもわかったはずだ、ともいえます。いずれの可能性もあるでしょう。
 さらに、Carolが包帯が必要なくらいの怪我をしています。Batteryは問題になるでしょう。少なくとも現地学生は取り上げる可能性があります。もちろん、Danにこの時点でIntentを認めるのは少々厳しいようにも思いますが、MBEでもやるように、BatteryはGeneral Intent Crimeですから、"harmful or offensive conduct to plaintiff's person with both intent and causation”というルールに、子犬をおそらく放し飼いしているリビングルームに他人を通すという行為が当てはまるかどうかです。Batteryは具体的なDamagesを必要としませんから、噛まれたこと自体で成立しうるところです。
 あと、想像力をたくましくすれば、あれ、包帯はいいけれど、動物に噛まれたのに消毒しなくていいのか?と疑問が湧いてもいいですね。そうやって予測して読むと、次の段落にスムーズに入れます。
 加えて、この時点では微妙ですが、Carolが噛まれたときにBobが隣にいました。BystanderであるBobにも責任が発生するかは頭をかすめます。Intentional / Negligent Infliction of Emotional Distressですね。ただし、奇妙なことに、BobとCarolがどういう関係にあるのか記載がありません。Bystanderが直接の被害者が被害にあうのを目にして精神的苦痛を受けるケースでは、原則としてFamily memberであることと、それを被告が認識している必要があります。あとで出てくる最後の怪我のシチュエーションと違い、ここではBobがどういう感情にあったかの描写もなく、Donに包帯取ってきてくれと頼まれて終わっていますから、あえて取り上げなくてもいいでしょう(それでなくとも、本問は論点がたくさんあります)。

 実は、私の仕事ではTortsが主力分野の一つなのですが、試験科目としては少し苦手意識がありました。論点がたいていたくさんあるし、日本法弁護士の感覚ではかなりリモートな議論をさせられるからです。ただ、よく考えれば、故意責任、無過失責任、過失責任を順に検討し、過失責任では、Negligenceの一般論とSpecial dutyの論点とに分かれ、前者では同じ状況にあるReasonable prudent personの基準をどう設定するか、Special dutyはどういうFactがあれば思いつく必要があるか(今回なら、犬=動物=Animal、Went to his house=建物=Property owner against Invitee)を整理すれば、漏れはないと思います。

 第2段落を見ましょう。

Forgetting Dan’s earlier admonition, Bob opened the door at the end of the hall, thinking it was the bathroom, and entered a darkened room where Dan kept an enormous pet chimpanzee. The chimpanzee jumped between Bob and the door, beat its chest and made menacing hoots. Frightened, Bob stood still.


 Bobは廊下の端っこにある部屋のドアを開けてしまいます。いきなり”Forgetting”とありますからBobが不注意だった可能性はありますが、それでComarative negligenceが問えるかどうか。なお、Admonitionという単語は難易度高いですが、その前に”Forgetting Dan's earlier"とあり、その後は端っこの部屋のドアを開けたというのですから、注意とか警告とか、そういう意味だろうと推測はできますね。英語力の限界は母語者でなければどこまでもあるわけですが、心配しなくても、文脈から推知可能なので焦らないことです。
 thinking it was the bathroomとあるので、Mistake of factがかってに思いつきます。関係があるかどうかはさておきます。Bobが入ったのは”Darkened"暗くなった部屋で、そこには”Enoumous"巨大なチンパンジーがいました。ここでもAnimalが出てきましたね。今度は大きなチンパンジーですから、Wild animalの論点が全面に展開されます。”Pet"と書かれていますから、DanがDomesticだと言いたくなるかもしれませんが、Enormousと形容されていますし、その後の展開にあるように、動物の性質として危険性が高いですから、Strict Liabilityの問題が発生するといって良いでしょう。暗いというのは、中に入ってみないと何の部屋か分からない状態だということかと思います。また、チンパンジーにとっても刺激を与える状態であったともいえるでしょうね。
 チンパンジーは、ボブとドアの間にジャンプして入って、胸を叩き、威嚇する鳴き声を出します。Menacing hootと言われても私は正確な日本語が浮かびませんでしたが、チンパンジーが胸をたたき鳴らしたというのと、その後の文章でボブが怖くて立っていたというから、威嚇されるなり、大声をあげられたのだろうと理解しました。それで十分です。チンパンジーは動物の中では知的能力が高いですが、いきなり怒り出したのはやはり暗い部屋で静かにいるのにドアが自由に開くようになっていたことや、開けた人が中に入ってくる=距離を詰めてくるような状態になっていたことが原因だと思いますね。
 Bobは怖くて立ち尽くしてしまいます。Frightenedとあるので、Emotional Distressを想起します。IIEDとNIEDとがあり、DanはBobにバスルームに行ってくれと伝えただけですが、その行為が結果として上記のような事態を生んでいるので、Intentとしては十分ともいえます。
 Danの反論としては、いやBobが警告を忘れていたじゃないかとか、Bathroomと間違えて部屋に入ったじゃないかといいたいでしょう。しかし、前者は、警告をしたタイミングが十分であったのかの問題がありますし、警告だけで足りたのか、そもそもチンパンジーを飼っている部屋は施錠しておくべきじゃないのか、ドアの外に注意表示すべきでなかったのかという議論があり、そちらのほうが強いでしょう。後者についても、おそらくはじめて立ち入った建物で、包帯とってこいと言われ、指示も十分でないのに、自由に出入りできる部屋のドアを開けてしまい、しかも中が暗くで入ってみないと何の部屋かわからないということ自体は、よくある話でしょう。Causationは否定されないし、Comparative negligenceというのも難しそうです。
 もう一つ重要なのは、”Bob stood still.”とあることです。固まって動けなくなってしまったわけです。この状況は、False Imprisonment(監禁)を想起できます。MBEでも良く出てきますが、拘束の時間の長短は問いませんし、合理的な方法で逃げられない状況で、一定の場所で自由を奪われれば十分です。今回も該当することになるでしょう。Intentionalといえるかは悩むところですが、部屋の施錠もせず暗いところで巨大なチンパンジーを買っておいて、廊下の向こうのバスルームに行ってきてと言われたら、かなりの確率で扉を開けてしまう、そういう全体的な指示から自由の制限までの流れは、その行為をすることの認識=Intentを否定できないのではないでしょうか。あまり結論で悩んではいけません。ここはどのみち否定されても、Negligentだという結論は動かないですから、Bobに不利益はありません。
 Danにしてみれば、結局Bobは自力で脱出できているじゃないか、と反論したくなるでしょう。しかし、脱出したときに深い傷を負わされていますから、No reasonable means to escapeとはいえるでしょう。怖くて逃げられない状態に陥らせたら、それで十分監禁にあたるといえます。

 第3段落を見ましょう。

In attending to Carol’s bite, Dan mistakenly grabbed a bottle of heavy-duty solvent, thinking it was a bottle of antiseptic. When Dan rubbed its contents into Carol’s wound, she began to scream and shout in pain. Hearing Carol’s cries, Bob barged past the chimpanzee, which gave him a deep gash to his head as he passed. Shaken and sore from their injuries, Bob and Carol fled Dan’s house.


 Danはantipaseticと間違って、heavy-duty solventのボトルを手にとってしまいます。そして、Carolの傷に内容物を塗り込み、彼女は痛くて泣き叫んでしまいます。ボトルが何と何を間違えたのか、これもイメージつかみにくいですけれど、先に想像したとおり、DanはBobに包帯を取りに行かせつつ、消毒したのだろうと想像はつきますね。そして、消毒じゃなくて、業務用の傷に塗ってはいけない何かを塗りつけてしまったこともわかります。答案を書く上ではそれで十分です。
 消毒剤と業務用溶融剤を、取り違えるような場所で一緒に保管しているのは過失が大きいでしょう。また、ボトルを手にとったときにも、ラベルとか色で、気がつくでしょう。Negligentだといえますし、そもそも人に危険な化学物質を塗り込んでいるのですから、Batteryが成立するでしょう。
 さらに、Heavy-duty solventを体に塗りつけるなんて、Ultra hazardous activityじゃないかともいえるかもしれません。少し議論としては遠いですが、少なくとも思いついても良いと思います。
 Danは、いやMistake of factだと言いたいでしょうし、Carolを助けようとしただけだとも言いたいでしょう。ただ、BatteryのDefenseにはならないでしょうし、これを上回る程度の大きな過失(消毒液は、薬の棚に並べておくべきですよね)があるので、十分強い反論とはいえなさそうです。
 Danは、Carolを介抱するためで、Consentがあったとも言うでしょうが、同意の範囲がDanの勘違い行動まで包摂するといえるか、なかなか難しそうです。

 BobはCarolの悲鳴を聞いて、チンパンジーを押しのけて部屋を出るわけですが、そこで頭に深いキズを負うことになります。ここでもBobに対するBatteryが発生しそうです。また、Bobにも同じように、Inviteeに対するProperty ownerとしてのDutyがありますから、Negligentだといえるでしょう。
 Danは、Bobが無理してチンパンジーをどけようとするからだ、自分を呼んでくれたらいいのに、というでしょう。被害者の行動自体が因果関係を切断するという趣旨で反論できるでしょうが、チンパンジーの部屋に入ってしまってドアの前に立たれたら慌てて出ようとすること自体、Forseeable だと十分言えるので、Causationは否定できないでしょう。Carolの悲鳴を聞いて、登場人物の中で唯一の女性で、同行者ですから、悲鳴であわてて出ようとすることも、当然予想がつきますし、それはDanが間違って消毒液じゃないものを塗り込んだからですから、Causationは否定されないでしょう。
 結局、BobとCarolは、怪我で震えて痛くなって、Danの家から逃げ帰ります。それぞれに対するEmotional Distressはここでも確認されます。注意すべきは、shaken and sore from "their" injuriesとある点です。BobはCarolの手の怪我を見ていますが、CarolもBobがチンパンジーに頭に深い傷を付けられた姿を見て、怖くて痛くて逃げ帰ったわけですから、BystanderとしてTortsが成立する可能性があるでしょう。
 
 
 さて、ここまで読んできて、あらためて最終CALLを読むと、”filed a lawsuit against Dan to recover for their injuries”とあり、Injuries=Carolは手の怪我、Bobは頭の怪我について議論を絞るべきようにも受け取られます。それが正しいとすると、IIED・NIEDを外すことができます。

1. Carolについて
 Battery;
  Puppy's nasty bite
   =Assumption of risk(子犬を選びに来て触りに行っている?)
  Rubbing the contents of a bottle of heavy-duty solvent
   =Mistake of fact? Consent?
 Negligence:Property owner's special duty for a business invitee
  Duty to warn all of the hazards discoverable to the owner
   =子犬が噛むのはInviteeにとって予想できない話?Nasty biteまでは想定できなかったのでは?それくらいは生まれて8週にもなっていたら飼い主として理解しておくべきでは?
 Negligence:Domestic Animal owner's duty
  Dangerous propensity & uncommon among the species=子犬としてそんな怪我をさせるような噛み方をするのは普通じゃないのでは?
 Strict Liability: No

2. Bobについて
 False imprisonment;チンパンジーの部屋に閉じ込めたといえるか?
  =No reasonable means to escape
  =Causation:Bobが逃げるときに負った怪我に関連性ある?
 Strict Liability: Wild Animal
  =Causation:Bobが逃げようとした?>Carolが泣き叫んだのはDonの行動によるもので、それを聞いたBobが慌てて部屋を出ることは想定できることでは?
 Negligence: Property owner's special duty for a business invitee
  Duty to warn: ”Don't go into the room at the end of the hall"で十分か?★カギカッコの言葉は十分に分析する必要がある。
  チンパンジーを飼ってはいけない or 飼うなら施錠すべき+注意表示をするのが普通ではないか?

 これで十分かどうかは自信がないですが、私が書くとしても1時間でいっぱいいっぱいだろうと思います。これに加えて、やはりFrightenedとかShakenとか出てきますから、Emotional Distressの議論を捨てるのは躊躇します。そうでないと、特に最後のDanの家を出たところの文章があまり意味をなさないことになってしまいます。時間に限りがあるから、Carol、Bobそれぞれに自分の怪我に関するEmotional Distressと、可能ならBystanderとしての被害の論点に一言触れておければ、加点事由でしょうね。

 現時点で、どこまで書けたら合格ライン=スコア65かは判断が難しいです。なぜなら、試験委員会としては出題のときに模範正答を想定しているのですが、実際は、受験生の答案を一通り見て、みなで集まって何にどこまで配点するか基準を作ってから、実際の採点に入るからです。
 Tortsの場合は、まずは論点を広く拾うことが必要であると思います。その意味で、問題文に典型論点のトリガーワードが散りばめられていますから、CarolとBobでClaimは2つずつ、Bobは特にWild Animalの論点がヒットするので3つが望ましいです。その上で、Donの反論として、子犬を自分たちで見に来ていること、最初に注意喚起したことの2つをきちんと取り上げることが必要でしょう。

 冒頭のTIPSにならって出題意図を推し量ると、同じ論点・同じ種類の事実で、CarolとBobを比較することが重要でしょう。
 第1に、両者ともDonの建物に招き入れられたInviteeですが、彼ら2人に対するDonのDuty to careの内容は違うこと。第2に、両者とも動物に被害を受けているが、その内容に違いが出るか。
 簡単に整理すると、Carolはリビングルームの子犬、Bobは廊下の奥の暗い部屋にいるチンパンジーですから、場所と動物の種類で区別できます。Danが注意したのは廊下の奥の部屋のことだけですから、どちらかというとBobの2問目のほうが長くなりそうです。それらのコントラストを付けることができれば、加点事由です。私がスコアを取る上で使っていたのは例えば、”Unlike Carol”とか”Different from Carol's claim”というような一言です。これが加点につながるのは、不合格時に良いスコアが取れている答案で確認ができると思っています。

 もう一つ、小問1・2と多くのClaimのRuleが重複しますね。これはたとえラップトップで受験していたとしても、ペーストするよりも、Issueの名前は例えば”Property owner's duty to care for Invitee"と揃えた上で、See rule aboveと略記することが勧められています(Graderだった人のビデオか何かを見ました)。これによって時間の節約もできますし、Issueの配点の最低限はゲットでき、Analysisに時間を多く割けます。

 答案構成をしたら、あとは書くわけですが、時間配分をきちんとします。それぞれの時間は、決めたら必ず守り、次の論点に行くことです。ここは紙である程度ラフに数字を記載しておくことでしょう。コツとして、
▼IRAC(Issue-Rule-Application-Conclusion)のルールを守ること
▼ただしIssueはヘッダーをつければ十分で(例えば、Batteryとか、False imprisonmentというタイトルを書いて、次の行でBattery requiresとルールを書けば十分)、文章で”The issue here is"と書かなくてよいこと
▼必ずIssueごとのConclusionを先に書くこと(途中答案じゃないことをアピール)+Callにあわせること(Therefore, Bob is likely to prevail)

 さて、長々書いてきましたが、問題文をこんなふうに読んで見ましょう、論点を抽出してみましょう、という一つの提案として見ていただければ良いと思います。全く外れて話にならない、ということはないかと思います。
 このTortの問題は、論点自体、想定できないような珍しいものはないように思います。その意味で難易度が高いとまではいえません。ただし、いわゆるRace Horseと呼ばれる、多論点で時間に限りがある問題だと思う(Tortsは特にその傾向が強い)ので、どこまで整理して淡々とすべてに触れた上で、過去問と違う部分=出題意図の部分だけ少し手厚く説明できるかが勝負かと予想します。
 
 受験生の方から、こういう論点の抽出はどうしたらいいでしょうかと質問を受けることが多いです。もっともな疑問で、一番大事なのはIssueを拾うことです。Issue単位で配点がされているので、それが拾えているだけで最低限の点数が取れますし、1つ、2つ落とすだけで他がどれだけ書けても回復ができないからです。
 まず、今回検討してみたように、「Essayの問題文は一つとして無駄がない」ということを過去問を読んで十分分析することです。読み方の工夫は色々ありますが、コンマやピリオドごとに分析して(蛍光ペンや色ペンで印をつけました)、それらがどう関係するのかを一つずつ注意することで論点落しがなくなる、という手法を勧めています。
 次に、科目ごとの”お決まり”がある程度存在することに気が付きます。科目数は多いですが、科目ごとの定石、パターンというのはそれほど数多くはないと思います。
 あえていえば、MBE科目は、論点数も多いし、ルールの知識はMBEで受験生が獲得しているのが前提なので、Fact patternも混乱を招くような書き方が多いですが、CA Specificの科目は同じようなFactが繰り返し出題される傾向にあると思います。
 事前の対策として、何度か触れていますが、1日目がWriting、2日目がMBEですから、2日目の精神的な平穏を確保するためにも、MBE科目からしっかり学習することです。MBEの科目は2日目で必ず全部やるのですから、MBEの学習とEssayの学習をリンクさせること=Rule statementを両者で同じもので覚えることです。また、今回の問題でもそうですが、教科書のように長々とはかけませんから、いかに短く過不足ないものを準備できるかだと思います。
 この準備の段階で、日本人ノートがどうとか、どの本が良いとか、固定的に考えるべきではないように思います。予備校のコースを受講されている方はそれを活用することです。オススメを尋ねられれば、以下の投稿でご紹介している本でしょうか。その他、受験生・合格者のノートを買えるサイトもあります。その人の覚えやすい形式、文章のものを用意すること、あとは練習の中でよりよい書き方を見つけたらその都度アップデートすることでしょう。
 カリフォルニア州司法試験・Essay対策について

 私の文章力の限界もあるので、なんだかあれこれまとまりがないようにも思いますが、Activeに問題文を読むという姿勢をお伝えしたいというのが目標です。ご参考にしていただければ幸いです。 

California Bar Exam - February 2019 試験問題公開されました
平成最後の日、少し休みの時間を利用して更新しておきます。
変わらず試験関連で問い合わせが多いので情報を共有しておきます。
直近で実施された2019年2月度の試験問題が公開されました。
以下リンクをしておきます。
Past Exam

通例、だいたい試験実施から1ヶ月から2ヶ月の間に試験問題のみ公開されています。
合格発表があってからだいたい1ヶ月前後で、各問題AとBで合格者の優秀答案が公開されます。

今回もEssay Q1〜Q5とPTの問題文がそのまま公開されています。
とにかくこの過去問がどの予備校の問題よりも参考になりますから、受験された方は良い結果を祈りつつ、記憶があるうちに見ておくことをオススメします。
ただ、ご自身が受験された問題文を読むと、精神的な平穏は必ずなくなり、どんなに本番でがんばっていても、あれも書けてない、これも出来ていない、こんなフレーズ覚えていないと、落ち込んでしまうことが多いです。そこは各自でバランスをとって、合格発表を待ってから復習するかどうか、判断してください。

個人的な考えですが、そもそも合格の確率をはかる上でもある程度感触を確かめておく必要があります(それでも自分の感覚はあてにならないと控えめに受け取っておくべきです)。万一の結果だったら間違いなくすぐに復習すべきですし、もし合格していたら続く受験生にどれくらい書くとOKなのかフィードバックできますから、いずれにせよ有益だと思って、傷口に塩を塗りつける感覚で?復習していました。

私自身は、試験を受けてから年数が経過していますし、実務で13科目を使うわけではないので、忘れている知識がたくさんあります。ただ、日本の受験生の多くが馴染めなくて、苦手になりがちな、論点抽出・Issue spottingについては、ある程度考え方を共有できるかもしれません。答案を書くのは難しいですが、問題文の読み方はお示しできるように思います。記事や小説を読むのと違って、受験生としてActiveに読む姿勢が必要ですから、それはこの後少し書いてみようと思います。

それにしても、全部を見たわけではないですが、A4用紙2枚にわたる問題文もあり、結構難易度高いのかな、と思ったりしています。受験されたor受験を予定されている皆様はくれぐれも一喜一憂されず、淡々と準備を整えて行ってくださいね。
MPRE・CBT(コンピューターベーステスト)への様式変更について
日本国内でサポートをする受験予備校・コースがなくなっているからか、受験されている方、受験を検討されている方から色々とお問い合わせを受けております。それだけ、日本国内受験者向けの情報が不足しているのかもしれませんね。
既に私の体験は古くなりつつありますが、2日制の最初の受験者でもあるので、可能な限り情報は提供していきたいと思います。

米国で弁護士登録をされる場合、NCBEという全州向け試験機関が実施するMPRE(Multistate Professional Responsibility Examination)を受験して、各州が要求しているスコアに達しておく必要があります。
登録するまでならいつ受験してもいいということもあり、本試験に合格してから受験するという方も少なくありません。
ただ、私は、以前の記事にも書きましたが、Bar Examの前に受験されてみてはどうかという意見です。
(過去記事)
カリフォルニア滞在記~米国司法試験・試験会場下見とMPRE

理由は2つ。
第一に、アメリカで受験するという体験自体に慣れていない方には、比較的負担の軽いMPREで体験しておかれたら良いと思います。MPREはアメリカのどこで受験してもいいわけで、日本からはグアム等近いところを選ばれたらよいわけですが、余裕があれば、カリフォルニア州の、本試験を受験しようと思っている都市の近くで受験すれば、宿泊先やその周辺、交通手段などの下調べになるかと思います。
第二に、合格されたら分かることですが、試験に合格してもそれだけでは何も変わらなくて、弁護士として登録が完了してはじめて資格を名乗れたり、履歴書や名刺に記載することができます。合格を知ってから登録までの時間というのは、そのステータスを活用されたい方にとってはジリジリと待たないといけないです。可能なら、MPREをパスし、Moral Character Determinationを済ましておかれれば、試験に合格されたらあとは宣誓を済ますだけです。

いままでは紙のシートにマークする方式でしたが、昨年NCBEからリリースがあり、2019年の試験から順次コンピューターベースの試験に変更になっていくようです。2020年3月度からは全面的にCBTに移行するようです。
試験の内容自体がかわるわけではありませんが、説明を読むと、受験申込をすると一定数の受験者がランダムにCBT会場に割り振られたりするみたいですね。詳細は必ずNCBEのサイトやFAQをチェックしてください。
Schedule for MPRE Transition to Computer-Based Testing Announced

試験自体は、弁護士倫理に関する択一式の試験で、カリフォルニア州の合格ラインは他より高いものの、それを超えるのはさして困難ではありません。
テキストも、最近では予備校がエントリー商品として無料で提供してくれたりもします(送料はかかりますが)。
各自の判断ではありますが、結局弁護士倫理の科目自体は、EssayやPTでも重要科目の一つでありますから、本番前の余裕ある時期に計画されてみてはいかがでしょうか。
カリフォルニア州司法試験・Essay対策について
日本時間でいよいよ明日から2019年Februaryの司法試験が全米で実施されます。
アメリカは日本とちがって年2回実施、回数制限もないということで自由ではありますが、受験料も高く、日本からの飛び込み受験の場合は渡航費・宿泊費、そしてお仕事されている方は有給休暇や引き継ぎの調整等、何かと大変だと思います。
皆様に良い結果が出ることを期待しています。

最近、EssayやPTについて、どう書いたら良いのか分からない、というご質問を直接いただくことが多いです。
私自身はBarBriのテキスト等は見ましたが、最終的にはひたすら過去問を「読んで」アウトラインを書く、最悪Issue(論点)を抽出する努力をするだけという作業を繰り返しました。
最初のうちは自信満々だったのですが、全くスコアが上がらないので、本当に悩んで困ってしまいました。
そうしているときに、以下の書籍に出会って、読むうちに文字通り何かが降りてきて開眼した覚えがあります。

Essay Exam Writing for the California Bar Exam

著者のMary Basickさんは、カリフォルニア州に弁護士登録されつつ、司法試験受験者への指導に長く携わっておられて、現在はLAにあるロースクールに所属されているようです。
さて、何が良かったか。

▼カリフォルニア州のBar ExamのEssayにフォーカスを当てていること。PTもMBEも対象にしていないし、他州を含むEssayの話をしているわけでもありません。

▼全科目について過去問から6つを用意、取り上げるべきIssue、対応するRule、Applicationと予想される結論(IRAC)をチャートで示してくれています。

▼過去問のうち、各科目1問目は、フルエッセイの模範例(これはおそらくCal Barのウェブサイトで公開されているSample Answerとは違うはず)が示されている。この例は、Overwhelmingではなく、分量としても日本人受験生が再現可能なレベルで読みやすい。

▼全科目につき、1枚で俯瞰できる論点目次と、主要論点につきトピックごとにRule Statementを箇条書き(テクニカルターム)で整理されたものがあり、分量が少なく、直前期の記憶ツールとして役立った。

▼全科目につき、上記の目次・Ruleの要点に対応した、詳細Outlineが用意されている。特に、テストで良く出題される、問われやすい箇所や、誤解しやすい箇所について囲み記事があり、とても理解に役立つ。

問題が古い(2000年以前のものもある)、最近の出題傾向に合わない、ルールのヌケモレがあるという話はありますが、主要な論点は触れられていますし、完璧でないとか、自分が覚えにくい箇所は、他のテキスト等を見て置き換えれば良いことです。
Essayの対策(それはPTも同じですが)の要点は、アプローチの仕方を確立すること、そして何より、問題文からどういうプロセスでIssueをピックアップするかです。
それはパターンや考え方があり、私の個人的な印象としては、日本のいろんな試験と少し考え方が違う気がします。
今みてみたら、Kindle版もあるようで、便利になったものですね。

時間があれば、BarBariのConviser Mini Review(CMR)は2,3年前のものでも十分ですし、一般的に受験生が参考にしている情報で信頼はできます。ただ、分量が私には多かったのです。
他には日本人ノートが出回っていますから、それが活用できる方はご利用になればいいでしょう。Wordで加工がしやすいといったメリットもありますよね。
なかなか予備校に行けない、時間が取れないが、どうも取り組み方がイメージできず困っているという方には、考え方が学べるコンパクトな良い書籍だと思います。

もし受験歴がある方であれば、過去のご自身の答案を、初受験にむけて準備中の方ならご自身作成の答案を、それぞれ拝見できれば、私からの具体的な意見、アドバイスがお示しできると思います。
当事務所のHP表示のメールアドレスからアクセスいただければ、私が拝見して折り返すように致します。

どんな試験でもそうですが、向かうべき方向やゴールがつかめなければ、なかなかクリアするのに時間がかかってしまいます。私自身は優秀な人間ではないですし、模範的な受験生ではないですが、日本から直接受験される方のリソースが、諸事情により限られた状況にある中で、少しはお役に立てるかもしれないと思っています。
これに限らず、色々な質問あれば、どのようなレベルでも、お気軽にお問い合わせください。
メールか、Facebookが確実です(自己紹介のメッセージいただければ原則として承認しています)。

Maekawa国際法律事務所
2018年7月・カリフォルニア州司法試験結果・7月試験では最低の合格率
日本時間でいうと本日2018/11/17、July 2018のカリフォルニア州司法試験の合格発表がありました。
合格された方、本当におめでとうございます。
うまく行かなかった方、大変残念ですが、しかし、是非次を目指していただければと思います。
自分自身、失敗を重ねた中で学んだこと、獲得した人脈もあります。昨年の発表からもう1年経ったのかと驚きますね。

詳細情報は来週にも更新されますが、速報リリースは、カリフォルニア州弁護士会のウェブサイトをご確認ください。
State Bar Releases July 2018 Bar Exam Results
受験完了者数8071人、合格者3284人、合格率40.7%は、7月試験では過去最低とのこと。
2017年7月土は49.6%でしたから、9%近く合格率が下がっています。
First-timerは合格率55.0%、Repeaterは16.0%です。再受験者だけでなく初回受験者にもなかなか厳しい数字です。

7月試験の受験者数は、毎年8000〜9000人の間で、昔は、アメリカの中では一番むずかしいと言われるけれども、50%〜60%は合格すると言われていました。

近年は40%台で、今年かなり下がってしまったことに、弁護士会も危機感を覚えているようです。
上記URLをご確認いただければよいですが、カリフォルニア州の司法試験データのリリースであるのに、
・NCBEによればMBEの合格ラインが34年間で一番低かった
・テキサス州の合格率が昨年比7%減だった
・ニューヨーク州の合格率が昨年比5%減だった
という情報を冒頭に並べており、NCBEや他州の合格率について言及するのは私が知る限り初めてではないかと思います。
この合格率低下傾向についてどのような原因があり、どのように対処すべきかについて、これまでにも調査研究は実施されてきましたが、新たに”California Attorney Job Analysis Study”をスタートさせると記載されています。
登録時点レベルの弁護士に要求される知識や技術について情報を収集することが目的だといいます。
司法試験の結果を受けてこれだけ色々と検討が進むということは、弁護士会としてもその結果を深刻に受け止めているということかもしれません。

カリフォルニア州は、全米で唯一、海外弁護士資格者の飛び込み受験を許容しています。
州自体の性格としても、オープンでリベラルですから、その政策はなんとなく理解できる部分があります。
受験者数が多く、様々な層が受けているので、合格率が低いということ自体どうこう言うべきではないでしょう。ただ、例えば、MBEの合格レベルスコア(Mean Scaled Score)は、全米平均1395に対して1404ですから、やはり合格ラインが他より高いことに間違いはありません。

さて、統計は統計として、受験者の方の関心は自分が合格するかどうかです。
司法試験委員会としては、合格基準をそれほど高くしたという考えはないのではないかと思います。これは一昨年にも言われていたことで、現地のロースクールからは激しく非難され、既存の弁護士や受験者にアンケートが実施される等、ちょっとした問題になっていました。
何をするべきかは単純で、50%のMBEと50%のWriting (Essay5問とPT1問)で合格ラインを超えることです。
その水準自体は、決して到達できないレベルではありません。
あとは、制限時間と戦いながら、マークシート方式が得意か、問題文を読んで検討して論述するほうが得意かで、ある程度戦略を立てて、合格できるプランを練ることだと思います。

日本の受験制度に馴染みがある方は、読み書きではどうしても語学のハンデがあるので、MBEでハイスコアを狙うのが得策ではないかと、私は考えています。論文式と違って、出題様式に大きな変化はありませんし、出題科目・分野は厳しくバランスが管理され、準備段階での所要時間や正答率が本番と大きく変わらないので、準備した成果がある程度期待できるからです。
論文式は、日本でも同じですが、やはり出題分野によって得意不得意があります。どの科目が出題されるか、どの分野が出題されるかで、正直って有利不利はあります。
私自身、日本の司法試験でも、アメリカの司法試験でも、合格できた年は、やや準備ができていたところが出題されて、アドバンテージが得られた部分があります。しかし、おそらくラッキーパンチが打てるかどうかはプラス何点の話で、基礎体力がなければパスできるものではありません。
特にカリフォルニア州の司法試験は、過去問が充実しています。Essayはほとんど論点が出尽くしていますし、3日から2日に受験日数が変わったことで、2つの出題傾向が顕著になっています。
Essay1問の中で複数科目が問われること、証拠法・民事訴訟法・弁護士倫理の分野で連邦や全米のルールとカリフォルニア州特有の部分の差異がある部分が頻出であることです。
言葉のハンデにしても、その人なりの水準というのは、一定量を何分で読んで理解できるか、何Wordをタイピングできるかも、事前に測定できます。
それら試験本番で要求される知識技術を具体的に想定した上で、自分なりの戦略を模索しながら、合格ラインを突破す確率が高める、それだけです。

私はこういうブログを書いていたりすることもあり、多くの方から勉強方法や、具体的な教材の質問を受けますが、結局その方の個性にフィットするのが一番ですから、あくまで参考程度に聞いていただくほうが良いと思います。
例えば、私はセンター試験が必要な国立大学を受験して卒業し、日本の旧司法試験を合格したといった受験経験があり、日本法弁護士として事務所を経営し、家族を持ちながら学習する必要がありました。
時間が極めて限られていたので、受験の年数も長くなりがちですし、やれることが限られていました。アフター5という概念もないですから、睡眠時間を削って平日に1時間、2時間を勉強に当てられれば御の字でした。
ですから、講義を聴いて、ノートを作って、問題を解いて、模擬試験を受験して、といった典型的な手法は取れませんでした。その代り、MBEは早いうちから解きはじめてある程度の段階で合格レベルに到達する自信は得られました。あとは、過去問だけを教材に、徹底的に研究して、出題意図を把握することと、読むことと英文タイミングのスピードを上げること、それだけに集中しました。

何を申し上げたいかというと、人それぞれやり方は何通りもあるということです。
そしてろくに勉強時間も取れない私のような人間でも、十分合格できるということ、それだけは自信を持っていただきたいと思うのです。
ただ、多くのご相談を受けていますと、問題文に臨む基本的な姿勢や、回答の進め方に誤解がある方が相当数いらっしゃるように思いますから、その点の修正には、助言ができるかと思います。

資格だけ取得して何ができるか、それはその人の考え方次第です。しかし、少なくとも今の日本のリーガルマーケットで、弁護士以外の方がカリフォルニア州弁護士資格を得ることは確実にキャリアアップの可能性を高めます。
企業内弁護士の方は、選択肢が広がり、転職の際の付加価値になります。
日本法弁護士の方も、やりようによってではありますが、仕事の幅や新しいチャンスが広がります。
是非、志望動機を明確にされて、努力をひたすら続けて、出来るだけ早く合格されるよう祈っております。
ブログのメッセージがなかなか拝見できないので、ご質問がある方は、当事務所の電子メールか(www.maelaw.jp)、Facebook(naoki.maekawa)経由ででもお問い合わせください。