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Author: 前川 直輝
最終学歴 京都大学法学部
司法修習 54期
カリフォルニア州弁護士
Maekawa国際法律事務所・代表弁護士
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職業選択の自由~プロ野球ドラフト問題に際して
東海大の菅野投手、巨人の原監督の親戚ということもあり、また本人のピッチャーとしての才能の高さから、ドラフト対象者の中でも注目を集めていました。
日本ハム
原監督の父親が出てきたり、読売のオーナーの某氏が憲法違反だとか愚痴を言ったり、色々と言われています。
はたして、野球のドラフトは職業選択の自由を侵害して違法なのでしょうか。

職業選択の自由は憲法で明確に認められた権利です。
歴史的には、家柄そのほかのしがらみで、ある人が選べる職種が極めて限定され、しばしば他に選択肢が存在しない状態でした。誰でも仕事をして収入を得なければ生活ができませんが、個人の自己実現の観点で、能力、性格、希望に沿った仕事が選べることが、人間の幸福追求には必須です。そこで憲法上の権利として定められた経緯があります。

もっとも、個人の幸福の一方で、それぞれの職業における要件、基準というものがあります。
足し算や引き算ができないのに会計がしたいと言ったり、
情熱を持っていないのに特定の会社に無理やり就職出来てしまうといった事態までを許容するものではありません。
そのため、憲法も「公共の福祉」という制限を設けています。

「公共の福祉」は、国民の人権の制約原理ですが、表現の自由、思想信条の自由といった内面的な自由に比べると、職業選択の自由の制約の原理・程度は、緩やかに理解されるとされています。法学部や一般教養で習うようなことですね。
 例えば、弁護士などはわかりやすい例です。誰でもやっていい仕事ではないので、弁護士法という法律が作られ、一定の条件、基準をクリアしてはじめてその職業を選べるということになっています。僕は、私は、人助けをしたいし、法律をたくさん勉強したから、弁護士にならせてよ、と言ってもそれは通らないわけです。その限度で人権は制約されていますが、その制約原理は合理的だというわけです。もっとも、現状の法科大学院制度や、司法試験のあり方がそれでよいのか、については甚だ疑問で、職業選択の自由を不当に制約しているように受け取れますが。。。

 さて、話を戻してプロ野球のドラフト制度ですが、これは国の設定した制度ではなく、NPBが定めた内規のようなものです。そうすると、NPBという私的な団体が、一般の人たち、野球を仕事としていきたいと考える人たちの自由を制限していることになります。
 それが許容されるかどうかは、制度趣旨と、制度の具体的な中身によります。
 ドラフト制度は、球団の金銭的な力の有無、程度によって優秀な選手が特定のチームに固まるという戦力不均衡を防ぐという意味があります。メジャーリーグなどは、前年の下位球団から指名権があるという具合に、戦力の再配分が徹底しています。その意味では日本の制度は、例えば今年なら、パ・リーグ首位の福岡ホークスと、最下位の千葉マリーンズとが、第一順位で指名できてしまうという限界があります。ただ、同一順位では1チーム1人しか指名できませんから、競合による抽選が発生するものの、ある程度特定のチームへの戦力の偏りは防ぐことができるでしょう。
 また、まだ何の実績も挙げていない新人に対して、過分に高額な契約金年俸を設定できるということで、モラルの問題も発生します。職業選択ですから、収入の多寡は判断の重要なポイントですが、だからといって青天井だというのでは球団が疲弊し、既存の選手の年俸や球団運営に支障を来たし、結局チームの様々な魅力ではなく、金のあるなしで物事が決まってしまいます。
 一般にドラフトが違法だとか、合理的な裁量を逸脱しているとは思われていないでしょうし、私も一定の意味があると思います(ただし、抜け道を色々設けるのではなく、完全統一ドラフトにすべきだとは思います)。

 ただし、選手の側としては、地域や尊敬する先輩、監督といった視点で、自由に球団を選ぶ自由があるべきで、受け入れ側の一方的な都合で制約に服しなさいというのでは、些か制約が厳しすぎるかもしれません。
 そこで、フリーエージェントのシステムやポスティング移籍のようなシステムを許容し、一定年数を経過すれば他へ移る自由を付与するという仕組みになっています。また、受諾の義務はありませんから、拒否して一定年数ほかで経験を積んで再度挑戦、ということは可能です。権利を完全に奪っているとはいえないでしょう。
 私は、FAの要件は少々厳しいように思いますが、概ねドラフト制度そのものは合理性があると思います。
 
 
 さて、菅野選手ですが、個人的には菅野には日本ハムに入団してもらいたいと思います。
 日本ハムのファンではありませんが、1年ないし2年を棒に降るほどのことか、と思います。
 巨人には、古い話なら江川、最近でも元木や、長野など、ドラフトで他球団の指名を拒否して巨人に入団する選手がいます。長野はとても活躍していますが、プロとしての初動が既に遅れています。プロ野球選手の選手生命は、多くの選手が30代半ば、活躍していても40過ぎが限度だとされています。大卒で活躍するといっても、一流の仲間入りをしたとして、15年か、20年が限度でしょう。そのうちの1年を、何か勉強をするとか、会社勤務を経験するといった前向きな理由があれば別ですが、そうでないのなら、一刻も早く就職すべきかなと思います。
FA制度もあるわけで、本当に活躍し、本当に巨人に必要とされるような選手で、そのときに自分も行きたいというのなら、今度こそ正々堂々と入団できます。
 原監督だっていつまで巨人にいるか分からないですし、巨人に入ったからといって試合に出られるとは限らない。逆に、現時点では強いチームではないが、その中でエースとしてのし上がって、ステップアップするという選択だってありえます。
 
 最近の報道では、日本ハムの挨拶を受けてから少々心が動いたのではないか、との観測もあるようですね。
 素晴らしい選手なのですから、外野の発言は参考程度にして、自分が何をしたいのかをよく考えて判断してもらいたいものです。

この記事に対するコメント

すいません。もう二年も前の記事にレスするのはどうかと思ったのですが一言だけ
野球に限らずスポーツではそういった傾向があるかもしれませんが、野球選手には大きく分けて二つに分けられます。
プロに入った段階からその球団に所属している「生え抜き」とトレード、FAなどで途中加入する「外様」です。
そしてこの生え抜きや外様は見えないけれど分厚く越えられない壁があります。
ファンは生え抜きをより愛しますし、球団も生え抜きには厳しくけれど温情を持って接することが多いです。
対して即戦力、傭兵的な意味合いが強い外様選手(特にFA選手)は高額年俸や厚遇契約を結んでいることも理由ですが、より厳しく結果が求められるんです。
そして元いた球団のファンからは「裏切り者」と罵られるケースも多い。
9年我慢して得られるのは外様という肩書きと傭兵としての役割。そして元いた球団ファンからの罵倒です。
一年もしくは数年我慢すれば巨人の生え抜きになれ球団からもある程度大事にしてもらえる
長野選手も菅野選手も昔から巨人ファンだったということ。
巨人に入団したいというだけではなく「巨人の生え抜きになりたい」という想いが強かったんじゃないでしょうか。
そういった想いがあるならいくらFAを説いても意味無いと思います。
【2013/12/01 10:45】 URL | 名無しさん #- [ 編集]

国語 豊かな言葉のつかい手になるためには
前川さんは、言葉について、どう思っていますか?
あと、弁護士の仕事で気を付けていることは、なんですか?
【2014/09/10 09:57】 URL | 鈴木 音羽 #- [ 編集]

国語
前川さんは、今までで、弁護士の仕事で学んだことは、何ですか?
【2014/09/17 10:10】 URL | 鈴木 音羽 #- [ 編集]


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