FC2 Blog Ranking 前川弁護士blog 2008年09月
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 前川 直輝

Author: 前川 直輝
最終学歴 京都大学法学部
司法修習 54期
カリフォルニア州弁護士
Maekawa国際法律事務所・代表弁護士
https://maelaw.jp/

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地裁所長襲撃事件・完結
ご無沙汰しております。
さすがに9月ともなると8月の緩やかなヴァケーションモードはなく、粛々と仕事に精を出す毎日です。
出来レースの自民党選挙、事故米事件(あれは確実に事件ですよね)など、まったく明るい話題がない日々が続きますが、毎日小さい幸せを積み重ねて豊かな生活ができればと思っています。

さて、これまでレポートして参りました地裁所長襲撃事件ですが、
成人でいうところの再審(少年の場合は保護処分取消審判といいます)で家庭裁判所で「無罪」、これに検察官が抗告受理・高裁が抗告を受理してしまった件、昨日高裁が決定を出し、無事抗告棄却、つまり「無罪」が追認されました。
検察官は最高裁に再抗告ができませんから、これでこの元少年(と新聞が報じているのは、現在成人したからなんです)の再審無罪が確定しました。

事件が平成16年2月16日、少年の兄弟が逮捕されたのが平成16年5月ですから、4年以上の月日が流れました。
記者会見をし、各紙も報道してくれたようですが、記者に弁護団として全件が無罪で終結したことについての感想を求められて、非常に困りました。
やったーという喜びがないわけではないですが、それよりも、経過した時間、少年たちの失われた青春、家族の苦労などを振り返ると、とてもじゃないですが、諸手をあげて、という気分にはなれませんでした。
弁護士としても、費やしてきた労力や、それまでの七転八倒から、肩の荷が下ろせてほっとしたというのが率直なところです。

よく考えると、やってないんだから、当たり前なんですよね。
それが逮捕されて以降ここまでの話になり、無罪だと言われたって、ゼロがゼロになっただけ、そこまで費やされたことを見ればマイナスという結果です。

決定を見ますと、タックルをしたとされた触法少年(刑事責任が問えない年齢)が友人と交わしてた携帯メールが決定打なんですが、これが発見されたのは、その友人を成人の裁判で尋問したとき、かなりの偶然で見つかったんです。
これから、裁判員裁判がはじまるときに、この種のアリバイがあるはずなんだがはっきりしないという件で、果たして同じように救われるかというと、とっても不安で、疑問があります。
それ以外にも供述調書が大変変遷していて、おかしいんですけれど、そこは裁判官に言わせれば、「具体的」「迫真性に富む」といって信用できるとかいうんですよね。誰と一緒に犯行に及んだかが転々としているのに、です。
そこが一般人の方が普通の間隔で判断されるのであれば、アリバイ云々よりまえに無罪になりますが、裁判官も評議に参加して一定の方向性を場合によっては示したりする中で、過度な期待はできないのではないかと思います。
そう思うと、偶然に救われた、しかもその偶然が生まれるには有る程度の時間経過が必要であったということはいえるわけでして、裁判員裁判だったらどうだろうと思うと、ぞっとするところがあります。

ただちに裁判員制度が云々という意見をいうつもりで投稿しているのではないです。
ただ、こういうことがあったときに、皆さんが、刑事訴訟の大原則である「疑わしき派被告人の利益に」という視点で、検察官側の主張証拠を厳しい目で見て頂きたいと思うのです。

警察がまさか暴力をふるわないだろう、
やっていない人がやっているなんて普通いわないよ、
なんてことを言わないでいただきたいということです。
警察が行う取調べは、時として無茶であり、人格を蹂躙するものです。
裁判官は、残念ながらそのような疑いを持たずに裁判に臨んできた実態があります。
取調べが完全に可視化されることが必須だというのが、本件を通じて得られた確信です。
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