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Author: 前川 直輝
最終学歴 京都大学法学部 司法修習 54期 カリフォルニア州弁護士 Maekawa国際法律事務所・代表弁護士 https://maelaw.jp/
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2017年7月カリフォルニア州司法試験合格のご報告 |
もう随分とご無沙汰しておりました。Facebookはじめ各所からお問い合わせいただくことが最近増えておりまして、せっかくの機会ですので、とても久しぶりに投稿しておこうと思います。 去る2017年7月に実施されたカリフォルニア州司法試験 California Bar Examに合格し、12月に同州弁護士登録を済ませました。長いような、あっという間の挑戦でしたが、良い報告ができて本当に嬉しく思います。
2017年7月は、3日だった試験が2日制に変わる最初のときで、Essayは6問から5問に、PTは180分2問が90分1問に、大きく変化しました。 一番大きかったのはMBEの比重とWritingの比重が50:50になったことです。MBEについては、私は既に1440を超えることはできていたので、自分にとっては有利な変更だと思いました(思うようにしていた、というのが正直なところですが)。 そして、Writingについても、途中答案にならなければ、普通の精神と肉体の状態なら、最低限ここまではスコアが出せるだろう、というラインがつかめていました。ですから、Writingがいつもどおりであっても絶対に合格ラインを超えられるくらいに、MBEでハイスコアを取ってやろうと腹を決めて、徹底的に対策をとりました。 おそらくその制度変更にあわせた学習方法の変更が、成功の鍵となったと思います。
新制度での90分PTはSampleの1問しか公開されていなかったので、不安は尽きませんでした。でも受験生は皆同じ条件です。Sampleを徹底的に分析して、他州の90分テストの方式を少し眺めて、あとは時間のコントロールに注力しました。 PTは180分のころから、出来が良いときと悪いときの差が激しく、駄目なときはほとんど途中答案でした。 90分となり、時間はタイトに見えるのですが、私にとってはプラスに受け取れました。つまり、自分にとって決定的に不利だと思っていたのは英語による読み書きスピードの差だったので、時間が短ければ短いほど、現地受験生との差異が生じにくくなると思ったのです。読む資料の分量も大幅に減りますし、たとえば出て来る判例の数もたいてい1個、2個だろうという計算になるので、現地判例の読み方の訓練を受けていない自分にとっても理解はしやすく、言葉のハンデによるスピード差は小さくなるはずです。 実際、JulyのPTは主題が理解しやすいものだったこともあって、余裕はないものの時間内に題意を把握してきちんと答案を仕上げられたと思います。
Essayについては5問になりましたが、基本的に中身が変わるわけではありません。もっとも、問える問題数が減るということは、出題者としては科目数を維持するために、Cross Overを必ず増やしてくるだろう、そしてCAプロパーと連邦法の比較が増えるだろうという確かな予想がありました。最近その傾向は少しずつ出ていましたが、2日制に変わってより顕著になったのではないかと思います。 Essayについては、60分1問をできるだけ守ること、守れなくてもはみ出す時間を最小限にとどめることを意識しました。さすがに知らないIssueというのはほとんどないだろうという自信はありつつ、今までのように知っていることを吐き出そうとするのではなく、本当にシンプルに問題文の一つずつを大切にして、出題者の意図を読み取ろうと集中しました。何度かブログで書いたように思いますが、Essayの場合、答えは問題文に表現されています。そのヒントをどこまで普通に受け取って表現できるかがポイントです。タイポや文法間違いなど、一切気にしなくて良いし、非母語者であることを負い目に感じる必要はまったくありません。それは公式サイトでもアナウンスされている通りだと思います。
MBEは前回までとにかく難易度が高すぎるとロースクールなどからも批判が強まっていました。だからということかわかりませんが、結果的にJulyの難易度はかなり易しくなったようです。それはスコアにも表れていたようですね。自分としても受験後の体感は、えらく易しくなったなというもので、MBEで跳ねようと計画していた自分にとってはあまり良い情報ではなかったです。 それでもAdaptibarをきちんとやって、正答率が自分の目標とするレベルに達していたので、本番環境でも設定したスコアはクリアしていたのではないかと信じていました。
合格発表の数日前は、記憶が断片的になるほどに、ストレスがかかっていたようです。当日はインターネットを通じて受験番号等を入力すれば結果が表示されるのですが、サイトがダウンしていて何度やっても先に進めませんでした。20分以上経過して、PDFでRegistration No.とApplication No.の組み合わせで合格者一覧が表示され、自分のそれに合致する箇所を見つけたものの、さらにしばらくしてサイトで正式に確認するまで疑心暗鬼でした。確認に30分以上かかったので、書斎から妻の待つ部屋へ向かうと、また駄目でホテルの予約も済ませたのだと思われていたほどです。
2日制は、日本からの飛び込み受験生には大いに有利な変更で、スケジュールが圧倒的に楽になりました。 滞在日数が少なくて良いですし、終わってから平日金曜の夜に東京に戻れます。仕事をしている人にとって受験スケジュールは死活問題で、私自身も試験終了後から普通に日本の仕事をたくさん処理できることができて助かりました。 ちなみに最終受験地はOaklandです。私は他にOntarioしか知らないのですが、たしかに滞在コストは高めですけれど、SFOからの交通の便が良いですし、生鮮食品を買うスーパーも徒歩圏にあって、食生活を重視する私にはとても良い場所でした。治安については色々指摘される向きもありますが、きちんと日中に外出するようにして、場所を選べば、安全に過ごすことはできますよ。
合格発表後はいろいろな方にお祝いをいただき、アメリカ領事館で宣誓を済ませ、年が変わってから弁護士会費を支払って、正式にカリフォルニア州弁護士の肩書で働くことができています。久しぶりに、受験モードではなくなり、睡眠時間を削らなくてよくなったことに未だに慣れないくらいです。不思議なもので、資格者になってみると、それらしいお話が舞い込んで来るもので、カリフォルニア州出身のアメリカ人のスタートアップからご相談があったり、外国の専門家から訴訟提起に関するご相談を受けたり、面白い広がりがあるなと思います。 当初お世話になった専門学校のAbitusさんは、フロリダコースタルローのカリキュラム変更等で、米国弁護士コースの新規受付が停止してしまっているようです。昨春、恥ずかしながら受験生の身分で体験を語る機会があって、そのときのアンケートで前川の合格体験談が聞きたいという声もちらほらいただいていました。せっかくですから、記憶の新しいうちに、体験がシェアできる機会があればと願っています。現在、受験時代の仲間の努力にも、陰ながらサポートできればと思って、少しずつ情報交換をしています。 私は、たまたま恵まれた立場にいて、周りの協力も得ながら、気合と根性でここまで来たというところです。ただ、飛び込み受験生で、日本法弁護士で事務所を経営しながら、という例はあまりないことかもしれません。その特異な経験を活かして、またチャレンジを続けていきたいですし、続かれる方々をサポートしていきたいと願います。
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