FC2 Blog Ranking 前川弁護士blog 2012年07月
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 前川 直輝

Author: 前川 直輝
最終学歴 京都大学法学部
司法修習 54期
カリフォルニア州弁護士
Maekawa国際法律事務所・代表弁護士
https://maelaw.jp/

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厳しい業界だからこそ~弁護士としての職業倫理
私が所属する大阪弁護士会では、会員向けに月刊大阪弁護士会が毎月発刊され、配布されます。
今日も最新号を受領し読んでいます。大阪弁護士会の各種イベント、委員会での討議の内容、また裁判所・検察庁・警察署の情報(今月号では、大阪府で新たに交野警察署が新設された、なんて情報もありました)が載っています。

あまりこの種の雑誌を読まない人でも、大阪地裁倒産部の破産・破産管材事件に関する解説シリーズと、研修予定は必見で、読んでいると思います。

私は「法律援助事業・日本司法支援センター対応委員会」で副委員長をしているものですから、一定回数委員会に関する記事を書いています。
今月号を読んでいて、何かどこかで見たことのある文章やなぁと思ったら、自分で書いたものでした。そして、そのことに気がつくまでに、この記事は堅苦しい文章だなぁと思ったことも告白しておきます。反省しきり。ただ、弁護士である会員向けですし、あまりジョークが挟める内容でもないだけに、お赦しいただければと。。。

また、大阪弁護士会の会員に関する懲戒処分の告示の箇所もあります。
今月号は、相続事件における利害相反と、守秘義務の問題で2件の戒告処分が掲載されていました。
アメリカの倫理試験でも、ConflictとConfidentialityは頻出分野。代理人の仕事の難しさや難しいポイントは、洋の東西を問わないのだなと感じます。

利害相反というのは、現在依頼を受けている件の相手方から法律相談や事件の委任を受けることが最たるものですが、では過去の依頼者を相手方にするのはどうか、現在の依頼者の親族が相手方になるのはどうか、と考えていくと、その限界は必ずしも明らかではなく、難しいポイントです。
一つ言えるのは、弁護士は依頼者に対してその利益を保護するために忠実に職務に専念する義務がありますから、その相手方を利するとか、依頼者に不利に作用する可能性があれば、既存の人的関係を理由として事件を受けず、辞任をするべきだということです。

私も経験を重ねてくると依頼を受けたり相手方となった人は多数に上ります。利害相反には、今年に入ってしばしば遭遇していますが、倫理規程受任に問題はないだろうと考えられる事件でも、敢えて自重し、他の弁護士さんを紹介するようにしています。
また、特に私の場合はブログ等で業務に関連する記事を書くことも多いので、守秘義務には相当敏感でなければなりません。
私の中でのルールは、弁護士会で定められているより、厳しめに基準を設定し、所内のパートナーに相談しながら慎重に進めることです。幸いそうやって慎重に進めてきたら、大きな問題には発展せずに済んでいます。

一般の方には分かりにくいかもしれませんが、私たち弁護士も人間ですから、紹介者があったり、飛び込みで、自分を頼って来られる問題を抱えた方に対して、何とか手助けしてあげたい、自分ならサポートできると思う気持ちが常にあります。ですから、自分が引き受ける、引き受けるべきだという意思が強くなればなるほど、弁護士倫理の面では危ない橋をわたることになります。しかし、利害相反する事件がやまほどあるわけでは決してないですから、その一件のために自分のキャリアに問題が起こることは避けるべきでしょうし、何より関与することになる依頼者や相手方関係者にも多大な迷惑をかけることになります。
専門職は職業倫理が肝であろうと思いますから、そこだけは守りたいと思いますね。

先日も、同居親族の方が紹介者である事件を受任しました。
同居されている、親族であるからといって、依頼者の話や手続の内容等をペラペラと紹介者たる親族に喋るわけにはいきませんから、たとえ別の要件で紹介者と喋ることがあっても、絶対に口にすることはありません。今回の件も同様に対応し、些か堅苦しいまでに守秘義務を忠実に守っていたら、紹介者の方にその姿勢を高く評価してもらえたということがありました。
その紹介者の方は、弁護士という職業に対して理解が深く、どういう弁護士が信頼でき、頼れるのか、をよくご存知だということもひとつの要素ではあります。
ですが、弁護士増員で厳しい中、当たり前の原理原則に忠実である、ということは益々価値を持ってくるのかもしれません。
私のように平凡な人間でも、自分なりの正義感や職業倫理への忠実さには自信を持っているつもりです。周りの依頼者を見渡しても、結局信頼を寄せて下さる依頼者は、法人・個人問わず、そんな自分を気に入ってくれているんだろうなと想像しています。

先日来、弁護士職務倫理規程の堅苦しい話を投稿しています。面白くない話だろうなぁと思いますが、それでもしかし、愚直に理解を深め、忠実であらねばならないルールなんだろうと思います。
嵐の中でこそ、表面ではなく、足元を見つめ、確からしいものにすることが、とても重要だと思います。