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 前川 直輝

Author: 前川 直輝
最終学歴 京都大学法学部
司法修習 54期
カリフォルニア州弁護士
Maekawa国際法律事務所・代表弁護士
https://maelaw.jp/

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プロの仕事〜サッカー日本代表・ポーランド戦での判断
サッカーのロシアワールドカップ、日本チームは無事にグループリーグを2位で突破しました。

昨晩の代表戦、もう一つのセネガル・コロンビア戦を観察しながら、スコアが動かなければ警告の枚数で少ない日本が勝ち進むことができる状況で、監督が選手に指示をしてパス回しをして時間を潰し、結果予想どおりスコアは動かず2位を獲得したとのこと。
私は試合を見てないのでなんとも言いようがないのですが、試合後に色々言われているようですけどね。ただ、リスクをとってパス回しをしたことに対して、スリリングな試合を目指すべきだ、恥ずべきだと批判するのは、ちょっと違うと思うのです。プロの仕事というものを勘違いしているし、単なるラッキーじゃないってことを理解していない。

大前提として、試合を会場で見ていた人たちは、時間とお金をかけて楽しみにして行っているわけで、怒っていいと思います。その場で10分も退屈なパス回しを見せられたら、腹を立てる理由は正当にあると思います。それはシンプルに自分の体験として、不満足でしょう。

その他の「評論」をしている多くの人たちは、おそらく攻め上がる試合の面白さ、サッカーとしての美しさが、必ずゴール獲得と試合の勝利とセットで実現できることが前提となっていると思います。素人だろうが解説者だろうが、結局は同じことを前提としています。攻め上がって美しく勝てたはずだと。
監督・コーチ・スタッフ・選手全員、プロとして国の代表としての挟持をもってロシアで戦っています。内容どうこうより、まずは結果を獲得すべきなのは、プロの仕事で当然のことです。それに対して報酬をもらっているのですから。反則等まったくしていないし、むしろ周到に準備をしたことを、手放しで称賛するべきじゃないかと思います。

セネガル・コロンビアの試合より日本のほうが先に進んでいたというじゃないですか。セネガルが一点でも取ったら直ちに敗退であったわけで、日本はリスクを取ったのです。セネガルの試合を分析して残り時間でセネガルがスコアを取る確率を冷静に判断しなければならない。それをやった日本のアナリストや監督の情報収集力、判断力を褒めるべきです。

他ならぬピッチ上の選手はゴールに向かわないというプレイをしたくなかっただろうし、そういう指示を出す監督も断腸の思いだったでしょう。彼も選手だったことはあり、準備の過程でどれほど皆がゴールに飢えているか分かっていて、また優秀で技術があると信頼していたからこそ、ただ後ろでパスを回せ、カードはもらうなという一見するととてもツマラナイ指示を出すのは辛いことです。
それを会場のブーイングの中で、また後に控えているであろう批評家たちからの非難に耐えて、プロとしての仕事に集中して実行したことは、賞賛に値すると思います。

こんな試合子どもたちに見せられないとか、日本の将来にとって良くないやり方だというのは勝手です。しかし、子どもたちには、そのプレイの持つ意味を大人がきちんと説明することで、教育効果は十分にあるのではないですか。試合に勝つにはルールを熟知すること、試合で起こりうるあらゆる可能性に準備した上で、試合中に感情的になっていても目的を達せられるようにコントロールするにはどうしたらいいか、そういった処世術にもつながることを学ぶ良い機会だといえるでしょう。
日本サッカーの将来にとっての価値についても、グループリーグで「美しく」敗退するのと、泥をすすってトーナメントで強豪と本当の真剣勝負をするのと、どちらに価値があるでしょうね。

勝利、引き分けと来て、ポーランドが敗退決定していたので、まるで勝てるような気になっていたのでしょうが、FIFAランク8位、かたや日本は61位です。ランキングだけで強弱は測れないかもしれないが、ポーランドはスペインより上、フランスの次です。敗退が決まっているからといって手を抜くわけではないし、手を抜いたってそれでも日本より強いでしょう。試合で攻めるということは、守りが手薄になるってことです。ヨーロッパの強豪相手に、後半10分15分でどういうことが起こるか、ピッチに立っている皆が一番わかっていたのではないでしょうか。

むしろ、日本がルールを見ながら試合をこんなふうにコントロールできるポジションにいられたということを楽しんで、興味をもって観察するべきでしょう。
ハリルホジッチが直前で解任されたとき、みんなどう言っていたでしょうか。グループリーグを通過できることをどれほどの確率で皆が予想していたでしょうか。こういう「姑息な」判断によってグループリーグを勝ち進むことができるポジションにいるのは、むしろ幸せなことであるし、日本のサッカーの経験値としても大変貴重な出来事ではないでしょうか。

おかげで、最初の2試合で疲労した選手が回復することもできました。控えだった選手もきちんと試合に出て、できることできないこと、肌身に体験できています。
この先の結果などわかりませんが、チーム全体としてとても良い成果が得られたのではないか、そう思います。

サッカーの日本代表と比べるのはおこがましいですけれど、弁護士だって冷徹に結果を追い求めるべき仕事です。たとえ証人尋問がどれだけ鮮やかに見えても、どれだけ素晴らしい筆致で多くの文書を提出したとしても、完全敗訴の判決ならクライアントに満足してもらえないでしょう。負けないようにルールの中でいろんな手を尽くす。判決前に和解に応じるかどうかも含めて、ポーランド戦のパス回しと同じような判断をしなければならない。姑息に見えるそのパス回しを、他の人間がどう評価するかなんてことを気にしてはいけないのだと思います。ルールを守り、倫理に反しない限り、結果を目指して自分をコントロールするということは、美しい姿だと思います。その上で、そういうギリギリの策に出なくて済むようにするために、次に備えて学習し新たな対策を講じる、それによって少しずつ成長ができるのだろうと思います。

そんなふうに彼らの仕事を見たほうが意味があると思います。私は、国家や政治については強く批判してもいいと思っていますが、それ以外の事柄については、基本的にポジティブに捉えるようにしたいと思います。
次戦はいよいよベスト16、ベルギーとの試合です。勝ち進んでもブラジル、ポルトガルが出てくる可能性があり、とんでもなく高い山に見えますが、高ければ高いほど挑む価値がある。是非選手・監督ともベストなコンディションでベストな結果が得られるよう期待しています。


第71期司法修習生・第69〜70期弁護士採用のお知らせ
当事務所では、新しい弁護士を採用し、クライアントに向けてより良いサービスを提供したいと希望しております。
ついては以下のとおり求人情報を掲載致しますので、関心をお持ちの方は、記載したとおりの方法で応募いただければ幸いです。
なお、語学については、初歩的な英語の読み書きや会話ができること、外国人の方とのコミュニケーションに積極的な姿勢は望ましいですが、現時点で流暢であることまでは求めません。私たちと楽しく、協調して仕事していただける方を重視します。

【事務所情報】
事務所名 Maekawa国際法律事務所
所属弁護士会 大阪
住所 541-0046 大阪府大阪市中央区平野町3-1-10 オーセンティック淀屋橋102号
事務所HPアドレス Maekawa国際法律事務所-Website
担当者  前川直輝 登録番号 28620
電話番号 06-6123-7716 FAX番号 06-6224-0238
メールアドレス naokim (a) maelaw.jp ※(a)はアットマークに置き換えてください。

弁護士数 2名   男性:2名   女性:名  
パートナー 修習期:54期   男性:1名   女性:名  
アソシエイト修習期:68期   男性:1名   女性:名  
事務職員数 2名

【取扱事件】
契約法・商取引
債権保全・債権回収
交通事故 離婚・親権(親子関係を含む。)
遺言・相続 高齢者・障害者の財産管理,介護,成年後見 国際的家事・相続
会社法一般(株主総会・企業の社会的責任(CSR)・その他会社経営一般)
M&A・企業再編
土壌汚染・廃棄物処理等環境汚染に係る問題
法人倒産(会社破産・会社更生・民事再生・特別清算を含む。)
商標法 不正競争防止法 著作権法
IT関連紛争
国際的商取引 外国法関連
国籍・ビザ・出入国
一般刑事

その他取扱事件の特色等
金融機関や中小企業を中心とする顧問先の相談・紛争代理、損害保険会社関連の業務、外国企業・外国人からの相談業務や交渉代理(英語による)

【執務条件】
執務日 月〜一部土
勤務時間 その他 9時〜18時を基礎として自主性に委ねる。
休暇 夏期休暇:応相談 冬期休暇:応相談
出産休暇:法定どおり 育児休暇:法定どおり

個人事件の受任 受任 可
受任時の設備使用 可
受任時の経費分担 分担あり
弁護団事件 可

事務所アピール・特色・将来像・求める人材等
2018年3月開設の新しい事務所、パートナーは米国カリフォルニア州弁護士登録。既存企業からの依頼に加え、国内外の外国企業の相談業務が増加中。弁護士として基礎的技能を重視、事務所メンバーと協調して事務所を発展させられる方、基礎的な英会話ができることが望ましい。

[修習生向け求人]
採用予定人数 1名
修習期 69期 70期 71期
待遇 給与制
弁護士会費の事務所負担 なし
その他条件 交通費事務所負担。5年を目処にパートナーシップ契約を申し込む場合がある。
個人受任案件(国選・法律扶助除く)の報酬金のうち経費負担あり。
重点選考項目 協調性・語学力

【応募方法・問い合わせ方法】 必要書類の郵送 (事務所住所と同じ )
必要書類等 履歴書(書式自由) 成績表(大学・大学院) 成績表(司法試験)
その他 採用担当宛、封筒に履歴書在中と明記。メールアドレス、当事務所への志望動機と英語に関する能力・経験に言及していただきたい。
選考方法 応募者の中から書類選考、事務所から面接対象者に対して面接日時等を電子メールにて案内します。面接時に一定範囲で交通費負担あります。面接後、採否の連絡をします。提出いただいた書類は返却しません。

[弁護士向け求人]
採用予定人数 1名(69期〜70期の方を想定しています)
採用予定者の弁護士経験年数 1年以上3年未満 1名
応募資格 得意分野 不問
語学能力 基礎的な英会話力があることを希望します。
待遇 給与 給与制
弁護士会費の事務所負担 なし
その他条件 交通費事務所負担。弁護士経験5年を目処にパートナーシップ契約を申し込む場合がある。
個人受任案件(国選・法律扶助除く)の報酬金のうち経費負担あり。

【応募方法・問い合わせ方法】 必要書類の郵送
必要書類等 履歴書(書式自由) 成績表(大学・大学院) 成績表(司法試験) その他 採用担当宛、封筒に履歴書在中と明記。メールアドレス、当事務所への志望動機と英語に関する能力・経験に言及していただきたい。
選考方法 応募者の中から書類選考、事務所から面接対象者に対して面接日時等を電子メールにて案内します。面接時に一定範囲で交通費負担あります。面接後、採否の連絡をします。提出いただいた書類は返却しません。

2017年7月カリフォルニア州司法試験合格のご報告
もう随分とご無沙汰しておりました。Facebookはじめ各所からお問い合わせいただくことが最近増えておりまして、せっかくの機会ですので、とても久しぶりに投稿しておこうと思います。
去る2017年7月に実施されたカリフォルニア州司法試験 California Bar Examに合格し、12月に同州弁護士登録を済ませました。長いような、あっという間の挑戦でしたが、良い報告ができて本当に嬉しく思います。

2017年7月は、3日だった試験が2日制に変わる最初のときで、Essayは6問から5問に、PTは180分2問が90分1問に、大きく変化しました。
一番大きかったのはMBEの比重とWritingの比重が50:50になったことです。MBEについては、私は既に1440を超えることはできていたので、自分にとっては有利な変更だと思いました(思うようにしていた、というのが正直なところですが)。
そして、Writingについても、途中答案にならなければ、普通の精神と肉体の状態なら、最低限ここまではスコアが出せるだろう、というラインがつかめていました。ですから、Writingがいつもどおりであっても絶対に合格ラインを超えられるくらいに、MBEでハイスコアを取ってやろうと腹を決めて、徹底的に対策をとりました。
おそらくその制度変更にあわせた学習方法の変更が、成功の鍵となったと思います。

新制度での90分PTはSampleの1問しか公開されていなかったので、不安は尽きませんでした。でも受験生は皆同じ条件です。Sampleを徹底的に分析して、他州の90分テストの方式を少し眺めて、あとは時間のコントロールに注力しました。
PTは180分のころから、出来が良いときと悪いときの差が激しく、駄目なときはほとんど途中答案でした。
90分となり、時間はタイトに見えるのですが、私にとってはプラスに受け取れました。つまり、自分にとって決定的に不利だと思っていたのは英語による読み書きスピードの差だったので、時間が短ければ短いほど、現地受験生との差異が生じにくくなると思ったのです。読む資料の分量も大幅に減りますし、たとえば出て来る判例の数もたいてい1個、2個だろうという計算になるので、現地判例の読み方の訓練を受けていない自分にとっても理解はしやすく、言葉のハンデによるスピード差は小さくなるはずです。
実際、JulyのPTは主題が理解しやすいものだったこともあって、余裕はないものの時間内に題意を把握してきちんと答案を仕上げられたと思います。

Essayについては5問になりましたが、基本的に中身が変わるわけではありません。もっとも、問える問題数が減るということは、出題者としては科目数を維持するために、Cross Overを必ず増やしてくるだろう、そしてCAプロパーと連邦法の比較が増えるだろうという確かな予想がありました。最近その傾向は少しずつ出ていましたが、2日制に変わってより顕著になったのではないかと思います。
Essayについては、60分1問をできるだけ守ること、守れなくてもはみ出す時間を最小限にとどめることを意識しました。さすがに知らないIssueというのはほとんどないだろうという自信はありつつ、今までのように知っていることを吐き出そうとするのではなく、本当にシンプルに問題文の一つずつを大切にして、出題者の意図を読み取ろうと集中しました。何度かブログで書いたように思いますが、Essayの場合、答えは問題文に表現されています。そのヒントをどこまで普通に受け取って表現できるかがポイントです。タイポや文法間違いなど、一切気にしなくて良いし、非母語者であることを負い目に感じる必要はまったくありません。それは公式サイトでもアナウンスされている通りだと思います。

MBEは前回までとにかく難易度が高すぎるとロースクールなどからも批判が強まっていました。だからということかわかりませんが、結果的にJulyの難易度はかなり易しくなったようです。それはスコアにも表れていたようですね。自分としても受験後の体感は、えらく易しくなったなというもので、MBEで跳ねようと計画していた自分にとってはあまり良い情報ではなかったです。
それでもAdaptibarをきちんとやって、正答率が自分の目標とするレベルに達していたので、本番環境でも設定したスコアはクリアしていたのではないかと信じていました。

合格発表の数日前は、記憶が断片的になるほどに、ストレスがかかっていたようです。当日はインターネットを通じて受験番号等を入力すれば結果が表示されるのですが、サイトがダウンしていて何度やっても先に進めませんでした。20分以上経過して、PDFでRegistration No.とApplication No.の組み合わせで合格者一覧が表示され、自分のそれに合致する箇所を見つけたものの、さらにしばらくしてサイトで正式に確認するまで疑心暗鬼でした。確認に30分以上かかったので、書斎から妻の待つ部屋へ向かうと、また駄目でホテルの予約も済ませたのだと思われていたほどです。

2日制は、日本からの飛び込み受験生には大いに有利な変更で、スケジュールが圧倒的に楽になりました。
滞在日数が少なくて良いですし、終わってから平日金曜の夜に東京に戻れます。仕事をしている人にとって受験スケジュールは死活問題で、私自身も試験終了後から普通に日本の仕事をたくさん処理できることができて助かりました。
ちなみに最終受験地はOaklandです。私は他にOntarioしか知らないのですが、たしかに滞在コストは高めですけれど、SFOからの交通の便が良いですし、生鮮食品を買うスーパーも徒歩圏にあって、食生活を重視する私にはとても良い場所でした。治安については色々指摘される向きもありますが、きちんと日中に外出するようにして、場所を選べば、安全に過ごすことはできますよ。

合格発表後はいろいろな方にお祝いをいただき、アメリカ領事館で宣誓を済ませ、年が変わってから弁護士会費を支払って、正式にカリフォルニア州弁護士の肩書で働くことができています。久しぶりに、受験モードではなくなり、睡眠時間を削らなくてよくなったことに未だに慣れないくらいです。不思議なもので、資格者になってみると、それらしいお話が舞い込んで来るもので、カリフォルニア州出身のアメリカ人のスタートアップからご相談があったり、外国の専門家から訴訟提起に関するご相談を受けたり、面白い広がりがあるなと思います。 当初お世話になった専門学校のAbitusさんは、フロリダコースタルローのカリキュラム変更等で、米国弁護士コースの新規受付が停止してしまっているようです。昨春、恥ずかしながら受験生の身分で体験を語る機会があって、そのときのアンケートで前川の合格体験談が聞きたいという声もちらほらいただいていました。せっかくですから、記憶の新しいうちに、体験がシェアできる機会があればと願っています。現在、受験時代の仲間の努力にも、陰ながらサポートできればと思って、少しずつ情報交換をしています。 私は、たまたま恵まれた立場にいて、周りの協力も得ながら、気合と根性でここまで来たというところです。ただ、飛び込み受験生で、日本法弁護士で事務所を経営しながら、という例はあまりないことかもしれません。その特異な経験を活かして、またチャレンジを続けていきたいですし、続かれる方々をサポートしていきたいと願います。
【映画】Bridge of Spies / ブリッジ・オブ・スパイ
もう時差ボケは解消したようです。準備したとはいえ、毎回、この図太さゆえ、国をまたいだ移動には強く居られるのだなとちょっとうれしく思います。枕が変わるだけで寝られない人もいらっしゃいますからね。

試験のために渡米する楽しみの一つは、帰路の飛行機で新しい映画を観られることです。特に、今回はLAX12時20分発で、関西空港翌18時過ぎ着の便で戻ってきたので、時差調整のために起きている必要がありました。
My Internというホンワカとした映画を最初に観ました。アン・ハサウェイもロバート・デ・ニーロも好きなのでセレクトして、プロットは好きだったのですが、最後何だか消化不良だったかなというところです。ネタバレもいけませんので深くは触れませんが、終わり方は賛否あるかもしれません。

今回のお薦めは表題に書いたBridge of Spies/ブリッジ・オブ・スパイです。
ちょうどいま日本でも公開されていて、ヒットしているみたいですね。これまたトム・ハンクスが好きでしたし、スピルバーグだというので気軽に選びました。
内容は実際の事件がテーマで、1950年代、冷戦まっただ中のときにアメリカとソビエトでそれぞれスパイが捕まり、さらに東ドイツでアメリカ人学生が捕まったということで、その交換の大役を担ったアメリカ人弁護士のお話です。
アメリカでソ連のスパイが捕まり、刑事訴追された案件で弁護士会から推薦されて弁護を引き受けたのがトム・ハンクス演じるドノバン弁護士。マスコミ、世論だけでなく裁判官まで有罪ありきの心証の中で、弁護士はあくまで依頼者に正当な権利があるという筋を負けず全力を尽くします。
その刑事事件が終結した後、今度はソ連でアメリカ人のスパイが撃墜されて捕まり、同じように刑事裁判を経て投獄されます。CIAは、相互のスパイを交換したいが、政府が直接表には出られないと、ロシア人スパイの弁護を担当したドノバン弁護士に白羽の矢を立てます。
同時期にアメリカ人の大学生がドイツに留学していたのですが、東ドイツで捕まってしまいます。ドノバン弁護士は、政府が話しているスパイの交換だけでなく、大学生も取り返そうと試みます。それがどういう風に進むのか。。。

スパイを弁護し、連邦最高裁判所にまで上訴するわけですが、そのときは全米から白い目で見られ、CIAからは尾行・監視され、挙句の果てに自宅が狙撃され妻や子どもが危険に晒されます。また交渉に出向くにも、政府からの依頼であるのに誰のバックアップもなく、様々なトラブルに遭遇します。それでもブレないドノバン弁護士の魅力に、どんどんと引きこまれていきました。

実話とはいえ、詳細は控えますが、弁護士が主人公ですから、この仕事、特に刑事弁護に多少なりとも関わっていると自然と興味を持ちます。特に、マスコミや多くの市民に白眼視されながらも、徹底して依頼者をサポートするという刑事弁護人の役割の重要さや、建前では覆い隠せない現実の難しさ、苦しさというものは、あらためて職業人として背筋が伸びた気がします。
また、前半の米国内の刑事裁判の議論では、外国人が権利主体になりうるのか、また捜索差押の令状主義の問題等が少し出てきて、Bar Examを受験している者としては色々と考えさせられ、勉強になります(今回、刑事訴訟法の論文での出題がなかったので、その意味でも冷静に観られたかもしれませんね・・・)。

刑事弁護人は、全世界を敵に回しても、依頼者を護るのが仕事です。違法なことには関与しませんが、どんなに有罪が間違いなく、極刑が相当だと言われたとしても、なおその人間は憲法・法律のもと適正手続が保障されなければなりません。ただ、耳目を集める”極悪人”を弁護する場合、自分や家族が本当に危険に晒されるということはあるわけで、キレイ事ばかりではありません。
私が元々司法試験を目指そう、と思ったのも刑事裁判で無罪を獲得した弁護士さんのお話を聞いたのがきっかけでした。無罪事件が2件体験があるというのは15年ほどの弁護士生活での密かな勲章で、今では若い人が増えてなかなか当番弁護の出動も回ってこずあまり受任する機会は多くありませんが、それでもやりがいを感じる分野です。たまたま事件の内容があまり非難を受けるような類の内容でもなかったですし、マスコミも途中からではありましたが、好意的に報道してくれたので実害を被ることはありませんでした。近い家族は理解し、応援してくれますが、遠い知り合いは刑事弁護をやるというだけであまり良いイメージを持ってくれないということもあったり、思われているよりも有形無形にプレッシャーはあるものです。

ドノバン弁護士は実在する人で、その後重要な交渉を政府から委ねられるほどになったわけですが、映画が描く彼の生き様というのは、どの国の弁護士でも胸を打たれ、刺激になるものだと思いました。
是非関心のあるかたはご覧になってください。
日本ではまだDVDが出ていないと思いますが、アメリカのAmazonでは購入できますね。字幕はないですが、わりと分かりやすいゆっくりとした英語だと思います。東ドイツをDDRと言ってみたり、そのあたりは私の世代ではまだ分かるのですが、今時の若い人たちはDDRなんて言われてもプロレスの技くらいにしか思わないかもしれないな、とちょっと不安を覚えたのでした。。。

Bridge of Spies BD + DVD + Digital [Blu-ray]
Walt Disney Studios (2016-02-02)
Best Sellers Rank: 28


2016 February California Bar Exam Update - July以降受験のための方向け参考
Ontarioで受験しました。現在LAXのラウンジです。次以降を受験される方の参考情報として、出題内容の概要だけお知らせしておきます。
山を張るのはいけませんが、前回の出題内容は実際に対策上かなり役に立ちますからね。なお、試験直後の個人的な認識ですから、内容の正確性は保証できません。あくまで参考までにとどめておいてください。

1日目
Essay Q1 Wills/Trust+Remedies
HouseとRanchを持つTが、Houseだけ(だったかな)を対象にInter vivos Trustを作ったが、数年後(Years later)今度はTがWillを作成、その中でTrustは全部撤回するとした上で、BeneficiaryやTrusteeなどの要素を全部変更、今度はHouseとRanch両方を処分することにした、Tは亡くなるが、当初のTrustで名前が上がっていた2人はあとで作られたWillを知って驚いた、各人の権利、後の方のWillでBeneficiaryとされる人間はどういう救済が受けられるか、といった内容。

Essay Q2 Torts
おかしなFactでした。宇宙人が人間を制服する?というような奇妙奇天烈なことを信じていて、宇宙人が人間の形をして存在していると信じ込んでいる人間Sがいた。
Sの近所のNさんは、自分の庭にSの子らが立ち入ることがあったので、やめてくれとSに言うと、Sは言い返して「I will kill you」と口走った。
その後、Nは再び注意をすると、Sは言い返した上で、チェーンソーを持ち上げ、このbabyで首をちょん切るぞ、と口にした。
道路の向かい側でSがチェーンソーをNに向けて持ち上げているのを見たPさんは、道路をわたってSを殴り倒し、Sは怪我をした。
Sは、Nの車のブレーキを切って、宇宙人に思い知らしてやろうと思ったが、Nはブレーキのことを知らないままPに車を貸し、Pは事故に遭ってしまった。
設問は3つ。N vs S, S vs P, P vs SのそれぞれのCauseと認められるかどうか。

Essay Q3 Professional Responsibility
久しぶりに、PRがフルで聞かれました。Lawyer(女性)は、Contractor(男性、依頼者)と性的関係があったところ、難しい建築瑕疵(だったかな)の事件について依頼を頼まれた。Cはお金がなかったので、Lに半額で受けてくれと頼むと、LはContingentを認めてくれと言い出す。Lは建築瑕疵を取り扱った経験がない。
その後も性的関係は続くがLとCとの関係はよくなくなってくる。LはScheduled Conferenceにうっかり欠席。
ただ、事件自体は請求を認められて回収が得られた。いざ回収額からLが思う報酬額を控除してCに返金するが、Cは半額の意味が違うといって、もっと返還されるべき金額があると言い出す。
Lが事件を受けたこと、Conferenceに欠席したこと、報酬や預かり金についてどうすればよかったかといった設問。ABA・CAルールの指定はありました。

Performance Test A (Objective Memo)
偶然でしょうか、弁護士が顧客からの預り金を指摘に流用したという疑いをかけられ(ただ500ドルだったかな)、State Barの調査が入り、懲戒処分を受けるにあたって、その根拠4つくらい(すぐに返金しない、まぜこぜにした、調査非協力など)それぞれに整理をして、認められるかを検討するためのObjective Memoの出題。File、Libraryとも分量多めでした。

Essay Q4 Remedies/Rescind, Reformation
保険会社と契約者との間の紛争。Aさんが自動車保険に加入、被保険者は娘のD、対象車両はTとV。保険会社InsuCoは車両がAの住んでいる否かのエリアで乗られるというAさんの申告をもとに、Cityよりも低い保険料でPolicyを発行。ところが、実際、Dは保険料の高いIndustrial Cityエリアの大学に通い、TをIndustrial Cityで走らせていた。
Aさんは保険のリミットを50万ドルにあげてくれと保険会社に依頼、これに対して保険会社がPremiumを払ってくれたらOKですよと返答。Aは実際にPremiumを払う。
その後、AがDの大学の卒業式に出向こうとV(もう一つの車両)に乗って出来かけようとしたところ、変更後のPolicyが届いたが、PolicyにはLimitが合意額の半額25万ドルと書いてあった。Aはこれに気が付かず、自動車Vに乗り、多重事故に巻き込まれた。
保険会社は保険契約をRescindしたい、Aさんは保険契約リミットを50万ドルとReformして欲しい、という主張で、それぞれが通るかどうか。Remediesもこういう出し方は初めてかもしれませんね。

Essay Q5 Evidence (California)
社長Mike、管理者S、従業員P、D、Eといる会社で、Pが解雇された。その時、Dがメンバーに向けて、Pが解雇されたこと、解雇理由は金を盗んだことだ等というEmailを送信。
PはそれがDefamation名誉毀損だとしてDを訴えた(民事事件)。
Emailについて、Eは会社で受信したこと、他の大量のメールとともにDから受信したことを証言。
Sは、Pが現金を盗むのを見て捕まえて、糾弾したが、Pは黙って立ち去ったと証言。
Dは、社長室でMとPが言い争うのを漏れ聞いたこと、Pが泣きながら「1人にしないで」等と叫んだが、Mは冷静なトーンで「もう終わりだ、自分のことを考えろ」と応じた。
Email、Sの証言、Dの(i)PからMに対する言葉、(ii)MからPに対する言葉それぞれの証言の証拠能力如何。Californiaルールで回答するよう明確に指示されていました。

Essay Q6 Contracts (UCC)だと思う。
サーフボードを作る会社が、ある化学製品を作る製造会社から製品を購入したい、また期限は具体的に指定するとオファーを出した。
これに対してメーカーは所定の用紙で応じたが、Warrantyは付けない、Consequential Damagesを放棄するとか、申込者の同意があって初めて成立するとか追加条項3つを記載した書面を返送。申込者は何も返答しなかった。
メーカーから商品が届き、買主はこれをチェックすべく一部を使用したが、サーフボードの表面は意に反して硬くならず、ボード50枚だったか、が無駄になった。
買主はメーカーに返品。このままではサーフボードのラインが止まってしまうと危惧して、買主はメーカーに伝えず、メーカーの競合他社から少し高い値段で同じものを調達した。
その後メーカーは、履行期限後、代わりの正規品を提供しようとしたが、買主はこれを拒絶した。硬くならなかったのは、当初製品にManufacturing Defectがあったからだった。
買主から売主へ無駄になったサーフボードと代替品購入による差額保証の請求、売主からは買主が代替品提供を拒んだことの責任を問うというもの。

Performance Test B (Persuasive Memo)
離婚にあたって夫婦共同財産等のSettlement Agreement(和解契約)が締結され、その条件としてSGという投資会社の投資口座からHが20万ドルを引き出してWに金銭で渡すという約束があり、それは履行されたが、事後、SGのファンドが破綻したので、H側が当初合意がMutual Mistakeによるものだと主張して訴えでたので、これに答弁するためのPersuasiveなメモを作るタスク。こちらは文書量が少なく、かつメモ作成にあたってFactの概要説明を冒頭にすること、回答ごとのHeadingの書き方、事実やルールの引用の仕方などのインストラクションが詳細に記載されていました。

以上です。個人的にはEssayQ2、Q6に不安がありますが、それ以外はまあまあかなという感じでしょうか。
Q2はファクトが無茶苦茶だったのでなんだろうかと当惑したのが正直な感想です。
基本はBatteryとかTrespass to Chattelとかおそらくそういう不法原因に該当しそうなのはあまり争いがなくて、例えば正当防衛や緊急避難が認められるか、また宇宙人の関係でCapacityに問題はないのか、行動にあたっての認識がどうであったのか(Special / General intentで変わりそう)というところでしょう。Sが脅していたのは間違いないですが、Sの主観ではNは宇宙人でしょうし、Nさんがじゃあ怖がっていたかというと、そこもはっきりはしない。
面白い問題なのでしょうが、私には今ひとつ何を聞きたいのかピンと来ず、IIEDとか沢山書き出すことにスコアが配分されていたら、あまり良くないだろうなという予想です。

Q6はManufacturing Defectとあったこともあり、Product Liabilityにも言及したのですが、そっちはあまり問題でなかったかもしれません。
UCCではPerfect Tenderですから期限遅れは直ちにBreachです。ただ、売主はCoverできるとされています。Battle of Formsの問題もあるでしょうし、諸々考えるとPLなんて言っている暇はないしそこはポイントでなかったんだろうなと思います。

ともあれ、昨夏は合格率が何年かぶりに低水準、MBEのスコアも低かったらしいですが、今回はかなりSpecificな問題構成で、MBEもどちらかといえば難易度は緩和されたような印象があります。ただ、あくまで合否はScalingでどうスコアリングされるかがポイントですから、問題がどの程度の難易度で、受験者のレベルがどうで、State Barとしてどれくらいの数を通そうというのか、というところで大きく変わるように思います。

Ontarioで受験し、快適ではあったのですが、1日目の午前、試験開始直前に非常ベルが鳴って、いったん全員会場外に出されるというハプニングがありました。さすがにこんな経験はなくて、もしお流れにあったらどうなるんだろうと気が気でなかったです。追試されても予定が確保できませんし、費用も米国内の人間とは比べ物になりませんからね。
ともあれ、私自身は終わったことはそれとして、自分なりに手応えがあったもの、解決すべき点がこれまで以上に明確になったという印象ではあります。5月の発表まで引き続き勉強は続ける予定です。
とにかくも、無事に行って戻って来れたことを感謝します。米国内の別の州では銃撃事件があったとか、また1日目のハプニングが回復不能なことだったらと思うと、安心安全が何にも代えがたいでしょうからね。