|
|
フリーエリア |
Facebookのアカウントです。ファンページもあります。
|
|
プロフィール |
Author: 前川 直輝
最終学歴 京都大学法学部 司法修習 54期 カリフォルニア州弁護士 Maekawa国際法律事務所・代表弁護士 https://maelaw.jp/
|
|
最近の記事 |
|
|
最近のコメント |
|
|
月別アーカイブ |
|
|
カテゴリー |
|
|
|
2018年7月・カリフォルニア州司法試験結果・7月試験では最低の合格率 |
日本時間でいうと本日2018/11/17、July 2018のカリフォルニア州司法試験の合格発表がありました。 合格された方、本当におめでとうございます。 うまく行かなかった方、大変残念ですが、しかし、是非次を目指していただければと思います。 自分自身、失敗を重ねた中で学んだこと、獲得した人脈もあります。昨年の発表からもう1年経ったのかと驚きますね。
詳細情報は来週にも更新されますが、速報リリースは、カリフォルニア州弁護士会のウェブサイトをご確認ください。 State Bar Releases July 2018 Bar Exam Results 受験完了者数8071人、合格者3284人、合格率40.7%は、7月試験では過去最低とのこと。 2017年7月土は49.6%でしたから、9%近く合格率が下がっています。 First-timerは合格率55.0%、Repeaterは16.0%です。再受験者だけでなく初回受験者にもなかなか厳しい数字です。
7月試験の受験者数は、毎年8000〜9000人の間で、昔は、アメリカの中では一番むずかしいと言われるけれども、50%〜60%は合格すると言われていました。
近年は40%台で、今年かなり下がってしまったことに、弁護士会も危機感を覚えているようです。 上記URLをご確認いただければよいですが、カリフォルニア州の司法試験データのリリースであるのに、 ・NCBEによればMBEの合格ラインが34年間で一番低かった ・テキサス州の合格率が昨年比7%減だった ・ニューヨーク州の合格率が昨年比5%減だった という情報を冒頭に並べており、NCBEや他州の合格率について言及するのは私が知る限り初めてではないかと思います。 この合格率低下傾向についてどのような原因があり、どのように対処すべきかについて、これまでにも調査研究は実施されてきましたが、新たに”California Attorney Job Analysis Study”をスタートさせると記載されています。 登録時点レベルの弁護士に要求される知識や技術について情報を収集することが目的だといいます。 司法試験の結果を受けてこれだけ色々と検討が進むということは、弁護士会としてもその結果を深刻に受け止めているということかもしれません。
カリフォルニア州は、全米で唯一、海外弁護士資格者の飛び込み受験を許容しています。 州自体の性格としても、オープンでリベラルですから、その政策はなんとなく理解できる部分があります。 受験者数が多く、様々な層が受けているので、合格率が低いということ自体どうこう言うべきではないでしょう。ただ、例えば、MBEの合格レベルスコア(Mean Scaled Score)は、全米平均1395に対して1404ですから、やはり合格ラインが他より高いことに間違いはありません。
さて、統計は統計として、受験者の方の関心は自分が合格するかどうかです。 司法試験委員会としては、合格基準をそれほど高くしたという考えはないのではないかと思います。これは一昨年にも言われていたことで、現地のロースクールからは激しく非難され、既存の弁護士や受験者にアンケートが実施される等、ちょっとした問題になっていました。 何をするべきかは単純で、50%のMBEと50%のWriting (Essay5問とPT1問)で合格ラインを超えることです。 その水準自体は、決して到達できないレベルではありません。 あとは、制限時間と戦いながら、マークシート方式が得意か、問題文を読んで検討して論述するほうが得意かで、ある程度戦略を立てて、合格できるプランを練ることだと思います。
日本の受験制度に馴染みがある方は、読み書きではどうしても語学のハンデがあるので、MBEでハイスコアを狙うのが得策ではないかと、私は考えています。論文式と違って、出題様式に大きな変化はありませんし、出題科目・分野は厳しくバランスが管理され、準備段階での所要時間や正答率が本番と大きく変わらないので、準備した成果がある程度期待できるからです。 論文式は、日本でも同じですが、やはり出題分野によって得意不得意があります。どの科目が出題されるか、どの分野が出題されるかで、正直って有利不利はあります。 私自身、日本の司法試験でも、アメリカの司法試験でも、合格できた年は、やや準備ができていたところが出題されて、アドバンテージが得られた部分があります。しかし、おそらくラッキーパンチが打てるかどうかはプラス何点の話で、基礎体力がなければパスできるものではありません。 特にカリフォルニア州の司法試験は、過去問が充実しています。Essayはほとんど論点が出尽くしていますし、3日から2日に受験日数が変わったことで、2つの出題傾向が顕著になっています。 Essay1問の中で複数科目が問われること、証拠法・民事訴訟法・弁護士倫理の分野で連邦や全米のルールとカリフォルニア州特有の部分の差異がある部分が頻出であることです。 言葉のハンデにしても、その人なりの水準というのは、一定量を何分で読んで理解できるか、何Wordをタイピングできるかも、事前に測定できます。 それら試験本番で要求される知識技術を具体的に想定した上で、自分なりの戦略を模索しながら、合格ラインを突破す確率が高める、それだけです。
私はこういうブログを書いていたりすることもあり、多くの方から勉強方法や、具体的な教材の質問を受けますが、結局その方の個性にフィットするのが一番ですから、あくまで参考程度に聞いていただくほうが良いと思います。 例えば、私はセンター試験が必要な国立大学を受験して卒業し、日本の旧司法試験を合格したといった受験経験があり、日本法弁護士として事務所を経営し、家族を持ちながら学習する必要がありました。 時間が極めて限られていたので、受験の年数も長くなりがちですし、やれることが限られていました。アフター5という概念もないですから、睡眠時間を削って平日に1時間、2時間を勉強に当てられれば御の字でした。 ですから、講義を聴いて、ノートを作って、問題を解いて、模擬試験を受験して、といった典型的な手法は取れませんでした。その代り、MBEは早いうちから解きはじめてある程度の段階で合格レベルに到達する自信は得られました。あとは、過去問だけを教材に、徹底的に研究して、出題意図を把握することと、読むことと英文タイミングのスピードを上げること、それだけに集中しました。
何を申し上げたいかというと、人それぞれやり方は何通りもあるということです。 そしてろくに勉強時間も取れない私のような人間でも、十分合格できるということ、それだけは自信を持っていただきたいと思うのです。 ただ、多くのご相談を受けていますと、問題文に臨む基本的な姿勢や、回答の進め方に誤解がある方が相当数いらっしゃるように思いますから、その点の修正には、助言ができるかと思います。
資格だけ取得して何ができるか、それはその人の考え方次第です。しかし、少なくとも今の日本のリーガルマーケットで、弁護士以外の方がカリフォルニア州弁護士資格を得ることは確実にキャリアアップの可能性を高めます。 企業内弁護士の方は、選択肢が広がり、転職の際の付加価値になります。 日本法弁護士の方も、やりようによってではありますが、仕事の幅や新しいチャンスが広がります。 是非、志望動機を明確にされて、努力をひたすら続けて、出来るだけ早く合格されるよう祈っております。 ブログのメッセージがなかなか拝見できないので、ご質問がある方は、当事務所の電子メールか(www.maelaw.jp)、Facebook(naoki.maekawa)経由ででもお問い合わせください。
|
|
|