FC2 Blog Ranking 前川弁護士blog 2012年09月
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 前川 直輝

Author: 前川 直輝
最終学歴 京都大学法学部
司法修習 54期
カリフォルニア州弁護士
Maekawa国際法律事務所・代表弁護士
https://maelaw.jp/

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弁護士の仕事の面白さ~人の心の奥底を探検する仕事
1ヶ月このブログを更新しないと、いろんな方に心配をされてしまいました。
9月も今日で最終日ですし、少しでも書いておきましょう。
おかげ様で私自身はとても元気にやっています。8月にアメリカに行き、帰ってきてからは、何だかとってもたくさんのご相談や依頼をお受けすることになり、一時的に突風が吹いているような感じでした。
MPREという米国の弁護士倫理試験もカリフォルニア州の最低ラインを無事クリアしました。
週末も仕事に出たり、終電で帰る日が続いたり、久しぶりに新人のころに戻ったような感覚で、それはそれで楽しんでいます。

さて、新人のころも随分忙しいと言っていたものですが、法律や実務の知識・経験は多少なりとも増えたでしょうし、そこそこ要領も良くなったのだろうと思います。
現在やっている仕事量の方が随分多いんだろうなと思います。
ただ、それでも毎日、楽しいんですね。つよがりではなくて。

弁護士をやっていて何が楽しいのかとふと考えます。
身内や友人からは「他人の様々な憤懣や、トラブルばかりが身の回りにあって、毎日大変な話しばかりきいて、しんどくないの?」と心配されます。

事件を処理して、ありがとうと言われるから?
難しい法律の知識を勉強して駆使して解決に導く知的な刺激?
たくさんお金が儲かるから・・・でないのは確かでしょうね。。。
どれも理由の一部ですが、現在おもしろさを感じるのは、人の心の動き、行動の動機を探る作業だったりします。

経済理論ではないですが、人間が理性的で、合理的な行動選択をする場合、おそらく私達が扱うような社会問題や、法的トラブルはかなり減るでしょう。
同じ交通事故に遭った人でも、極端な話、信号の色で真逆の言い分を言い出すわけです。
そういう認知や記憶の力が不完全だから、トラブルが発生し、かつ、その不完全さがどちらの側にあるのか、また両方とも不完全であるのかがなかなか分からないので、問題は複雑になります。
そして、一定の事実を前提にしても、例えば100円しか請求できないのに、10万円の費用を払って弁護士を雇う人だっているわけです。
依頼者が自分で色々と資料を準備し、弁護士と打ち合わせをし、法廷に出たりする時間を、その人の時給で乗じたら、どう考えてもコストに見合ったリターンが期待できないというケースもあります。
「先生、お金の問題じゃないんです」って言って怒って相談に来られる方も実に多い。

では、そこまでして弁護士に物事を依頼したい、という人の選択に何の理由もないか、というと実は人それぞれ何がしかのきっかけはあるわけです。
もちろん、単純に自分が譲らないといった主張のために、引くに引けなくなったという消極的な態度決定も考えられます。
自分はあまりこだわりはないが、家族や友人が必要以上に首を突っ込んできて自由な判断が難しくなってきているというケースもあります。
それに、「お金じゃない」といいながら、実のところ経済的な利益の多寡をかなり冷静に観察している人もいますし、逆に「お金だけとれたらいいです」といいながら、それ以外の要望があるケースもあります。

弁護士としては、場合によっては法律相談の初対面のときに、それらの意図をできる限り推し量る力が必要です。
完全には無理ですが、その人の言葉だけではなくて、表情や仕草といった、言語以外の表現を慎重に観察することはとても大切です。
貧乏揺すりする、息が粗くなっている、視線が一定しない、早口になっている、手や足が頻繁に動く、いろいろな態度を見ていれば、場合によってはその人が話していることが本意であるのか、こちらを試しているのか、誰かに言わされているのかといったニュアンスを嗅ぎとれる場合があります。
その人の年齢や性別、職業、収入、相談までにとってきた行動、過去の経験、また紹介者がいる場合はその人に対する評価意見も参考に、何故いま目の前の人が、そのような相談をし、希望を示しているのかを分析することもできます。

一件不合理な言動をしているかのように思える依頼者、相手方でも、最近あまり苛立ちを感じなくなったのは、一つには、「どうしてそんなことを言い出すのだろう」「どういうきっかけでこういうことを言い出しているんだろう」と人間の心の中、頭の中を覗きこむ作業をするようになったからだと思います。
理解し、共感できなくても、そのような考え方もあるのだと認識することは、とても大事なことです。

めんどくさいと思う人も多いでしょうし、そんな不合理な人を相手にせず、ビジネスでドライに仕事するんだ、というタイプも多いとおもいます。
しかし、私が面白いと感じ、日々の体験する景色が、キラキラと瑞々しくなってきた理由の一つは、やはり元来関心があった人間というものの有様が、不思議で、とても興味深く、そのことを考える余裕が出てきたからだろうなと思います。

そして、関係者の考え方や行動のとり方を想像し、予想する作業は、結果的に、交渉を有利に進め、訴訟を早期に終結させることにつながります。金銭だ、ビジネスだといったって、現場で動く人間は、たとえ法務部の人だとしても、一定のポジションで物を言っているわけで、人間というものに対する洞察がなければきちんとした成果を上げられないのだろうと思います。

偉そうに言いますが、まだまだ未熟ですから、研鑽はつまないといけません。
しかし、人生のあらゆる経験が血肉となって仕事に生きるものだ、だから、仕事やプライベートで、様々な機会が得られればそれを逃さず体験してみることだと言われた先輩の言葉が、漸くわかるようになってきたかなと思います。

医師は人間の身体の病気を直します。どうして症状がでるのか、原因が何で、どういう治療が最適かを判断します。
弁護士は社会関係上の医者です。社会関係と言うのは、つまるところ、人間どうしのぶつかり合いです。それを解きほぐすのは、結局人間に対する理解の深さと、なんとか真意を探り出そうとする探究心、好奇心なのだろうと思います。

だから、どれだけスケジュールがタイトでも、とても面白い。
もちろんストレスを浴び続けますから楽ではないですが、それでもなお、やる価値はある仕事だと思います。
少々疲れ気味な自分を叱咤激励する意味でも、面白い、楽しいと思い続けられるよう、仕事に対する取り組み姿勢を工夫することは大切だと思います。
10月も、人間に興味をもって、楽しく、頑張っていきましょう。
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