FC2 Blog Ranking 前川弁護士blog 2012年05月
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 前川 直輝

Author: 前川 直輝
最終学歴 京都大学法学部
司法修習 54期
カリフォルニア州弁護士
Maekawa国際法律事務所・代表弁護士
https://maelaw.jp/

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法曹を志すこと~旧司法試験成績開示
5月のGW後は、一斉に新規、既存の案件が重なり、嬉しい悲鳴だというほどタイトなスケジュールでした。それでも新しいご依頼者との出会い、苦労した案件が終了できれば嬉しいものです。

さて、先日、採用活動をしまして、司法修習生に向けて偉そうに履歴書に意見しました。しかし、自分の成績も知らないのに、応募者に成績表を出せというのもどうかなという思いがありました。ちょうど登録後10年を経過し、初心に立ち返ろうという気持ちもありましたので、試しに成績を開示してもらおうと思い立ちました。

ここからはあくまで当時の話ということですが、不合格者には科目別成績がAランクからGランクまで、相対評価で教えてもらえました。しかし、合格者には自動的には教えてもらえなかったんですね。それが個人情報として誰でも請求すれば取得できるようになりました。
法務省に必要書類を整えて請求すれば、わずかな印紙額で開示してもらえます。

法務省のデータによると、私が受験した旧司法試験二次試験平成11年は、出願者33,983人、短答式合格者5,717人、論文式合格者1,038人、最終合格者1,000人で、対出願者合格率は2.94%でした。
平成9年までは750人だった合格者が、平成10年には800人余り、それが私たちの年から1000人に増えました。ちょうど1年前から、司法修習も2年から1年半に短縮され、やれレベルが下がっただの、色々ネガティブなことを言われたものです。
我々としては、合格者が250人増えたといっても、受験者も増えて倍率は変わらないし、何を偉そうにと反発していた気もします。

このような増加した合格者の質に対する批判は、受験開始から3年以内の人間を優遇するいわゆる丙案が実施されていたことも理由となっていました。
当時の合格者の平均年齢は28、29歳くらい。大卒後実に6、7年を受験に費やしていたんですね。合格者の若年化を図る目的で、受験を開始してから3年以内の者を優先的に合格させる枠というのを作ったわけです。
これによれば、全体順位1500位程度の者が3年以内までなら下駄を履かせてもらえました。
同じ受験中の先輩たちはお前らはいいなぁと言っていましたし、不公平だと真剣に意見していました。フェアじゃないのは明らかですものね。

今回開示された成績情報は公開すべきようなものではありませんからもちろんブログに書くのは控えますね。
ただ、成績を見ますと、特別上位でも特別下位でもなく、結果としては、丙案に頼らなくてもよく、また増員前の人数でも合格していたレベルだったようです。感覚的なものですが、自己認識とさほど変わりません。

科目別だと、短答式は良い成績で、論文式は民訴法だけCで他の科目はAでした。刑訴法は残り30分で一から書き直した覚えがあり相当落ち込んで、民訴法は自信満々でしたので、自己評価とも違います。
口述試験はあまりよくなかったですが、一日目の憲法で泣きそうになり、当時交際中だったいまの妻に電話でひとしきり愚痴を聞いてもらったのをよく覚えています。あれほど手応えがなく、二度と受けたくないと思う試験はないですね。
やっぱり論文式受験後の主観なんてあてにならないもんで、とりあえず論文が終わって口述の勉強を続けておいてよかったなと思います。

合格当時私は24歳、受験3回目でしたから、平均よりは少し若いくらい。4年生までの在学中に合格したという秀才も、10回以上受けているという先輩も、同じ合格者の中にありました。
学生や卒業後アルバイトをしながら勉強を続けていた人が大半ですが、中にはフルタイムの仕事をしながら勉強した人、退職して夢を追って苦労した人、結婚してお子さんもいる主婦で一念発起した人もいました。様々なバックグラウンドの人が集まり、同期の友人はみなそれぞれ尊敬できる法曹だという思いが今でもあります。

現在は法学部を出てさらに法科大学院に2年、他の学部出身なら3年通わなければなりません。奨学金制度もありますが数百万円がかかり、かつその間は相当長時間、毎日勉強をしなければならず、アルバイトもままなりません。
司法試験は3回、5年以内に合格しろと言われ、合格率は4人に1人くらい。簡単になったじゃないか、といいますけれど、法科大学院に入学する時点でセレクションがありますから、母集団のレベルは旧試験と単純に比較できないでしょう。

私自身は国立大学の休学制度をつかって学生の身分で6年在学し(休学中は学費がほとんどかからないが図書館などが使える)、生活の援助も受けられる環境にありました。
しかし、それも経済的な限界で、受験3回目までが限度で、それからも受験したいのなら自分で働きながらにしなさいと通告されていました。食費や書籍代などはアルバイトしながら自分で賄っていましたし、それ以外に使う項目がないくらい専心していましたが、正直言って、いまの制度なら、私は間違いなく司法試験に進もうとは思わなかったし、思えなかったでしょう。

じゃあ法科大学院がそれだけ素晴らしい人材を排出する教育過程かというと疑問があります。現在の学生や卒業生がどうこう言うのではありませんが、文科省が補助金を検討したりするのに、結局司法試験の合格率などが考慮されるわけで、自ずと試験対策が主になってしまいます。大学院入学試験や司法試験の準備には結局高い費用を払って予備校にいくわけで、本質的に何も変わっていない。
何より、受験資格を時間と金で縛る、しかも回数も制限するというのは、幅広い人材を集め国民にとっても有益な人材を確保するという理念にはほど遠いと思います。

現行制度の将来に悲観し、受験者数は司法試験も法科大学院も減っています。司法修習も給料がもらえない。そこまで負担を強いて、受験可能な層を狭め、弁護士になったら公益活動に従事せよ、収入が少ないのは自助努力が不足するからだ、などというのが本当に正義なのでしょうか。国家の根幹である司法の担い手を集めるのに良い制度だといえるのでしょうか。

自分の13年前の成績をみながら、現在の受験生の不安・負担はいかばかりかと、悲しくなってしまいます。せめて受験回数、年数の制約は廃止し、司法修習の給費制は復活してあげてほしいと強く願います。
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