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Author: 前川 直輝
最終学歴 京都大学法学部
司法修習 54期
カリフォルニア州弁護士
Maekawa国際法律事務所・代表弁護士
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弁護士職務基本規程第2条~自由と独立
今日は久しぶりに一日暖かい晴れた土曜日でした。
愛犬と散歩したり、近所の街並みをゆっくり眺めながらリラックスできました。
さて、弁護士職務基本規程を読んで行きます。
概括的な条項が続きますが、職業人として疎かにしてはいけません。

自由と独立
第2条 弁護士は、職務の自由と独立を重んじる。

 
 解説によれば、「弁護士が職務上自由でなければならず、他の支配・影響を受けることなく独立してこれを行わなければならないことを、理念として明らかにするもの」とあります。
 「自由と独立」というのは3つの側面があります。

1.権力からの自由と独立
 第1条にあったような基本的人権の擁護と社会正義の実現のためには、歴史的にも、また現在においても、権力と対峙するのが仕事の本質です。国家権力から影響を受けず、依頼者の利益や社会正義のために職務に専念しなければなりません。私自身、日々業務を行なっていて、一番意識するところですし、在野精神がこの仕事の本質であろうと思います。

2.依頼者からの自由と独立
 この点は意外に思われる向きもあるかもしれません。「え?わたしのために頑張ってくれるんじゃないの?」と思うかもしれません。
 確かに、弁護士は、依頼者の利益の実現に注力する義務はありますが、どんな利益でもよいわけではありません。法律上許容されない利益、たとえば本当は犯罪をやってないんだけど、刑務所に入ってみたいから有罪になるように進めてくれ、またその逆も、「正当な利益」とはいえないでしょう。
 よく対比される医師は、原則として診療義務があり、むやみに患者への治療を拒むことはできません。しかし、弁護士は、原則として受任を義務付けられることはありません(各弁護士会における国選弁護、当番弁護の場合の受忍義務は別途定めはあります)。
 私達弁護士が、相談者や依頼者から自由であり独立だという意味は、何もその人を無視してよいということではありません。ただ、本人が求めることだけではなく、社会正義や倫理観をもとに、「気持ちはわかるが請求としては成り立たない」、「相手の要求には従わざるを得ません」という回答をすることも、結果としては無用な紛争を防止し、早く決着させるという意味で、重要な役割であるということです。

3.他の弁護士からの独立
 弁護士会やその委員会、弁護団、また勤務経験があれば勤務先の事務所といった他の弁護士との関係は重要です。
 しかし、それが職務内容に影響してはならないということです。
 例えば、勤務弁護士であるからといって、ボスの弁護士の隷属してはなりません。原則論として、所属関係にあり、経済的に一定の報酬を保証される関係にある以上、指揮監督関係にあります。だから、ちょっと気分が乗らないから、それ、やりませんなどとボスに言ったのでは契約違反です。
 しかし、ボスが相談者や顧客に行なっている回答が明らかに間違ってたり、弁護士の倫理上問題があるものである場合は、その指示に唯々諾々としたがってはいけません。あとでアソシエイトが問題に巻き込まれたときに、「だってボスが指示したんだから、しょうがないでしょ」は通用しませんよ、ということです。
 また、逆にボスは、アソシエイトの自由を奪ってはならないということです。解説の中には、他の弁護士が名義上の開設者とされているのに、別の弁護士が「人事、金銭管理全般を掌握し、ほしいままに収益を取得し、当該法律事務所の実質的経営者である状況を生ぜしめた」ために、開設者とされる他の弁護士の自由を奪ったとして懲戒されたケースがあるとされます。
 

 近年、弁護士がサービス業だという観点で、今までの仕事のあり方を見なおされています。それ自体は顧客に寄り添う姿勢として讃えられるべきものです。
 ただ、その裏で、金銭のためなら、そして特定の顧客の意向に従うためなら、無理な裁判をしたり、主張をし、あるいは情報・証拠隠しをするという例が少なくありません。依頼者との関係でも、弁護士は自由であり独立でなければならないという意識は、あらためて強くしなければいけないとおもいます。
 また、勤務弁護士として就職するだけでも大変で、なかなか移籍や独立が難しい、という苦しい立場にある若手弁護士も多く、なかなかボスに意見がいえないという人もいるかもしれません。もちろん、ちょっとした事ですぐ辞める、合わない、というのは、自由独立という以前の忍耐力の欠如であり、自分の立場をよくわかっていないという例も少なくないでしょう。
 しかし、職業として自由独立の精神を捨ててしまってはいけません。時にボスと違う意見を持つこと、あるいは間違った方向を正そうと議論を交わすことは、弁護士どうしの相互理解に資するものでもありますし、結果としてボスの利益、依頼者の利益になるのだということを知っておかねばなりません。

 私が勤務弁護士としてキャリアをスタートしたときに先輩に言われた言葉があります。

「バッジをつけたらその日から一人の弁護士だ。だから今からバッジを外すときが来るまで、一時も気を抜けないし、休まらない。ただ、だからこそ、弁護士ってのはいつまでも面白いし、やめられないんだ」

 私自身、弁護士の職責の重さを年々強く感じるようになりましたし、同時に、職業としてのやりがいや価値を見出すこともできます。不遜な姿勢ではいけませんが、単なる営利目的のサービス業とは違うのだという良い意味での意識の違いは、いつまでも大切にしておきたいですね。
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