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Author: 前川 直輝
最終学歴 京都大学法学部
司法修習 54期
カリフォルニア州弁護士
Maekawa国際法律事務所・代表弁護士
https://maelaw.jp/

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弁護士職務基本規程第1条~使命の自覚
桜の季節は過ぎて、今日などは汗ばむくらいの陽気でした。
さて、本日郵便で「解説・弁護士職務基本規程(第2版)」が事務所に届きました。
日弁連から全会員に送付されています。

そもそも弁護士は、弁護士法により、必ずどこかの弁護士会に所属し(例外はありますが、基本的に都道府県ごとに設置されます)、その単位弁護士会全部が集まって、日本弁護士連合会が存立する、という組織構成となっています。

弁護士は、公務員でない法律関連業種で、唯一監督官庁のない、独立団体です。
権力と伍するのが仕事であり、あらゆる干渉を排除しなければならない。
だからといって、どんなことをしてもいいわけではない。
弁護士法で弁護士会が内規で綱紀事項を定めるとされており、従前弁護士倫理というものが定められていました。
ただ、「弁護士倫理」は文字通り倫理条項であって、会員に対する拘束力が必ずしも明確ではありませんでした。
そこで、平成16年11月、弁護士会の会規として弁護士職務基本規程が成立したものです。

このように、各弁護士が従うべき規程である以上、弁護士として規程に通暁しておかなければなりません。
私自身も11年目となり、気を緩めてはいけないタイミングでもありますので、少しづつ読みながら、ブログでご紹介したいと思います。逐条で書くつもりはありませんし、それはすでにこの手元の冊子がしてくれていますから、特に一般の皆さんにご紹介しようと私が思ったものを、その都度引用することとします。

第1条(使命の自覚)
弁護士は、その使命が基本的人権の擁護と社会正義の実現にあることを自覚し、その使命の達成に努める。


だいたい、法律とか規則の1条というのは抽象的な事柄を書くものです。
この第1条もぱっと読むと美辞麗句だが、何の意味があるのかとおもわれるかもしれません。
しかし、仕事をすればするほど、経験を積めば積むほど、弁護士法1条なり、職務基本規程1条は重く感じられます。

ここでいう基本的人権とは、憲法11条、97条に定めるのと同義で、「侵すことのできない永久の権利」。
侵すことのできない、というように、何にもまして重要な国民ひとりひとりの権利を守る、それが仕事の使命なんだと言われると、私自身はとても重い責任を感じます。裏を返せば、それが侵害されているというのは、重大な被害であり、それが回復され、侵害が防止されるように、全力で当たりなさい、それが仕事なんだ、という意味に受け取られます。人は皆一人として同じではなく、かつ誰一人として価値が劣ることはない。生まれながらにして等しく尊い存在だということ、それらの人にすべからく憲法のいう権利保護を行き渡らせる。実に重たく、また、やりがいのある仕事だと思います。

一方、社会正義は、人が社会で送るうえでの正義だとされます。解説にも人により受け取りようは違うと書いてあります。ただ、弁護士にとっては、憲法の理念が前提だということです。「正義」というと、社会共同体における共通の価値観、ルールであり、定義の仕方によっては、しばしば基本的人権と衝突する概念でもあります。
目の前の依頼者の利益を考えるのは元よりですが、しかし、社会全体にとって何が良いのか、どうあるべきかを頭のどこかで考えながら、目の前の事案1つずつに当たりなさい、そういうことなのだろうと思います。

規程として重要なのは、「自覚し、その使命の達成に努める」という部分でしょう。
まず使命を自覚しなければならない。自覚とは、自分の置かれている状態や地位などをしっかりと理解することです。弁護士とは何か。どういう仕事で、何が期待されているのか。常に考え続けなさいということです。
そして、「使命の達成に努め」なければならないわけですから、上記の自覚のもとに、基本的人権擁護と社会正義を念頭に、日々、毎時、努力しなければいけない。
典型的には日々の具体的な依頼業務、裁判だったり、裁判外の交渉だったりします。それだけでなく、個々の弁護士としての知識経験に基づいて、立法や法律制度の改善につながる活動を展開することが要求されると、解説には書かれています。

単に自分の事務所を経営し、自分の収入に汲々としてはいけない、青臭くいえば、世の為人の為を思い、受任事案以外の活動、例えば弁護士会の委員会活動に参加する、各所で講演をしたり、色々な場で意見を表明する、法科大学院その他で後進を指導するといった、公的な活動に関わる、ということが要請されていると受け取られます。
全人格的に、弁護士とはどうあるべきか、弁護士としての自分はどうあるべきかを悩みながら、努力を重ねなさい、そう言われていると思います。

弁護士急増、不況もあって事件数や収入が減り、事務所に就職すらできないという中で、このような青臭い使命感に触れている場合ではないようにも思われます。日々のパンを手に入れられるようにするので精一杯だというのは、決して大げさではない時代だと思います。
しかし、そうであるからこそ、そういう時代であるからこそ、どういう立場であれ、弁護士っていったい何なのか、どうあるべきかを、初心に立ち返って考えるべきではないでしょうか。

答えはひとつではないだろうし、本当に悩ましいことです。ときに責任から逃げたくなることもあるでしょう。
責任、使命の重さが、仕事の価値であり、やりがいだと信じます。
人に偉そうに言っていられる立場ではありませんから、私も毎日考えていきたいとあらためて思いました。
このブログで、こういったテーマをご紹介することも、広い意味では弁護士としての意見表明や知識提供であり、公共的使命の達成に少しは関係があるかもしれませんね。
細々とでも、着実に続けていきたいとおもいます。

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