もう随分とご無沙汰しておりました。Facebookはじめ各所からお問い合わせいただくことが最近増えておりまして、せっかくの機会ですので、とても久しぶりに投稿しておこうと思います。 去る2017年7月に実施されたカリフォルニア州司法試験 California Bar Examに合格し、12月に同州弁護士登録を済ませました。長いような、あっという間の挑戦でしたが、良い報告ができて本当に嬉しく思います。
試験のために渡米する楽しみの一つは、帰路の飛行機で新しい映画を観られることです。特に、今回はLAX12時20分発で、関西空港翌18時過ぎ着の便で戻ってきたので、時差調整のために起きている必要がありました。 My Internというホンワカとした映画を最初に観ました。アン・ハサウェイもロバート・デ・ニーロも好きなのでセレクトして、プロットは好きだったのですが、最後何だか消化不良だったかなというところです。ネタバレもいけませんので深くは触れませんが、終わり方は賛否あるかもしれません。
今回のお薦めは表題に書いたBridge of Spies/ブリッジ・オブ・スパイです。 ちょうどいま日本でも公開されていて、ヒットしているみたいですね。これまたトム・ハンクスが好きでしたし、スピルバーグだというので気軽に選びました。 内容は実際の事件がテーマで、1950年代、冷戦まっただ中のときにアメリカとソビエトでそれぞれスパイが捕まり、さらに東ドイツでアメリカ人学生が捕まったということで、その交換の大役を担ったアメリカ人弁護士のお話です。 アメリカでソ連のスパイが捕まり、刑事訴追された案件で弁護士会から推薦されて弁護を引き受けたのがトム・ハンクス演じるドノバン弁護士。マスコミ、世論だけでなく裁判官まで有罪ありきの心証の中で、弁護士はあくまで依頼者に正当な権利があるという筋を負けず全力を尽くします。 その刑事事件が終結した後、今度はソ連でアメリカ人のスパイが撃墜されて捕まり、同じように刑事裁判を経て投獄されます。CIAは、相互のスパイを交換したいが、政府が直接表には出られないと、ロシア人スパイの弁護を担当したドノバン弁護士に白羽の矢を立てます。 同時期にアメリカ人の大学生がドイツに留学していたのですが、東ドイツで捕まってしまいます。ドノバン弁護士は、政府が話しているスパイの交換だけでなく、大学生も取り返そうと試みます。それがどういう風に進むのか。。。
Essay Q2 Torts おかしなFactでした。宇宙人が人間を制服する?というような奇妙奇天烈なことを信じていて、宇宙人が人間の形をして存在していると信じ込んでいる人間Sがいた。 Sの近所のNさんは、自分の庭にSの子らが立ち入ることがあったので、やめてくれとSに言うと、Sは言い返して「I will kill you」と口走った。 その後、Nは再び注意をすると、Sは言い返した上で、チェーンソーを持ち上げ、このbabyで首をちょん切るぞ、と口にした。 道路の向かい側でSがチェーンソーをNに向けて持ち上げているのを見たPさんは、道路をわたってSを殴り倒し、Sは怪我をした。 Sは、Nの車のブレーキを切って、宇宙人に思い知らしてやろうと思ったが、Nはブレーキのことを知らないままPに車を貸し、Pは事故に遭ってしまった。 設問は3つ。N vs S, S vs P, P vs SのそれぞれのCauseと認められるかどうか。
Essay Q3 Professional Responsibility 久しぶりに、PRがフルで聞かれました。Lawyer(女性)は、Contractor(男性、依頼者)と性的関係があったところ、難しい建築瑕疵(だったかな)の事件について依頼を頼まれた。Cはお金がなかったので、Lに半額で受けてくれと頼むと、LはContingentを認めてくれと言い出す。Lは建築瑕疵を取り扱った経験がない。 その後も性的関係は続くがLとCとの関係はよくなくなってくる。LはScheduled Conferenceにうっかり欠席。 ただ、事件自体は請求を認められて回収が得られた。いざ回収額からLが思う報酬額を控除してCに返金するが、Cは半額の意味が違うといって、もっと返還されるべき金額があると言い出す。 Lが事件を受けたこと、Conferenceに欠席したこと、報酬や預かり金についてどうすればよかったかといった設問。ABA・CAルールの指定はありました。
Performance Test A (Objective Memo) 偶然でしょうか、弁護士が顧客からの預り金を指摘に流用したという疑いをかけられ(ただ500ドルだったかな)、State Barの調査が入り、懲戒処分を受けるにあたって、その根拠4つくらい(すぐに返金しない、まぜこぜにした、調査非協力など)それぞれに整理をして、認められるかを検討するためのObjective Memoの出題。File、Libraryとも分量多めでした。
Performance Test B (Persuasive Memo) 離婚にあたって夫婦共同財産等のSettlement Agreement(和解契約)が締結され、その条件としてSGという投資会社の投資口座からHが20万ドルを引き出してWに金銭で渡すという約束があり、それは履行されたが、事後、SGのファンドが破綻したので、H側が当初合意がMutual Mistakeによるものだと主張して訴えでたので、これに答弁するためのPersuasiveなメモを作るタスク。こちらは文書量が少なく、かつメモ作成にあたってFactの概要説明を冒頭にすること、回答ごとのHeadingの書き方、事実やルールの引用の仕方などのインストラクションが詳細に記載されていました。
以上です。個人的にはEssayQ2、Q6に不安がありますが、それ以外はまあまあかなという感じでしょうか。 Q2はファクトが無茶苦茶だったのでなんだろうかと当惑したのが正直な感想です。 基本はBatteryとかTrespass to Chattelとかおそらくそういう不法原因に該当しそうなのはあまり争いがなくて、例えば正当防衛や緊急避難が認められるか、また宇宙人の関係でCapacityに問題はないのか、行動にあたっての認識がどうであったのか(Special / General intentで変わりそう)というところでしょう。Sが脅していたのは間違いないですが、Sの主観ではNは宇宙人でしょうし、Nさんがじゃあ怖がっていたかというと、そこもはっきりはしない。 面白い問題なのでしょうが、私には今ひとつ何を聞きたいのかピンと来ず、IIEDとか沢山書き出すことにスコアが配分されていたら、あまり良くないだろうなという予想です。
Q6はManufacturing Defectとあったこともあり、Product Liabilityにも言及したのですが、そっちはあまり問題でなかったかもしれません。 UCCではPerfect Tenderですから期限遅れは直ちにBreachです。ただ、売主はCoverできるとされています。Battle of Formsの問題もあるでしょうし、諸々考えるとPLなんて言っている暇はないしそこはポイントでなかったんだろうなと思います。