FC2 Blog Ranking 前川弁護士blog 2008年02月
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 前川 直輝

Author: 前川 直輝
最終学歴 京都大学法学部
司法修習 54期
カリフォルニア州弁護士
Maekawa国際法律事務所・代表弁護士
https://maelaw.jp/

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保護処分取消
2月は早いですね。
今年は閏年で1日多いですが、それでも今週で終わりです。

さて、1月に抗告受理がされてしまったとご報告した件の関連事件です。
この件の兄の元少年(今は成人しました)は、
家裁で少年院送致、その後否認に転じましたが高裁・最高裁で不服が通らず確定し、少年院で1年以上過ごしました。
大人の裁判でいう「再審」にあたる保護処分取消申立をし、本日家庭裁判所において少年院送致決定を取り消す旨の決定を得ました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080228-00000028-yom-soci
など、報道も多数です。

何度も書いていますが、少年だからこそ、慎重に調べなければならないのに、端から犯人だと決めつけて、朝から晩まで取調べる等ということはおよそ許されません。
警察だけでなく、検察も誤りに気が付かず、警察を追認するだけでした。
そして、家庭裁判所やその後の高等裁判所でも「無罪ではないのか」という目で慎重な審理がされたとはいえません。

司法試験に合格すると、司法修習といって、見習いで色々教わる期間があるのですが(当時は1年半)、その際、検察庁での実務修習を受けました。
当時、実を言うと、検察官になろうと決めかけていたところで、指導をしていただいた検事たちともよく話をしましたが、ある検察官はこう言っていました。

「裁判であるから、証拠次第で認められたり、認められなかったり、いろいろな評価は考えられる。ただし、その人が犯人であるかどうか(犯人性、といいます)だけは絶対に間違ってはいけない。自分は、検事になったとき、犯人性を見誤ったら、職を辞する覚悟で任官した。」

この件の担当検察官は、相当経験を積んだ人で、今も検察庁にいますが、いったい何を思っているのでしょうか。
運が悪かったとか、警察が悪いとか、軽く考えているのかもしれませんし、深刻に反省しているかもしれません。
今後、検察官は、今回の決定に対して、さらに争う可能性は低くありません。
ただ、成人2名、少年2名、すべてについて、同じ証拠になって、無罪という結論が、それぞれ違う裁判所・裁判官によって判断されたわけです。

もう十分だと思います。
これ以上、恥の上塗りは止めましょう。
あきらめるべきです。