FC2 Blog Ranking 前川弁護士blog 2011年08月
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 前川 直輝

Author: 前川 直輝
最終学歴 京都大学法学部
司法修習 54期
カリフォルニア州弁護士
Maekawa国際法律事務所・代表弁護士
https://maelaw.jp/

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「ビューティーコンテスト」~選ばられる法律事務所になるために
ずいぶん投稿があいてしまって、申し訳ありません。
本来はこの時期まだゆったりしているはずだったのですが、民事保全や新規訴訟、急を要する相談が一挙に打ち寄せてきました。この時代にありがたい話でしたが、おかげでブログへの投稿が十分できなくなってしまいました。
短い記事でもちょっとずつ投稿したらいいのかもなぁと反省しています。

さて、先日の記事で、法律英語研修にて企業法務部員と交流したという話をしました。
それ以来、企業にとっての弁護士事務所の価値ってなんなんだろう、選ぶ側はどうやってその弁護士にたどり着くのだろうかと考えることがありました。
そうしたら、いつものAbove Lawで記事を見つけました。

Size Matters: Beauty Contests

Beauty Contest ビューティーコンテストとは、企業買収・合併などのケースが典型ですが、そういう複雑で迅速的確な業務を行うために、複数の法律事務所から受任の提案を受け、依頼先を選抜するという方法を言います。
ちょうどミス何とか、というミスコンテストに準えてこのように呼ばれます。
元記事の筆者も大事務所にいたときはこの種のコンテストを経験したが、小規模事務所に入った途端、ビューティーコンテストということをまったく聞かなくなってしまった、といいます。それは、クライアントの多くが「紹介」によって獲得され、ルートがより非公式な場に限定されてしまっているからだといいます。

そこで彼は挑戦的な問題提起をします。

If a team from Skadden or Sidley were lined up in chicken-garb, however, how would the small-firm attorneys best position themselves to win the contest? I asked some Biglaw-turned-small-firm attorneys for their best tips….
では、スキャデンやシドリーといった大事務所が顧客争いに参加した場合、どうしたら小規模事務所の弁護士がコンテストに勝てるようベストな位置につけるだろうか。私は何人かの大事務所から小事務所に移籍した弁護士から、コツを聞いてみた。


スキャデンは法律事務所の名前で、それはもうとんでもなく大きな事務所です。これに伍するにはどうしたらいいか。

(1) Focus On Efficiency(効率を重視せよ)
In these economic times, small and big clients are paying extra attention to their legal bills and doing their best to be cost-effective. This is one of the main advantages that small firms offer: quality work at a lower cost. So, anytime you are pitching a client, emphasize how you staff your cases or your deals leanly. And, explain that for the same cost, a small-firm partner can handle matters that would be left to Biglaw associates (who would do the work less efficiently and less effectively).
現代の経済情勢に照らせば、小さな、あるいは大規模のクライアントは、法律事務所の請求により一層の注意を払っており、費用対効果を最大限に図ろうとしている。これは小規模事務所が提案するにあたって最も有利な点である。つまり、より低い費用で、良質な仕事をするのだ。だから、クライアントにアプローチするときは、あなたがどれほど人員をその仕事に配置できるかを強調しよう。そして、同じように、小規模事務所のパートナーは大規模事務所のアソシエイト(勤務弁護士)がするような仕事も取り扱えるのだということを説明しよう(大事務所のアソシエイトでは仕事の効率は劣り、効果も少ないだろう)。


確かにサービス業において、費用を低く抑えられるというのは魅力ではあります。また、法律事務所の特殊性として、やはり経験の浅い人は、どうしても要領が悪かったり、知識が十分でなかったり、あるいはボスのチェックが必要であったりして、小規模事務所のパートナーと比べれば、同じことをやるのでも内容・時間的にクオリティーが劣る場合もあるでしょう。私も現場に出向いたり、書類を受け取りにいったりすると、わざわざそんなことしてくれて、と感謝されることがしばしばです。

(2) Build Credibility 信頼性を高めよ
Oftentimes, your job as outside counsel is to make in-house counsel look good. And in-house counsel are focused on keeping their job. It is easier to stomach a large legal expense or to explain away a bad result when it comes from an established Biglaw firm. So, it makes sense why some in-house counsel may be reluctant to retain unknown small firms. To overcome this initial burden, you need to build credibility. To do this, consider going after smaller matters where there is less at stake (and where it is less of a risk for an in-house counsel to choose your firm). If you do good work on the smaller matters, you will have built your own name recognition as if you were an AmLaw 100 firm.
外部弁護士としての仕事は、ときとしてインハウスローヤーがよく見えるようにしてあげるものでもある。インハウスは、その仕事を維持することに関心がある。だから、もし大事務所が仕事をするのであれば、多少の弁護士費用を我慢し、悪い結果が出ることも言い訳してくれるだろう。だから、インハウスが、しばしば名もない小規模事務所に依頼するのに二の足を踏むのは理解できることなのだ。この元々あるハードルを取り払うためには、信頼性を高めなければならない。そのためには、より規模の小さい事象を扱うことから考える必要がある(そういう場合、インハウスがあなたを雇うことのリスクもまた小さいのである)。もし小さな事案でこつこつとよい仕事をすれば、あなたはあたかも米国法律事務所トップ100に入っているかのように名を上げることができるだろう。


「小さなことからこつこつこなす」というのは、私も体験としていくつも持っています。
いまどきは競争が激しいし、経済基盤も不安定なので、どうしてもペイが良い事件に興味が集中するかもしれません。しかし、企業、特に大きな企業が、これまで使っていた事務所以外に、小規模な、そして多くは年齢的に若い弁護士事務所に依頼をする、ということは様々な障害があります。その障害の中には、大事務所やこれまで使っていた事務所に依頼し続ければ問題がない、という保守的な態度もあり、必ずしも合理的ではありません。しかし、些末な仕事であれば、ためしに使ってみるということも考えられますし、既存の顧問弁護士に100%満足しているというケースはそれほど多くないわけですから、常にアンテナをめぐらせ、「何か新しいニーズ」を満たそうと探しています。
私も開業時に比べれば、それなりの規模の会社の依頼を受けていますが、どれも、本当に小さな事件、一見すればお金にならないような事件を依頼され、全力でこなし、信頼を獲得したのがきっかけです。小事務所は、大事務所に比べて、金銭、時間、人員に限りはありますが、逆にいえば、どれに何をどれだけ投入するのかの裁量も大きいわけです。アピールできる長所は、意外な視点からもたらされるものだと思います。

(3) Get Up Close And Personal
より身近に、個人的に。
Beyond the financial benefits of going with a less-costly small firm, small firms offer another advantage that Biglaw cannot: personal attention. A small-firm attorney dealing with smaller matters is better able to answer a client’s request right away. Similarly, the small-firm lawyer is able to deal directly with the client without going through multiple layers of attorneys. So, when you are pitching a client, make sure that the client knows that he/she will be dealing directly with you, rather than going through a myriad of other attorneys who are only aware of their unique part of the case or deal.
コストのかからない法律事務所と付き合うことで経済的に利益を得るということももちろんだが、それ以上に、小規模事務所は大事務所には提供できないものを提供できる。それは個人的、私的な関心を寄せることである。小規模事務所で規模の小さい事案を取り扱っている弁護士は、クライアントの要求に直ちに答えることが可能である。同様に、小さな事務所の弁護士は、何重にも弁護士を経過しないでも、直接に顧客と向き合うことができる。だから、クライアントに接するときは、あなたが直接対応するのだということを知ってもらおう。それは、一つの事件や取引の一部分だけに関与している多くの弁護士を介するよりも、より良いことなのである。


顧客から見たときに、法律事務所に事件を依頼して、パートナーである前川弁護士に直接つながり、依頼ができる、というのは、私が思うよりもメリットなのだと最近感じます。大きな事務所だとだれが扱うか分らない、という不安があるというお客さんは少なくありません。もちろん、サービスに差がないように、採用には慎重を期し、採用後も良質のサービスが維持できるよう各自が訓練をするのですが、やはり人の能力、性格、素質には差があり、限界があります。そこは、同じ人間に頼めるという、安心感、安定感が勝るところであります。
私の場合も、あの人ならこの種類の事件は得意だからやってくれる、これくらいの費用でやってくれるんではないか、これくらいのタイミングでレスポンスがあるのではないか、という期待と信頼があるから、継続的にお付き合いいただけるのではないかと思います。逆にいえば、これから新規弁護士を採用する場合、特別に注意を払わなければならないポイントだともいえます。

(4) Emphasize Your Ability To Make Friends
仲間がたくさんいると強調せよ。
E-discovery is something that scares many clients. That fear may cause some clients to opt for Biglaw out of a belief that the small firm cannot handle a massive document review. The combination of co-counseling with other small firms and technological innovations, however, make that fear an irrational one. Explain this to the client. And forward them any proceedings relating to the McDermott case to remind them that when it comes to e-discovery, bigger is not always better.
イーディスカバリーはしばしば多くのクライアントを恐怖に陥れるものである。この恐れのために、クライアントの中には、小規模事務所では多くの書類を取り扱うことができないからといって、大事務所に事案をゆだねるところもある。しかし、他の小規模事務所との協力や、技術革新によって、そのおそれを無意味にすることはできる。このことをクライアントに説明しよう。そして、マクダーモット事件にあるように、イーディスカバリーにおいて、大きいことは良いことだ、とは必ずしもいえないということを説明しよう。


イーディスカバリー(e-discovery)は、アメリカの民事訴訟において、事件に関連する当事者社内の電子文書、電子メール等の情報を提出させる制度で、違反があると厳しい制裁があります。訴訟を提起され、関連情報を提示せよと言われたとき、訴えられた企業はその対応に大わらわだといいます。そうすると、ミスが制裁につながるがゆえに、どうしても大事務所に頼みがちだ、というのです。
しかし、ここで引用されているマクダーモット事件は、ディスカバリーで規模の大きな事務所がミスをしたというものです。大きいから大丈夫、というものでもないという例として挙げられています。むしろ、小規模事務所で連携がとれる体制であれば、大事務所にも引けを取らないサービスが提供できるのだということをアピールすべし、というのです。
これは大型倒産事件や、大型訴訟事案でも、しばしば目にすることです。以前の経験では、法廷で相手方当事者には東京の名の通った大事務所の弁護士がずらーっと並んでいるが、こちらは私ともう一人別の事務所の弁護士だけ、あるいは私だけということがありました。個別事案に関することですから全てに敷衍するべきではありませんが、その事案で目にした大事務所の弁護士の訴訟活動は、お世辞にも良質とは言い難いものでした。もちろん、規模が大きいからできること、というのはたくさんあり、そのできることはしばしば大量の報酬を生み出すので、価値はあると思います。しかし、クライアントから見たときに、規模だけがメリットとは限らないということは、確実に言えると思います。

(5) Conflicts Don’t Matter
利害対立の心配がないこと
There are many small firms that were formed by Biglaw partners who were unable to continue representing their clients based on conflicts of interest. For instance, Telecommunications Law Professionals was recently formed as a Paul Hastings spin-off based on conflicts. This is another selling point that you should emphasize.
大事務所出身で、利益相反するために顧客の代理人を続けることができなくなったという小規模事務所のパートナーがいる。たとえば、電子通信関係の法律専門家が最近、利益相反のためポール&ヘイスティングスを退職した。これは、あなたがアピールできるもう一つのメリットだ。


一般の人にはあまり実感がないかもしれませんが、弁護士は自分の顧客と現に対立する相手方から、別の事件の依頼を受けることができません。これを利害相反といいます。弁護士の仕事は対立する当事者の片方から頼まれるものですから、相手と対立しているということに価値があります。それが、別の事件ではその相手からお金をもらって事件を受けているというのでは、元の依頼者は安心して頼めませんよね。
大事務所であればあるほど、大企業の依頼者が増えます。大企業はたくさんの関連企業があり、多数の役員・従業員をかかえます。依頼者として獲得できるのはよいですが、逆にいえば、それらの法人・個人に対する事件というのはできなくなります。日本でも、地方都市にいくと、交通事故一つとっても、被害者からの事件が受けられなくなるからといって損害保険会社から依頼を断るというケースがあります。
小規模事務所の場合、顧客に人数は限られますから、当然受任できる事件の範囲が広がります。これは案外メリットです。私自身も少なからずそのメリットを実感しましたし、たとえば利害相反のため受けられないからといってほかの事務所から仕事を回してもらえることもあります。

(6) Find Your Sweet Spot
スイートスポットを見つけろ。
There are certain deals or cases that a small firm cannot handle, for example sophisticated deals that require the resources of multiple practice areas or mega-lawsuits that require an army. There are many cases and deals, however, that a small firm is better able to handle AND that other firms (big or small) may not be aware of. The challenge is to identify that “sweet spot” and then aggressively target those matters. In other words, create your niche.
中には小規模事務所が扱えないタイプの事件、取引もあるだろう。たとえば、複数の業務領域にまたがって人員を配置する必要があるような取引や、多数の弁護士を投入しなければならない巨大訴訟などがそうだ。しかし、小規模事務所だからこそより良いサービスを提供できる事案というのはあって、しかも、他の(規模の大小問わず)事務所が認識していない事件があるはずだ。その「スイートスポット」がどこか見つけて、がむしゃらにそれらの事件を扱うことが良いチャレンジといえる。別の言葉でいえば、あなたにとってのニッチを見つけよということだ。


私の最近の関心事は、まさにこの点にあります。
他の人にできなくて、私だからこそできる何かとは?という問いを、日々続けています。
弁護士の場合、他の人でも取り扱うことができるけれども、よりスピードが速いとか、より質が高いサービスを提供する、という競争の仕方が大半であり、現実にはそれで顧客を獲得することも十分可能だと思っています。
しかし、わかりやすさの観点でいえば、普通の企業や個人には、なかなかその差というのが認識しづらいと思います。やはり、これをやるんだ、という分野が見つけられれば、それに越したことはないでしょう。

今回の元記事は、大変示唆に富むもので、勉強になります。
弁護士業界に限らず、一般のビジネスにも当てはまることだと思います。
特に、弁護士は競争にさらされたのが最近で、足元がフラフラしているような気がします。
何度かブログでも書いていますが、自分を見つめなおし、客観的に分析すること、そのことで他者との比較、優位性の発見につながるのだと思います。
言うは易く、ですが、いろいろな仲間や家族との交流を通じて、自分の良いところ、他にない価値というものを少しでも見つけていければ、商売でもそうですが、人生も豊かになるのではないでしょうか。

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