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 前川 直輝

Author: 前川 直輝
最終学歴 京都大学法学部
司法修習 54期
カリフォルニア州弁護士
Maekawa国際法律事務所・代表弁護士
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カリフォルニア州司法試験・July 2019・試験科目漏洩問題の整理
2019年7月試験を受験された方、受験お疲れ様でした。
特にアメリカに受験のために渡航された方は、負担が大きかったと思いますが、きっとこの経験は生きてきます。しばらくはゆったりされた上で、また何かの方で、後進の皆さんのためにシェアしていただければと思います。

試験直前にあれこれ言うのはやめようと思って控えていましたが、やはり今回のビッグイシューは、直前にWritingの出題科目が全受験者に公表されたことでしょう。
現時点での当局からの詳細説明は以下のリンクのとおりです。
Bar Exam Topics Release FAQs

曰く、カリフォルニア州弁護士会が、例年やっていることではあるらしいのですが、州内のロースクール16校の学長に対して、試験の採点に当たっての評価基準決定プロセスに関与してもらうよう案内をするメールについて、7月25日(木)に間違って出題科目を含む状態でメール送信してしまいました。7月27日(土)に間違いが発覚して、全受験者に電子メールで、同じ科目情報を開示することになりました。

FAQも準備されています。以下、概要です。
▼MBEに影響あるのか?=ない。
▼ヒューマンエラーなのか?=そうです。
▼どうして16校の学長だけ受信しているのか?=評価基準決定プロセスへの関与は毎年、州内のロースクールから満遍なく参加してもらおうとローテーションで決めていて、たまたま今回の開示対象校が決定されていた。
▼どこの学長が受領したのか?=16校の名称が特定されています。
▼どうして全受験者に科目をリリースすると決定したのか?=試験の評価やスコア決定に関与している心理測定士(専門家)に相談した。十分な注意と公平を期する上で、全受験者への科目公開が最も適切な行動であると結論付けたとのこと。
▼弁護士会は科目を変更することを考えたのか?=考えたが、代替問題には限りがあった。試験の正当性を確保するために問題を作る上では厳密な手続が取られている上、追加問題を作成して補充することは時間的に不十分だった。
▼弁護士会は試験の延期を考えたのか?=我々は科目公開を簡単に決定したわけではない。試験実施までに問題のパッケージを編集したり印刷して手元に届けるためには時間が不十分であったし、試験を延期したりキャンセルすることは公平ではないと感じた。
 ・多数の受験者が他の州や海外からカリフォルニア州に旅して来ている。
 ・カリフォルニア州弁護士会はMBEの日程を変更する権限がなく、NCBEの了承を得る必要がある。
 ・本試験スケジュールに向けて準備してきた受験者にとって試験の延期は影響が大きすぎると判断した。
▼この事件が試験のスコアリングにどんな影響を与えるか?=我々は、過去に使われた採点方式を利用できることを期待している。本件が受験生のパフォーマンスにどのような影響を与えたのかを十分に評価するよう努力をし、司法試験の厳正さを維持するためにこの点を慎重に評価しようと思う。
▼このミスが生じた後、弁護士会はどのような解決策を取ろうとしているのか?=ミスについては謝罪する。カリフォルニア州司法試験の威厳を保つために行動することが求められている。全受験者と学長にタイミングよく知らせて質問にも答えるという解決方法は、試験の威厳を確保する上で十分な措置であったと信じているが、将来同様のミスが生じないようにするために取りうる手段を検討する上で、今回のミスに関する状況を検証する独立評価機関を立ち上げる予定である。

私がFacebookで加入しているStudy Groupでは、どこでもこのリリースに対する怨嗟の声や、試験が公平でなくなるとか、各特定科目で何が出題されるかについての詳細な予想等、議論が戦わされました。
私も真っ先に思ったことですが、そもそもこれは悪質なスパムではないかと疑っても良い状況でもありました。
実際に間違って学長らにリリースしてしまった影響が実際にあったのかどうか、その学長たちが自校の学生にリークしたりしたのかは分からないのですが、情報のコントロールが完全にできない以上(おそらく一部の学長に直接アクセスできなかったのでしょう。こういう話なのでロースクールの誰にでも連絡がつけばいいという話でもないでしょうね)、万一後で知られたら、もはや事前に受験者誰一人知らなかったとしても、試験の正当性に大きな疑問が出てきてしまいます。公開するという措置は避けられなかったでしょうし、ツイッター等でこれはスパムではないといった複数のソースを利用した公表に努力はしていた様子です。

とはいえ、受験生が試験数日前という時期に一気に不安に陥れられたことは、想像に固くありません。私の知っている人たちも受験していて、少なからず、直前期はメールもSNSもシャットアウトするという計画でしたので、果たしてこのニュースが行き渡っているかどうか、今でも本当に不安な気持ちでいます。
数え方にもよりますが、13科目全部に備えるのと、明らかに出題される科目のみを勉強できるのとでは、負担や確率が変わるように思われるからです。

私が知る限り、前代未聞の不祥事ですが、しかしながら、過去のいろんな試験に関するトラブルに対する対処を見ていると、カリフォルニア州の弁護士会は、何も変えないでしょうし、淡々とスコアを付けて評価していくでしょう。
仮に、この科目が出題されると言われたところで、問題自体がリークされたわけではありません。暗記すべき知識は減ったかもしれませんが、公開された科目だけを眺めれば、Cross overはありますが、民事訴訟法、憲法、刑法・刑訴法、契約法それにPTの証拠法は、いずれもMBE科目と重複しますし、弁護士倫理は毎回必ず出題されるわけですから、これまでの準備の内容で不公平が出にくい科目設定ではなかったかとは思います。これが、TrustやCommunity Propertyといった、カリフォルニア州特有の科目だったとしたら、州内の特定のロースクールに情報がリークしたという点もあって、本当に混乱を招いていたことでしょう。その意味で、弁護士会は、少しだけですが影響が少なく済んだといえるかもしれません。

試験の受験では、いろんな突発事象に見舞われます。
試験会場で突如火災報知器が鳴りはじめて、いったん会場の外に全員が退出させられ、20分ほどしてから戻された(もはやこのときにはエントリーの厳しいチェックはなかったので、持ち物や場合によって替え玉とか、悪質なことをしようとしたらできたかもしれません)ということもありました。
受験票がいつまでも案内なく、試験数日前にアメリカで慌てて印刷することもありました。
私自身は幸い経験しないで済みましたがが、ラップトップが試験中に固まってしまう人、リスタートして事なきを得た人もいれば、文字通り泣きながら手書きで答案を書いた人(それでも合格した人を知っています)もいました。
過去のまた聞きではありますが、突然の体調不良や出産時期の前倒しで受験できなかった人もいるようですし、単純に寝倒してしまった人は、特に昼休憩後には何人か目にしたことがあります。MBEで答案用紙に黒塗りをするのに、1問ずれたまま出してしまったという話もあります。

何度か書いているかもしれませんし、いろんな人にアドバイスしていますが、受験生としてはコントロールできること、持ち物、体調などについて不確定要素を減らしておき、万一のことが起きた場合に備えておくことが重要です。海外に受験のために渡航するのなら、現地で生活している人に比べれば情報量が少ないでしょうし、環境変更による影響を受けやすいですから、経験のある人にアドバイスをもらう等して、万全の準備をしましょう。
私が火災報知器が鳴って外に出されたときには、試験開始時刻が無視できないほど遅れるので、公平性の点で不利に働くのではないかとか、このままキャンセルになってしまったら受験料はどうなるのか、旅費はどうなるのかと、山程不安にさせられたことを今でも克明に覚えています。
結局大切なのは、ベストを尽くして、答案を書いて提出し、MBEのマークシートを提出して、Passing Scoreを獲得して試験に合格することです。今年は本当に気持ちがざわついただろうと思いますが、受験された皆様の吉報をお待ちしております。
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