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 前川 直輝

Author: 前川 直輝
最終学歴 京都大学法学部
司法修習 54期
カリフォルニア州弁護士
Maekawa国際法律事務所・代表弁護士
https://maelaw.jp/

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言葉や統計情報に関する理解〜弁護士は本当に稼げない職業になったのか?
弁護士業界は、人数が劇的に増加し、食べるのにも困る弁護士も増えてきている、というようなことが言われます。新人が就職する先がない、就職できずに一般企業に勤めたり、即時独立したりする人がいる(自分は「就職できずに」という否定的な言い方は嫌いですが)、という具合です。

司法試験や、これを受験するために必要なロースクール受験・予備試験などは、所詮試験ですので、その技術を指導する予備校・専門学校があります。その一つに伊藤塾というのがあるのですが、某所で以下のような記事に接しました。

伊藤塾コラム・弁護士は本当に稼げない職業になったのか?

現役の弁護士としては些か心穏やかでないタイトルですが、記事の要旨としては、弁護士の数が増加したことから、「弁護士になっても大して稼げない」などということがささやかれているとしながら(ささやくどころか、ですけども)、それが必ずしも真実でないと述べています。その根拠として、

弁護士・平成22年度平均収入 2,167万円 ※経験年数5年目の弁護士
1年目の弁護士の平均収入は780万円前後



という法務省の調査データを引用して民間企業一般で406万円、大企業492万円と比較して「稼げている」と言っています。

伊藤塾には私もお世話になった手前、ケチをつけたいわけでもないのですが、この記事は明らかにミスリーディングです。
確かに、引用記載に、嘘はありませんが、ここでいう「収入」は、手元に入って自由に使える「所得」とは違います。商売でいえば、「売上」のことを指していて、企業の給料と比べるのは間違いです。

司法修習終了者等の経済的な状況に関する調査(集計結果・2011-07-13法務省発表)

上記データPDFの16ページ以降が根拠となる集計結果なのですが、冒頭のタイトルで「弁護士の収入・所得」とあるように、コラムが使う「収入」が「所得」と違うことがわかります。
収入は、仕事をしてお客さんから支払っていただく報酬・手数料などで、「売上」です。ここからオフィスの賃料や職員の給与、光熱水費や電話料金、そのほか諸費用を控除しますから、各弁護士の手元に残るものは「所得」です。さらに「所得」は、サラリーマンの額面の給与で、所得税・住民税が課税され、手取りで生活に使えるお金はさらに減ります。

「収入」の「平均値」は2,167万円、「中央値」は1,700万円です。
「所得」の「平均値」は1,107万円、「中央値」は851万円です。

統計における平均値・中央値が何かはここで説明しませんが、もし企業の給与と比較するのなら「収入」ではなく「所得」の方です。上記のコラムは、文字面が間違っていないようで、文脈としては間違いといってよいでしょう。
さらに、統計上高く振れる平均値を使っており、実態には合致しないといえます。
他人の懐事情はわかりませんが、5年目で800万円と言われれば、今の経済事情からするとそんなものなのかなという感覚でしょうか。

それでも、所得の中央値で851万円でしょう?企業の倍じゃないですか?というご意見が出そうです。課税の仕方が違うので、経費が多数発生しているサラリーマンでない限り、事業所得者の方が課税負担が大きい傾向があるかと思います。
それよりはロングスパンでの生活設計において、違いが大きいと感じます。弁護士の多くが国民年金だというのに対し、お勤めの方は厚生年金ですし、勤務条件によりますが一定年数勤務継続すれば退職金が得られます。また、特に病気や障害のケースでは、事業所得者は自分の動きが止まれば売上がなくなりますが、給与所得者であれば安泰ではなくても、傷病手当など、ある程度安全弁があります。
損得は直ちに比較できませんが、当然のことながら、弁護士は安定性を欠くとはいえます。単年の金額が大きいからといってそれだけで損得をはかれないということは、当たり前ですが理解していただく必要があります。

このように、上記のコラムは、統計資料や数値の使い方が間違いといってよいので、これを読んで受ける印象は現状認識を正しく反映したものではありません。
ただ、それよりも稼げる、稼げないを主題にしていることに、私は懸念を持ちます。就労時間はもとより、生活設計上の安定性や、仕事内容の多くの場面で様々な危険に晒されることも考慮すると、稼ぎを主たる理由で選択するべき職業ではありません。

コラムも、そこが主眼ではないのでしょうし、むしろネガティブな内容ばかり指摘されているので、そうではないという話がしたいのでしょう。ただ、こういう専門学校が、営業上ある程度ブラフが必要だとしても、不正確な理解を用いるのはいかがなものかと思う訳です。
同じことは、弁護士の増減員論などの制度論でも散見されます。正しい事実、調査結果を前提として、意思決定に反映するべきだろうと思います。

私自身、周りの人に尋ねられれば、積極的には勧めません。たいていは、昔の弁護士というイメージをもってお話をされているからです。ただ、現実を直視した上で職業に魅力を感じるのであれば、自分なりに工夫をすれば食べていくことはできると思いますし、安定性についても物心ともに自身を律するということでしかなく、そこはサラリーマンだろうが変わりがありません。稼げる人も稼げない人もいるというのは、どんな仕事でも同じです。

何より、自分の仕事の中身や成果が、より収入・所得や事業継続性に反映される仕事であって、その点に魅力を感じています。幸い今のところ食べるのに困ることはありませんでしたし、不安はどこまでいっても小さくはないですけれど、弁護士の仕事や今の事業スタイルは、自分の性に合っていると思っています。

こういうファクターが生活スタイルや信条に合うのであれば、ぜひ頑張っていただきたいと思いますね。
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情報管理とヒューマンエラー・奈良地検:DV元夫に住所漏らすとのニュースに触れて
現場にいる弁護士としては、色々と考えさせられる記事を目にしました。

奈良地検:DV元夫に住所漏らす 女性が国家賠償請求
毎日新聞 2015年01月29日 15時00分

 奈良地検の男性検事(37)がドメスティックバイオレンス(DV)の被害者である30代女性の住所を、加害者とされる元夫(37)側に漏らしたことが分かった。女性は元夫からの危害を恐れて引っ越しを余儀なくされるとみられ、約200万円の国家賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした。29日の第1回口頭弁論で国側は住所が漏れたことを認めたが、争う姿勢を示した。

 訴状などによると、奈良県警が2012年2月に児童虐待事件で元夫を逮捕した。女性は県警と奈良地検から「元夫の性格を裁判で立証したい」と協力を求められ、DVの経験などを供述、警察官と検事が調書にまとめた。
 調書には女性の住所も記載されたが、女性は元夫に住所が漏れないよう繰り返し要請し、検事は住所を漏らさないと約束した。
 しかし、12年3月に元夫が起訴された後、元夫の弁護人の証拠開示請求に応じた検事は、女性の住所を黒塗りせずに調書を開示した。住所を元夫に知らせないよう弁護人に要請もしなかった。勾留中の元夫は弁護人から調書のコピーを渡され、女性の住所を知ったとみられる。【堀江拓哉】



元夫は児童虐待事件で逮捕勾留され起訴されたから、元妻の女性は事件当事者ではなさそうです。それを警察官・検察官が、元夫の性格立証の目的で、女性に協力を求め、児童虐待と直接関連のないDVの事実関係を聴取し、供述調書にした。女性から住所は絶対に知らせてくれるなと何度も申し入れており、これは今回の賠償請求でも検察官側が認めているから事実だとして、住所を見えるままで男性側の弁護人に開示した。
以上の経過で、担当検察官に落ち度があることは明白です。住所が知られただけでも苦痛であるのに、この種の訴訟を提起させられ、長々対応させられる女性の立場を考えて、国家賠償訴訟は、早期に決着させるべきでしょう。

男性の弁護人の立場ではどうでしょうか。
女性の供述調書をコピーしたのは正当な権利であるから問題ありません。ただ、住所が掲載されたままの状態で、供述調書を依頼者である男性に示したのがどうでしょうか。検察官から住所を示さないようにという要請もなかったといいますし、女性の住所部分も含めて一体の証拠資料ですから、これを依頼者に報告するのは弁護人として当然の義務とはいえます。

ただし、こんなニュースが出てからいうのは憚られるのですが、自分が同様の対応をしたかは分かりません。もちろんそのまま依頼者に示した可能性もありますが、住所を消して写しを依頼者に送った可能性があります。
自分自身、過去に被告人の弁護人であった際に同様の経験はありました。検察官のミスで、被害者の住所が墨塗りにならないで供述調書などが届いたときに、私は事件に至る経過や内容に照らして、検察官に連絡を入れた上で、依頼者に理由を説明して、住所や電話番号を抹消して資料提供したことがあります。被告人の弁護人として、関係者の住所を抹消することは法的な義務ではないですし、弁護士の倫理に悖るものでもないと思います。絶対的な正解がないですから、そこは弁護人自身のアンテナや価値観、依頼者との信頼関係の問題だと思います。

女性側で捜査協力するに当たって、事前に相談された弁護士だとしたらどうでしょうか。
どんな弁護士でも、協力するのは任意であるから構わないが、供述調書の作成に当たっては慎重な対応が必要だ、というでしょう。
書きぶりも含め、事実以上に男性を刺激しないような内容にするべきでしょうが、女性本人が自分で判断するのは難しい。参考人聴取の場に立ち会うことは求めるべきだろうし、検察官であればある程度は柔軟に対応される可能性もあると思います。
ただ、通常は、検察官に、住所は相手に開示しないでくれ、必ず抹消して謄写してくれと申し入れるだけでしょうし、それで十分なサービス水準だと思います。

自分としては、墨塗りされるべきものが生のままで開示された経験がある以上、供述調書そのものに住所を記載しないでくれと申し入れると思います。住所をどうしても記載するといのなら署名押印しません、と言って帰ってきてもらうようにするかもしれません。公判記録でも、弁護人に開示する資料としても、結局住所は隠すように求めて、対応してもらうのですから、最初から住所がなければ済む話だというわけです。

事情聴取の場で適切な対応がされたところで、供述調書という書類が作成された途端、それは証拠として扱われます。多数案件を抱えた中、検察官が各事件の弁護人から事前に証拠を閲覧・謄写させてくれと請求を個別に見て、絶対に墨塗り対応までしてくれるという期待が持てるか。特に、取調べの対応をした検察官と、裁判を担当する検察官が異なる可能性はあるし、それを補佐する検察事務官も異動などで交代する可能性はある。もちろん、検察庁内で被害者対応というものは万全を期しているでしょうが、それが実際には万全ではなかった、という体験は、ここ最近でも1度や2度ではないですからね。

人がやる以上、ミスはあり、ゼロにはなりません。我々の立場としては、法律や規則の内容を正確に理解し、捜査や裁判の実務を十分経験して把握した上で、リスクがゼロになる方策があるか模索し、ないのならそれを最小化するにはどうしたらよいか、記録を扱う人間、謄写するものの立場に立って、クライアントのために最善を尽くすしかないでしょう。

検察官のミスは極めて重く、請求額程度では全く足りないと思います。しかし、情報をめぐるトラブルや紛争は、特にインターネットやSNSの利用が当たり前になった状況で、極めて深刻な結果をもたらすのであって、他人事ではありません。企業でも、毎月のように、個人情報が流出した、従業員が会社外で資料をなくした、データの入ったUSBなどをなくした、パソコンをなくした、というような話があります。被害者になるか、加害者になるかは紙一重、誰しもが関わる可能性のある問題だという意識を共有し、ミスが減るようにするにはどうすればよいか考える必要があるでしょう。

法律専門家なら、検察官がけしからん、ひどい話だ、で終わらせていてはいけないし、一般の方にしても自分が同じ立場に立ったらどうするだろう、どうしたらよかったのだろうと考えるべきでしょう。ヒューマンエラーは、人間の意識を高めるということでは防げません。人間が信用できないという前提で、被害を防ぐシステムを作る、そこに頭を使うべきなのだと思います。センシティブな情報を扱う裁判所、検察庁、弁護士事務所は、肝に命じなければなりませんね。
盲導犬への暴力~動物の保護
ワンちゃんを飼っている者としては、許せないニュースに接しました。

盲導犬:数カ所刺されてもほえず…出血も耐え男性と歩く
毎日新聞 2014年08月27日 21時47分(最終更新 08月27日 22時17分)

 さいたま市の全盲の男性(61)が連れていた盲導犬が先月、何者かに刺され、けがをする事件があったことが分かった。男性が仕事先に向かう電車内で被害に遭った可能性が高いとされるが、訓練された盲導犬のため事件当時もほえるのを我慢したとみられる。県警武南署は悪質だとして器物損壊容疑で捜査している。

 刺された盲導犬はラブラドルレトリバーの雄で9歳の「オスカー」。同署によると、右の腰付近を先のとがったもので数カ所刺されたとみられる。


何故そんなことをしてしまうのか、背景事情が全く分かりません。
ですが、犬のこと、人のことそれぞれに大きな懸念があります。

第一に、この盲導犬のオスカー君が、声もあげられず、為すがままにされてしまったということに心が痛みます。彼のご主人への忠誠心は揺らいでいないのでしょうが、人に対する信頼、外界に対する警戒心という点で、肉体だけでなく心にも大きな傷を残してしまったのではないかと心配です。
第二に、盲導犬を連れている視力に障がいのある方にとって、盲導犬はただの犬ではなく、いわばその人の「眼」です。盲導犬を攻撃するということは、人間の眼を傷つけているのと同じことをしています。そして盲導犬は視力を補っているだけでなく、ときに疎外感を覚え、非常な不安を抱いている視力障がい者にとって、絆で結ばれた心の拠り所でもあると聞いたことがあります。自分の傍らで、忠実に寄り添いながら、バディが耐えていたとなると、そのパートナーとしてどうにかしてやれなかったのかと自責の念にかられてしまうのではないかと、とても心配です。

動物を傷つけること、特に、盲導犬を傷つけることが、ワンちゃんや人間、そして同じ立場にいる人たち、訓練や養成に携わっている人たちにとって、どれほど酷いことかということを、私たちも想像しておきたいものです。
ところが、動物を傷つけること、に対するペナルティには、記事にあるとおり限界があります。

 動物への虐待を巡っては、動物愛護法違反罪(2年以下の懲役か200万円以下の罰金)も適用されるが、悪質なケースや飼い主が明確な場合などは器物損壊罪(3年以下の懲役か30万円以下の罰金もしくは科料)が適用される。


結局のところ、愛護法が出来たとはいえ、「モノ」という扱いを超えないということです。
アメリカやドイツといった国の保護法制から見た保護体制の遅れというのは、悲しむべき程度にあるといえましょう。
近時は、ペットが様々な事情で傷つけられた、殺されてしまったという裁判例で、今まででは考えられない程度の慰謝料金額が認められているケースもありますが、それとて人間の怪我に比べれば何分の1の程度です。
地域問わず、もはやペットは私たちの生活に切っても切り離せない存在であり、人間と変わらない価値、位置付けであると思いますから、そのかけがえの無い存在に対してどういった法制度があり得るか、真剣に検討をすべき状況にあると思います。

私の家でも犬を飼っています。飼い主に似たのか?とても天真爛漫ではありますが、お馬鹿で、もうちょっとお利口さんになってくれないものかなと思うこともしばしばです。
それでも、調子が悪いとか、怪我をしたとなったら、とても心配になります。見知らぬ人に傷つけられたとなれば、底知れぬ怒りを感じるでしょう。それが、自分の補助として頑張ってくれていると盲導犬としてパートナーだったら、と思うだけで、涙が零れそうです。

ペットに関していえば、動物の愛護を訴えるだけでなく、飼い主の側のマナーや責任といった問題も大きくクローズアップされています。マンションでルールに違反してペットを飼う場合の対処等、現代的な紛争も生じており、ペット法・動物に関する法律は、今後より焦点があたっていくだろうと思います。

犯人については、適切な処罰は必要ですが、普通の感覚ではないわけで、何か事情があるかもしれません。そこは冷静に見守る必要があります。
今はただ、オスカー君の命に別状がなさそうなのでひとまずは安心しつつ、盲導犬と飼い主の双方が、心の傷を癒されるよう、少しでも回復することを、切に願うばかりです。
司法試験合格発表の日に寄せて
9月は裁判員裁判対象事件、無罪を争う事案があって、繁忙を極めています。
難しい案件ですが、優秀な弁護人に囲まれて、自分も全力で頑張っています。

さて、今日は、司法試験合格発表日。
自分自身、教員等をしていませんし、大学を卒業して年数も経ったので、直接の知り合い等はほぼいません。
しかし、間接的な知り合いが合格した等という報にちらほら接していると、素朴に嬉しいものです。
合格した皆さんおめでとう。不合格の方でも捲土重来を期待します。

ただ、法科大学院は何のためにあるのか、をあらためて考えさせられる日でもあります。
大学別の合格者数を上位から並べると、慶応、東京、早稲田、中央、京都と来て、次は法科大学院のショートカットに設けられた予備試験合格者。しかも、合格率でいえば、上出来の法科大学院でも50%を超えるのがやっとのところ、予備試験合格者は71.9%だそうです。

予備試験は受験資格の制約がなく、合格すれば2年ないし3年の法科大学院を卒業しなくても、司法試験受験の資格が得られるということもあって、大人気。合格率は、旧司法試験並で、3%の難関となっています。
それでも多数の受験者がおり、司法試験の合格率が法科大学院卒よりも20%以上も高いというのは、十分考えなければならないことだと思われます。
このような傾向を反映して、大手法律事務所の新規採用は、予備試験合格者の奪い合いだとも聞きます(もちろん、大手法律事務所に就職するのが絶対的な正解だなんて思っていませんからね)。

法科大学院の教育が、司法試験合格率を上げるためだけにある、とは言いません。素晴らしい教育効果のある授業・講義があるということは聞きます。司法試験科目だけでもいけないと思いますし、友人の弁護士も一所懸命指導に足を運んでいます。
しかし、それでも、実務家の要請が第一目標だとすれば、司法試験合格率はその大学の学生の水準、教育水準を一定程度反映していると言われても仕方がないと思います。
あらゆる法科大学院が、予備試験合格者の合格率に大きく水を開けられていることが、どういう意味を有するのか。法学部の学生にとって、4年間の学部での授業以上に、大学院で何が期待できるのか。将来展望が開けるのか。

ただひとつ言えるのは、私がもし今大学生なら、司法修習が貸与制だということも相まって、法科大学院に入学するという選択肢はほとんど考えられないということ、法曹を志すなら予備試験を目指すだろうこと、そして、そもそも、かなりの確率で法曹以外の分野を選択しているだろうことです。
法曹養成課程が、相当な危機にあるということが、業界のエライ人たち、大学や文科省のエライさんたちには、伝わっていないのだろうと思います。
現場の弁護士は、もはや自分のことで精一杯で、若手の将来には極めて悲観的であると声を上げても伝わらないことに、絶望しているのではないでしょうか。

やったーと喜び、将来に期待を寄せている合格者の方々を横に見ながら、悲観的な物言いはできるだけしたくないですが、しかし、現実を直視しなければなりません。法曹養成のプロセスについて、楽観できる材料がないのは確かではないでしょうか。
こんなブログで意見を書いても何も変わらないかもしれませんが、しかし、言わないではおれない状況です。
自分自身、初心を思い起こしつつ、現状を改善するためにはどうしたらいいものかと、頭を悩ませる一日でした。
笹子トンネル事故提訴の報に触れて
しばらく更新しておりませんでしたが、前回に引き続き、社会的な問題について、意見をする機会に恵まれましたので、ご紹介しておきます。

笹子トンネル事故で遺族が「提訴」 知っておくべき訴訟のポイントは?
2012年12月の年の暮れ、山梨の中央自動車道の笹子トンネルの天井が崩れて、下敷きになった事故についてです。
多数の死傷者を出し、この度、犠牲者のうち5人の遺族が提訴に踏み切るということで、私なりに理解しているところで意見をしました。

国家賠償について色々触れている機会があったので、ブログをご覧になって意見を求めていただいたようです。
今回の事故、とても痛ましく、被害者には何の落ちどもなく、また、誰がそうなってもおかしくない状況で、自分自身恐ろしい思いをしたのを、まざまざと思い出しました。

今回の訴訟の代理人は、国賠訴訟を断念し、国の責任は直接追及しない結果になったようです。
国を被告とすることで、単純に被告の数が増えますし、私企業と違って国賠法という法律上の論点にもつながりますし、事故の原因となったトンネルの欠陥との結びつきがどこまで認められるかは、シビアな問題になってきます。
公共財である道路、しかも高速道路について、問題が生じた場合に、国の非を追及しないということに、ご遺族や代理人としても忸怩たる思いだろうとは思いますが、負担の大きさを考えると、それもやむを得ないのかもしれません。
ただ、今回の訴訟をきっかけとして、国の管理の仕方やどこまでの報告がなされていたか、管理がなされていたのかについて事実が明らかになることで、犠牲となった皆さんの死が将来の我が国の安全に繋がるようにしたいものです。

自分も車を運転しますし、トンネルも沢山とおります。
多くの方はそうでしょうし、車に乗らない人も電車でトンネルを通ることはいくらでもあろうかと思います。
常に何かあるかもしれないのだということを、きちんと認識はしておくべきでしょうし、
こういった犠牲のもとに公共の安全が保たれ、確実になっていくのだということを、十分に理解しておきたいです。

あくまで特定の方々と、中日本高速道路ほかの企業との訴訟ではありますが、公的な色彩は帯びると思います。
被告側も立場はあろうかと思いますが、事実関係については詳らかにされるよう期待したいものです。

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