FC2 Blog Ranking 前川弁護士blog 2013年11月
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 前川 直輝

Author: 前川 直輝
最終学歴 京都大学法学部
司法修習 54期
カリフォルニア州弁護士
Maekawa国際法律事務所・代表弁護士
https://maelaw.jp/

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裁判員に対する考え方~裁判員裁判の意見交換会を終えて
今年の夏、アメリカから帰ってきてから2ヶ月ほど、裁判員裁判に忙殺されました。
優秀な弁護人と、信頼の置ける依頼者に恵まれ、苦しくも得難い経験をしました。
今回は裁判員裁判一般のお話。

裁判員裁判の後、裁判官・検察官・弁護人で集まって意見交換会があります。
ちょっとした反省会のようなものですね。
裁判官のお話を聞いていますと、自分たちの依頼者の案件では弁護方針や法廷活動に概ね問題はなかったのだろうということは確認できました。
ただ、意見を聞くにつけ、立場の違いで色々なことを思うもんだなと感じます。

裁判所からしたら効率的に運営したいから、「瑣末な」事実は捨象してポイントを絞って欲しい。
でも弁護人は、無実の人が有罪になるかもしれないと思うと、どうしても微に入り細に入り事実を拾い上げて弁護したくなる。
争点が細かくなればなるほど、審理は長期化するが、一般人である裁判員の皆さんが、ある事実を見たときにどう評価するかは、職業裁判官以上に予想がしがたく、指摘したいことが増えてきてしまう。
対立が先鋭化すればするほど、間接的な論点を含め争点は複雑化し、証拠の数も増え、公判前の整理に時間がかかり、その間被告人はなかなか保釈してもらえないという悪循環。

裁判員裁判は、刑事弁護人として、やり甲斐を感じる分野であります。無罪に終わったから言うわけではありませんが、一般人の方にも分かるような言葉で説明をするという作業を通じて、より良い弁護活動に繋がるのではないかという予感はします(量刑については、色々問題はありますが)。
ですが、争点を絞って、短期間で、一般人の経験を取り入れた適切な裁判を、という当初の目論見どおりには進んでいません。
それは、検察官・弁護人が、裁判員の物の見方に対して、予測不可能を危惧する漠然とした不安感に帰着するように思います。

無罪になったから、後から振り返ってみれば、ここまで言う必要なかったよね、とか、過剰な弁護ではないかといったことを言われるわけですけれど、こちらからすれば無罪になるかどうか分からなければ最善を尽くすのはあたりまえじゃないかと思うわけです。
そこには埋めることのできない溝があるように思います。裁判官、検察官、弁護人と三者が異なる立場、視点で活動するからこそ、真実に肉薄し、有効な防御ができるのだろう、公正な裁判に繋がるのだろうと思いますから、それ自体否定的には捉えていません。

自分たちが行った弁護活動に後悔はありません。
ただ、意見交換会を受けて、もう少し裁判員の健全な常識というものに信頼を置いてもよかったのかもしれないと、些か反省するところもあります。弁護士としてはそれでも論点や事実、証拠を削るということに、職業上も不安を感じるわけですが、特に今回は事実面で大きな争いがなかったが故に、もう少し一般の方の常識を信頼しても良かったのかもしれない、という感じをいだきました。

裁判員裁判という制度は、一般人である裁判員の健全な判断能力に信頼を置いた制度です。
私は、量刑の不安定さや、被告人に選択権がないということ、無罪判決にも検察官控訴が許されていること等、制度的に問題は少なくないと見ています。
しかし、裁判員制度が実施されて時間が経過する中、実は、我々弁護士の中で、本当の意味で「健全な常識」というものに信頼を置ききれていないのではないか、我々自身の感覚に裁判員というものが根付いていないのかもしれない、という印象を持ちました。

制度に完璧なものはありません。日々、実務の最前線で、ベストを尽くして貢献できればと思います。
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