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 前川 直輝

Author: 前川 直輝
最終学歴 京都大学法学部
司法修習 54期
カリフォルニア州弁護士
Maekawa国際法律事務所・代表弁護士
https://maelaw.jp/

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法律事務所の規模の違い~小規模の事務所に入ると?
暦は大寒を過ぎたところ。今日は東京でも積雪で事故も多数起こったとのこと。
慣れない天候のときには無理せず、ゆっくりとですね。
関西はそこまでの悪天候ではないですが、明日はさらに寒くなるとのこと。用心しなければいけません。

さて、いつも紹介しているAbove Lawというアメリカの弁護士ブログ。
やはり興味があるのは開業した小規模事務所の弁護士としての視点になりがち。
今回は、大小の事務所における弁護士の違いを考えてみます。
大阪弁護士会では2月くらいから就職活動が解禁され、司法修習生も色々と悩む時期ではないでしょうか。
おそらく修習生から見た規模の違いは、多くの場合誤解に基づいているのではないかと思うことがあります。
さて、弁護士が感じる違いはなんでしょうか。
Crisis of Faith - Above Law

原文筆者は、大規模事務所の弁護士とディナーを食べていて、小規模事務所と大規模事務所との違いを問われて、はてと我に返って不安になった、といいます。しばしば指摘される規模の差による差異について、再検討することになります。

(1) Small-firm lawyers work fewer hours.
(1) 小規模事務所の弁護士は労働時間が短い。

小規模事務所の弁護士が、いかに午後5時に退社して、仕事から離れた週末を送っているかを話していることは多い。しかし、少なくない弁護士は、実は大規模事務所と同様に忙しく働いている。


規模が大きいから忙しい、小さいからゆったりだ、とはいえないのではないか、という疑問です。
日本でも規模が大きくなると、受任するチャンネルも広がるし、大型倒産事件や企業結合など、人手がたくさん必要な事件を主力業務としているケースが多いです。ですから、一般論として、大規模事務所の弁護士、特にアソシエイトはとんでもなく忙しいのが通常です。
もちろん事務所や弁護士のスタイルによる違いは大きいですが、少なくとも私の知っている人たちは、東京であれ大阪であれ、大人数の事務所に入っていれば睡眠時間を削るほど忙しいということが多いようです。
大規模事務所に就職活動にいったとき、目の下のクマや、散髪に行けているかとか、確認してみてください。私は修習生のころにぞっとしたことがあります。。。

では開業して小規模になったから暇になるか?というと、そうでもありません。
かなり融通がきいて気分的にゆったりする時間は増えましたが、だからといって業務量が少なくなるわけではありません。むしろ、上司や共同受任している人に相談したり判断してもらうプロセスが要らないにも関わらず、就労時間がさして変わらないということであれば、仕事量は増えているのかもしれません。確かに大規模事務所のように常時大変な忙しさが維持されるということはないかもしれませんが、そんなに楽はできないでしょうね。
また、年末にも他の記事で引用しましたが、小規模事務所の弁護士は、自分自身で仕事をとってくる必要がより大きいので、受任事件の処理以外の仕事も多いです。必然的に仕事に割くべき時間は増えてくるでしょうね。

私はゆったりしたいから規模の小さい事務所がいい、と考える人は多いですが、ことはそう簡単ではないということを理解してもらう必要があります。うちの事務所に新人が入ったらどうなるかねぇ、とパートナーどうし話すこともあるのですが、土日出勤したり、終電がなくなるほど残業する必要はまったくないでしょうけれど、じゃあ5時6時に絶対帰れるかというと、そんなこともないんだろうなという感じです。
就職活動する先にアソシエイトの弁護士さんがいるのなら、生活状況を詳しく聞いてみるといいでしょうね。

(2) Small-firm attorneys make less money.
小規模事務所の弁護士は、稼ぎが少ない。

自分がどうしてこの点を「ウリ」にしているのか分からないけれど、確かな違いであるように思われる。しかし、友人が指摘したとおり、小規模事務所の弁護士の中には、大規模事務所に勤務していたときと同じかそれ以上に稼いでいる人もいる。


売上や収入については、千差万別でしょうね。
原文では、原告側業務を取り扱う小規模事務所でとんでもなく稼いでいる人を引用されていますが、日本でもその種の話はよく聞くことです。
恒常的に、かなりな規模の売上げを確保しようと思うと、多数の人手を使い、たくさん時間と労力のかかる仕事を受け続けられる事務所というのが、企業からの依頼も受けやすいかもしれないし、安定的に収入は得られるでしょう。また、納税額が億単位ともなると、大規模事務所のパートナー弁護士にでもならないと、日本の訴訟規模では一人二人の事務所じゃ到底難しいでしょうね。
新人で就職するにしても、給与水準は大規模事務所の方がよいのが一般的です。

ただし、小規模だから所得水準が下がる、という認識は、誤っているでしょうね。
共同事務所のパートナーの方が、スタッフの経費、広い事務所の賃料その他多額の経費負担がのしかかり、気が休まらないという話を聞くことはしばしばです(そういいながら皆さん頑張って稼いでいるわけですが)。東京の一部の事務所では、不況で売上げが減少して人員整理が始まっているという話もあります。逆に、小規模事務所でも、大型の事件を他の事務所と共同して受任したりして、多額の報酬を得ている人はいます。
私自身も元の事務所に勤務していたときの給料を、開業してから下回ったことは幸いにしてありませんし、さすがにそんなことでは出身事務所にも申し訳ないという自負は持っているつもりです。

つまり、月並みですが、弁護士によって収入は様々だということです。
所得水準で事務所を選ぶ、というのは感心しませんし、特に勤務弁護士時代の給料の額にしがみつくようでは、先が思いやられると思います。むしろ、事務所のパートナーの仕事以外に個人で事件を受任できるかとか、他の委員会や弁護団などの活動が許されるか、といった条件を確認して、自分自身が事務所に頼りきらずに稼げる力を持てる可能性があるか、を気にされた方がよいのかなと思います。

(3) Small-firm attorneys have closer relationships with partners and key decision-makers.
(3)小規模事務所の弁護士の方が、パートナーや鍵になる決定権者と親しい関係にある。


要は、就職してアソシエイトである自分を、パートナーにしてくれるというボス弁と近しい関係にあるかどうか、という話ですね。
目が届く範囲、人間どうしのつきあいが事務所全体であるかどうかは、確かに大規模かそうでないかによって大きな違いがあるでしょう。
大きな事務所に入れば、いつまでたっても名前を覚えてくれないとか、忘年会や暑気払いでしか話さない人がいる、といった事態が起こりえるでしょう。また、そこまでいかなくても、日々の仕事の中で、どこまでパートナーに相談できるか、かまってくれるかというのは大きな違いがあるように思います。

ただ、これも規模の大小とは根本的に関係はないかもしれないと思います。
小規模事務所の弁護士でも、ほったらかしで起案も見てくれない、という事も聞きます。
逆に大規模事務所でも、わりあい丁寧に指導してくれるとか、添削もかなり入るとか、そういう話を聞きます。
少なくとも大阪界隈であれば、規模が大きいからどうの、ということより、各弁護士の個性や教育方針、人間としての生き方の違いではないかと思います。

自分たちはどうなんだろうかと思うと、仲はよいつもりですが、プライベートはあまり関わってないですね。夜にイベントがたくさんあるというのでもないし、個別に干渉し合わないです。ただ、仕事のことでは、今日もありましたが、随時密に相談しています。一見しょうもないことでも、慎重を期しているということはよくあるので、新人さんがもし入所されても、それなりの指導はできるかもしれません。

(4) Small-firm attorneys get to do more substantive work earlier on.
(4)小規模事務所の弁護士は、より実質的な仕事に早い時期から関わる。


原文筆者がいうのは、小規模事務所の弁護士が意味のある仕事、書類チェック以外のことをよくやっているというと、大規模事務所の友人の弁護士も、比較的小さいグループで小規模の事件を熱心にやっている人もいるよと返答されてしまった、ということでした。

日本ではどうかというと、どこまでの仕事をまかされるか、また、どのような種類の仕事をすることになるのか、は事務所の規模で一定の差がありえます。
大きな事務所で企業買収をやっているんだ、とかいいながら、その実はデューデリジェンスとして細かな帳票類の適法性チェックに終始しているという場合もあります。その点、規模が小さいと、必然的にやらなければならない仕事の範囲が広がりますから、一般的に言えば裁量の広いことが多いでしょう。

ただ、これも規模の差もさることながら、業務の内容やボスのキャラクターによると思います。
小規模事務所の弁護士でも、なかなか他人に任せられなくて自分でやってしまうタイプの弁護士がいます。
その場合、なかなかボスから仕事が回ってこないんだよ、ということだってあるでしょう。
また、規模が大きいからこそ、色々なパートナーから仕事を任されて、業務の範囲が広いということだってあり得ます。他方、規模が大きいといっても、債務整理ばかりさせられる、ということだってあるでしょう。
司法修習生の段階で、仕事の中身まで十分理解できるとは思えませんが、3つめまでとは違って、どういう仕事のスタイルになるのかは一番関心を持つべきこですから、掘り下げて質問してみるべきでしょうね。


以上のとおりで、結局、規模が違うといってもそれほど確かな説明ができるものではない、ということが言いたいというのが原文筆者の趣旨です。だからこそ、タイトルが「信念の危機」とあって、それまで小規模事務所ではこうだ、といっていた自分の考えがゆらいできたよということだったのです。
私も規模の差というのは根本的な違いではないだろうと思います。
事務所経営の安定性ですとか、業務の幅だとか、そういうものは共同事務所の方がより信頼できるかもしれません。ただ、そこは物理的な可能性の広がりを言うのであって、小規模事務所であるから叶えられないことではないわけです。

どうしても焦ってしまう状況にあるのが、今の司法修習生だというのは理解しています。
悠長に選んでいる場合じゃないんですよ、という悲鳴が聞こえてきそうです。
ですが、どこでもいいかというとそうではないわけです。私が今の仕事のスタイルで、今のようなお客さんを得ているというのは、運もありますが、やはり勤務していた4年半が大切だったということは間違いなく言えるでしょう。
自分のスタイルにあった事務所に就職することを目指すべきで、あそこは大きいからとか、ボスが一人しかいないからとか、そういう短絡的な物の見方だけはしないで欲しいと思います。
その上でしっくりくる事務所が見つからないのなら、自分でやってやるよ、というくらいの気合いがあれば、結果的にどこか良いところに採用が決まるものだと思います。

これから正念場の方も多いでしょう。より多くの方が、自分の希望を叶えられるよう、応援しています。
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