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 前川 直輝

Author: 前川 直輝
最終学歴 京都大学法学部
司法修習 54期
カリフォルニア州弁護士
Maekawa国際法律事務所・代表弁護士
https://maelaw.jp/

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カリフォルニア州司法試験・July 2019・試験科目漏洩問題の整理
2019年7月試験を受験された方、受験お疲れ様でした。
特にアメリカに受験のために渡航された方は、負担が大きかったと思いますが、きっとこの経験は生きてきます。しばらくはゆったりされた上で、また何かの方で、後進の皆さんのためにシェアしていただければと思います。

試験直前にあれこれ言うのはやめようと思って控えていましたが、やはり今回のビッグイシューは、直前にWritingの出題科目が全受験者に公表されたことでしょう。
現時点での当局からの詳細説明は以下のリンクのとおりです。
Bar Exam Topics Release FAQs

曰く、カリフォルニア州弁護士会が、例年やっていることではあるらしいのですが、州内のロースクール16校の学長に対して、試験の採点に当たっての評価基準決定プロセスに関与してもらうよう案内をするメールについて、7月25日(木)に間違って出題科目を含む状態でメール送信してしまいました。7月27日(土)に間違いが発覚して、全受験者に電子メールで、同じ科目情報を開示することになりました。

FAQも準備されています。以下、概要です。
▼MBEに影響あるのか?=ない。
▼ヒューマンエラーなのか?=そうです。
▼どうして16校の学長だけ受信しているのか?=評価基準決定プロセスへの関与は毎年、州内のロースクールから満遍なく参加してもらおうとローテーションで決めていて、たまたま今回の開示対象校が決定されていた。
▼どこの学長が受領したのか?=16校の名称が特定されています。
▼どうして全受験者に科目をリリースすると決定したのか?=試験の評価やスコア決定に関与している心理測定士(専門家)に相談した。十分な注意と公平を期する上で、全受験者への科目公開が最も適切な行動であると結論付けたとのこと。
▼弁護士会は科目を変更することを考えたのか?=考えたが、代替問題には限りがあった。試験の正当性を確保するために問題を作る上では厳密な手続が取られている上、追加問題を作成して補充することは時間的に不十分だった。
▼弁護士会は試験の延期を考えたのか?=我々は科目公開を簡単に決定したわけではない。試験実施までに問題のパッケージを編集したり印刷して手元に届けるためには時間が不十分であったし、試験を延期したりキャンセルすることは公平ではないと感じた。
 ・多数の受験者が他の州や海外からカリフォルニア州に旅して来ている。
 ・カリフォルニア州弁護士会はMBEの日程を変更する権限がなく、NCBEの了承を得る必要がある。
 ・本試験スケジュールに向けて準備してきた受験者にとって試験の延期は影響が大きすぎると判断した。
▼この事件が試験のスコアリングにどんな影響を与えるか?=我々は、過去に使われた採点方式を利用できることを期待している。本件が受験生のパフォーマンスにどのような影響を与えたのかを十分に評価するよう努力をし、司法試験の厳正さを維持するためにこの点を慎重に評価しようと思う。
▼このミスが生じた後、弁護士会はどのような解決策を取ろうとしているのか?=ミスについては謝罪する。カリフォルニア州司法試験の威厳を保つために行動することが求められている。全受験者と学長にタイミングよく知らせて質問にも答えるという解決方法は、試験の威厳を確保する上で十分な措置であったと信じているが、将来同様のミスが生じないようにするために取りうる手段を検討する上で、今回のミスに関する状況を検証する独立評価機関を立ち上げる予定である。

私がFacebookで加入しているStudy Groupでは、どこでもこのリリースに対する怨嗟の声や、試験が公平でなくなるとか、各特定科目で何が出題されるかについての詳細な予想等、議論が戦わされました。
私も真っ先に思ったことですが、そもそもこれは悪質なスパムではないかと疑っても良い状況でもありました。
実際に間違って学長らにリリースしてしまった影響が実際にあったのかどうか、その学長たちが自校の学生にリークしたりしたのかは分からないのですが、情報のコントロールが完全にできない以上(おそらく一部の学長に直接アクセスできなかったのでしょう。こういう話なのでロースクールの誰にでも連絡がつけばいいという話でもないでしょうね)、万一後で知られたら、もはや事前に受験者誰一人知らなかったとしても、試験の正当性に大きな疑問が出てきてしまいます。公開するという措置は避けられなかったでしょうし、ツイッター等でこれはスパムではないといった複数のソースを利用した公表に努力はしていた様子です。

とはいえ、受験生が試験数日前という時期に一気に不安に陥れられたことは、想像に固くありません。私の知っている人たちも受験していて、少なからず、直前期はメールもSNSもシャットアウトするという計画でしたので、果たしてこのニュースが行き渡っているかどうか、今でも本当に不安な気持ちでいます。
数え方にもよりますが、13科目全部に備えるのと、明らかに出題される科目のみを勉強できるのとでは、負担や確率が変わるように思われるからです。

私が知る限り、前代未聞の不祥事ですが、しかしながら、過去のいろんな試験に関するトラブルに対する対処を見ていると、カリフォルニア州の弁護士会は、何も変えないでしょうし、淡々とスコアを付けて評価していくでしょう。
仮に、この科目が出題されると言われたところで、問題自体がリークされたわけではありません。暗記すべき知識は減ったかもしれませんが、公開された科目だけを眺めれば、Cross overはありますが、民事訴訟法、憲法、刑法・刑訴法、契約法それにPTの証拠法は、いずれもMBE科目と重複しますし、弁護士倫理は毎回必ず出題されるわけですから、これまでの準備の内容で不公平が出にくい科目設定ではなかったかとは思います。これが、TrustやCommunity Propertyといった、カリフォルニア州特有の科目だったとしたら、州内の特定のロースクールに情報がリークしたという点もあって、本当に混乱を招いていたことでしょう。その意味で、弁護士会は、少しだけですが影響が少なく済んだといえるかもしれません。

試験の受験では、いろんな突発事象に見舞われます。
試験会場で突如火災報知器が鳴りはじめて、いったん会場の外に全員が退出させられ、20分ほどしてから戻された(もはやこのときにはエントリーの厳しいチェックはなかったので、持ち物や場合によって替え玉とか、悪質なことをしようとしたらできたかもしれません)ということもありました。
受験票がいつまでも案内なく、試験数日前にアメリカで慌てて印刷することもありました。
私自身は幸い経験しないで済みましたがが、ラップトップが試験中に固まってしまう人、リスタートして事なきを得た人もいれば、文字通り泣きながら手書きで答案を書いた人(それでも合格した人を知っています)もいました。
過去のまた聞きではありますが、突然の体調不良や出産時期の前倒しで受験できなかった人もいるようですし、単純に寝倒してしまった人は、特に昼休憩後には何人か目にしたことがあります。MBEで答案用紙に黒塗りをするのに、1問ずれたまま出してしまったという話もあります。

何度か書いているかもしれませんし、いろんな人にアドバイスしていますが、受験生としてはコントロールできること、持ち物、体調などについて不確定要素を減らしておき、万一のことが起きた場合に備えておくことが重要です。海外に受験のために渡航するのなら、現地で生活している人に比べれば情報量が少ないでしょうし、環境変更による影響を受けやすいですから、経験のある人にアドバイスをもらう等して、万全の準備をしましょう。
私が火災報知器が鳴って外に出されたときには、試験開始時刻が無視できないほど遅れるので、公平性の点で不利に働くのではないかとか、このままキャンセルになってしまったら受験料はどうなるのか、旅費はどうなるのかと、山程不安にさせられたことを今でも克明に覚えています。
結局大切なのは、ベストを尽くして、答案を書いて提出し、MBEのマークシートを提出して、Passing Scoreを獲得して試験に合格することです。今年は本当に気持ちがざわついただろうと思いますが、受験された皆様の吉報をお待ちしております。
July 2019受験者の方、電子メールを確認!=出題科目の流出について
カリフォルニア州の司法試験受験者の皆様、万一電子メールをご覧になっていなかったら今すぐチェックをするか、この投稿を見てください。
受験生に以下の電子メールが昨日(現地時間土曜日か金曜の夜くらいでしょうか)届いたようです。
弁護士会がカリフォルニア州のロースクール学長宛に間違って出題科目を知らせてしまった、ついては公平を期するために同じ内容を受験生に送る、とのことです。

(原文)

To: Applicants for the July 2019 California Bar Examination

It has come to our attention that the State Bar inadvertently provided a number of deans of law schools in California a list of the subject matter topics contained in the July 2019 California Bar Examination essay questions and performance test. Out of an abundance of caution and fairness, we are sending the same information, verbatim, to all those preparing to take the examination. The memo provided:

The subject areas and tasks for the July 2019 California Bar Examination are listed below. . . .

Question 1: Civil Procedure
Question 2: Remedies/Constitutional Law
Question 3: Criminal Law and Procedure
Question 4: Professional Responsibility
Question 5: Contracts
PT: Objective Memo – Evidence

Sincerely,
Donna S. Hershkowitz
Chief of Programs, State Bar of California

(翻訳)
2019年7月のカリフォルニア州司法試験の受験者へ

カリフォルニア州弁護士会が、カリフォルニア州のロースクールの学長多数に向けて、間違って2019年7月司法試験のエッセイ及びパフォーマンステストの出題科目を知らせてしまったことが分かりました。
注意を喚起するとともに、公平を期するために、私達は全く同じ情報、文章をすべての試験準備中の皆さんに送ります。
メモは、以下のとおりです。

「カリフォルニア州2019年7月司法試験の出題科目とタスクメモは、以下のとおりです。
第1問:民事訴訟法
第2問:救済法・憲法
第3問:刑法・刑事訴訟法
第4問:弁護士倫理
第5問:契約法
PT:客観的メモ作成・証拠法

(以上)
最初、悪質なスパム等でないかと思い、気をつけて調べましたが、複数の受験生がこのメールを受信したということでしたので、ここに掲げることにしました。
少なくとも、日本から勇気を持って受験されている皆様に、必ず情報が行き渡るように祈るばかりです。直前期はメールもSNSもチェックしない、という方もいらっしゃるので、お互いに声がけができるようなら助け合いましょう。

日本の司法試験についても数年前に試験問題の事前流出問題が発覚しましたが、カリフォルニア州では私が知る限りでも前代未聞です。特にこのタイミングでリリースするという判断は、公平性確保の観点でやむを得ないのですが、受験生にとっては直前の1日、1時間が貴重ですから、いつそれが発覚したのか、それからどれくらいの時間を検討に費やしたのか等気になることはたくさんあります。
また、当然受験生からすれば、それが果たして公平な試験を担保するといえるのか、他にも良からぬやりとりがあるのではなかろうかと疑念がたくさん湧いてくることでしょう。
カリフォルニア州弁護士会所属の弁護士としては、おそらく受験生、特に不合格者から集団訴訟が起こされるのではないか、と強く懸念をしています。

受験者の皆様は目の前の準備を整えることに集中してください。
私が同じ立場だとすれば、めちゃくちゃ焦りますけれども、他方で、出題される問題そのものではありませんから、やはりCallを確認して出題意図から離れないようにと、まずEssayやPTの取り組み方を再確認します。
その上で、各出題科目を残りの時間で復習します。Issue、特に重要なIssueは、きちんと確認します。
それから、早合点してはいけないのは、例えばCivil ProcedureとかEvidenceと言われても、Federal Ruleだけではないということです。CA properの部分もきちんと見る必要がありますし、Contractsと言われてもUCCの適用があるかどうかもわかりません。Civil proは、管轄、当事者適格、書類手続、ディスカバリー、判決の効力、上訴とカバーされる論点は山程あります。慌てず騒がず、自分の手元の資料の中で、該当科目を1回か2回くらい、見直す程度だと思います。

大半の受験生は、この情報を得ていて、少なくとも問題を前に山を張って大外ししてしまう確率は減ってくるでしょうし、それらしい回答は書けてしまうかもしれません。ただ、難易度がだから上がる、というものではなくて、結局問題文を忠実に読んで、Callをしっかりと理解し、出題意図にどこまで答えられるか、で差がつくようになるということです。
日本からの受験生の皆様は職歴があり、社会人経験がある方がほとんどでしょうから、現地のニューカマーたちよりもアドバンテージがあるはずです。成功を強く期待しています。
February 2019 - Q2 - Torts
2019年2月試験のEssayのうち第2問を見てみました。
7月以降の受験を検討されていて、この問題を後でやりたい方は読み飛ばしてください。
また、先の投稿でも記載したとおり、試験委員会の模範答案を見る前ですから、正確性には欠ける可能性があることをご了承ください。

さて、Essayの取り組み方の基本ですが、
1. 一番最後の問い(CALL)の部分を読む
 問いに答えることが目標です。問題文に何が書いてあろうが、とにかく質問されていることにダイレクトに答えます。
 これが出来ていない答案がかなりあります。
 また、出題科目を確認することができますし、記載の仕方によって出題意図が推し量れたり、小問に分かれている場合は時間配分にも気をつけることになります。
2. 問題文をざっと読んでイメージを作る
 具体的な場面を想像することが大切です。いきなり論点に入りたいとは思うのですが、出題意図とか、結論の方向性(どちらを勝たせるか)については、一般常識や普通の感覚が大切だと思います。具体的なイメージを持つことで、Factも記憶に残りやすくなるでしょう。
3. 問題文を注意深く読んで、思いついたことをメモしておく
 Issue・論点は思いついたら兎に角書いておきます。日本の試験だと、これは関係ないだろう、といった”判断”が挟まり、必要最小限のことを書こうとしがちです。しかし、これは日本の試験が減点をするからで、カリフォルニア州司法試験は余事記載のペナルティが一切ありません(採点者の主観や印象は別ですが)。模範答案の中にも、まるで関係がない議論をしているものがたくさん見られます。
 兎に角忘れないように、メモをしましょう。試験ですから、過去問の傾向から頻出論点ですとか、科目ごとのコツのようなものはありますから、キーワードを見落とさないことです。また、大抵の場合、人の言葉の引用は、とても大切で、いろんな論点が示唆されたり、分析が必要になります。
4. 答案構成をする(紙に書くか、ラップトップにいきなり打ち込むか)
 答案構成は配布されるスクラッチペーパーにするべきだ、パソコンがフリーズしたらどうするんだ、というアドバイスが一般的です。確かに、私の受験経験でも、隣席の受験生のPCに不具合が出て、Handwritingに切り替えたのを何度か見ていますから、リスクヘッジとして大切な視点だと思います。
 ただし、限られた時間で準備をするというのに、手書き答案の練習をする余裕があるか、また、紙に答案構成をして、それをパソコンで打ち直す手間を二重にかける余裕があるか、は考える必要があります。
 私は最後まで、時間内に仕上げることに困難がありました。1秒でも時間が惜しかったので、PCフリーズはリスクとして許容した上で、パソコンに打ち込んでいました。これは意見が分かれるでしょうが、試験でフリーズしにくいようにパソコンを管理したり、そもそもエラーが出にくいと思われるMacを使うとか、リスクを極小化することに注力したつもりです。
5. 以上の過程を必ず1時間で終える。
 Essayは1問を必ず1時間でやり終えることです。雪だるま効果とはよくいったもので、5分位いいだろうと思ったら、またたく間に2問目、3問目と時間が押してしまいます。どの問題も等しく点数が割り振られており、どれか1科目で大きく落ち込むと回復が難しいですから、よほどの戦略がない限り、1問1時間を厳守できるようにしましょう。
 とはいえ、それでも私は最後の受験時でも10分くらいはみ出て3問目をやっていました。その場合でも要領よく対応できる準備はしました。本番では何があっても焦らないような準備も必要でしょう。

 さて、早速CALLを読みましょう。

Bob and Carol filed a lawsuit against Dan to recover for their injuries.
1. What claims may Carol reasonably raise against Dan, what arguments may Dan reasonably make, and what is the likely outcome? Discuss.
2. What claims may Bob reasonably raise against Dan, what arguments may Dan reasonably make, and what is the likely outcome? Discuss


 Claimとあり、Injuriesとありますから、Torts・不法行為法かなぁとある程度想像がつきます。Crimeではないし、Procedureを問う科目でもない。登場人物も会社はなくて個人ばかりのようですから、Corporateとかは関係なさそうです。Partnershipは関係あるかもですが、Injuriesですからおそらく身体傷害による不法行為でしょうね。
 問題は2つに分かれています。いずれも被告はDanで、原告はCarolとBobで異なります。Bobは普通男性、Carolは女性ですから、夫婦か、恋人か、きょうだいか何かの関係があるのかな、とも想像しておきます。
 Tortsだと想定できた場合、Intentional Torts, Negligence、Strict Liabilityなど項目を落とさないようにメモ書きしておくのも良いです。なぜなら、Claim"s"とあるように、どれだけClaim(請求原因)を立てることができるかが勝負なので、論点を落とさないようなチェックリストのようなものを用意しておく必要があるからです。問題文を読み出すと、個別論点や思い込みに集中してしまって、広い視野で漏れがないかチェックできなくなりがちです。
 問題文に忠実にいうと、原告のClaims、これらに対する被告の”Arguments”、かならずLikely outcomeを書いて結論付けることが大切です。なお、従来はDefensesと書かれることが多かったですが、厳密な意味での抗弁以外にも、Claimsが成り立つかどうか要件該当するかどうかの分析での反論もありうるからか、Argumentsという言い方になっているのでしょう。
 出題意図との兼ね合いで重要なのですが、必ず小問は相互に比較する視点が試されます。CarolとBobとで、何かが違います。その違いは、多くの場合、同じIssueで違う分析・結論を導くことになります。何か比較するぞという意識を持つと、出題意図=比較的多く書くべき箇所、あるいは思いつくべき主要論点を落とさないで済みます。
 私は”COMPARE”とか”比べる”と問題文の一番上に書き込んでいました。

 第1段落を見ましょう。

Dan, a dog breeder, had some eight-week-old puppies to sell. Bob and Carol went to his house to look at them. Dan invited them into the living room where the puppies were located and said, “Whatever you do, don’t go into the room at the end of the hall.”
As they were examining the puppies, the largest puppy, without warning, gave Carol a nasty bite on her hand. Dan told Bob to go to the bathroom near the end of the hall to retrieve some bandages.


 1文目で、Danは犬のブリーダー、Bob/Carolはお客さんらしいと分かります。犬に病気があったか、噛まれたか逃げたか、何かトラブルが起きたかなと予想します。”eight-week-old puppies”とありますが、これも見逃してはいけません。8週目くらいの子犬とあります。まだしつけもできていないでしょうし、歯も生え揃っているのかどうか。可愛いから触りたくもなるでしょうね。ただし、物理的に小さいかどうかは書いていません。また”Some”とありますから、何匹かいるので、選びにいくのかなとも想像がつくでしょう。
 Danは、子犬がいるリビングに案内をし、「何をしてもいいけれど、ホール(廊下)の端にある部屋には入らないように」と注意します。何か危ないものがあるのでしょうね。ただ、端っこの部屋と言われて、おそらく初訪問のゲストがわかるでしょうか。また入るなとは言われたものの、何故なのかも説明がないですから、言われた側もあまり印象に残らないかもしれません。
 次の文章で、キャロルは犬に手を噛まれてしまいます。細かいところも注意深く書かれています。”Nasty bite"とあるから、子犬の甘噛みじゃないよということです。また、Without warningとあるから、全く予期できなかった=よくあるケース、犬を激昂させるようなアクションもなく、被害者側に噛まれたこと自体に過失がないということが明確だと思います。
 DanはBobに、廊下の端っこにあるバスルームに向かい、包帯を取ってきてくれと言います。あれ、さっきは廊下の端っこの部屋には入るなと警告したはずです。何か起こりそうな予感です。間違いやすい指示をしていますし、先程の警告を無意味にするような言い方になっていますね。

 Tortsの定石ですが、動物が出てきたらAnimalに対する典型論点はフォローします。Wild animalに対するStrict Liabilityがありますし、飼っている動物domestic animalについても原則Strict Liabilityはないですが、飼い主が動物の危険性を知っていて、それがその種類で異質な危険であれば、例外的に無過失責任を負います。それ以外は一般の過失責任ですから、その動物を飼っている一般的な人/reasonable prudent personを想定して、どういう注意義務があるかを検討するべきです。普通ならこういうことをすべきだ、という基準を考えて定めることがNegligenceの要点です。子犬のブリーダーとしてどういう注意をすべきだったでしょうか。
 また、Tortsの典型論点として、不動産の所有者の特別な義務があります。MBEでも頻出ですが、不動産オーナーがTrespasser(不法侵入者。これは発見可能な場合と、そうでない場合とで分かれますね)、Licensee(オーナーの許諾を得て、ビジネス以外で立ち入る人。隠れた危険で、オーナーが知っていたものについては保護する責任があります)、Invitee(商用目的で立ち入る人、その他公に開かれた場所に立ち入る人)の3種類に分かれます。
 今回は、子犬のブリーダーが、その客を招き入れていますから、Inviteeですので、隠れた危険で、事前に知り又は知っておくべきものから守る必要があります。Danは子犬をリビングに放し飼いにしているところ、子犬が突然に客の手を噛むというのは、Inviteeにとっては隠された危険ですし、飼い主は知っておくべきことでしょう。ただ、”the largest puppy"とありますから、大きい子犬を見るときは注意すべきことがInvitee=Carolにもわかったはずだ、ともいえます。いずれの可能性もあるでしょう。
 さらに、Carolが包帯が必要なくらいの怪我をしています。Batteryは問題になるでしょう。少なくとも現地学生は取り上げる可能性があります。もちろん、Danにこの時点でIntentを認めるのは少々厳しいようにも思いますが、MBEでもやるように、BatteryはGeneral Intent Crimeですから、"harmful or offensive conduct to plaintiff's person with both intent and causation”というルールに、子犬をおそらく放し飼いしているリビングルームに他人を通すという行為が当てはまるかどうかです。Batteryは具体的なDamagesを必要としませんから、噛まれたこと自体で成立しうるところです。
 あと、想像力をたくましくすれば、あれ、包帯はいいけれど、動物に噛まれたのに消毒しなくていいのか?と疑問が湧いてもいいですね。そうやって予測して読むと、次の段落にスムーズに入れます。
 加えて、この時点では微妙ですが、Carolが噛まれたときにBobが隣にいました。BystanderであるBobにも責任が発生するかは頭をかすめます。Intentional / Negligent Infliction of Emotional Distressですね。ただし、奇妙なことに、BobとCarolがどういう関係にあるのか記載がありません。Bystanderが直接の被害者が被害にあうのを目にして精神的苦痛を受けるケースでは、原則としてFamily memberであることと、それを被告が認識している必要があります。あとで出てくる最後の怪我のシチュエーションと違い、ここではBobがどういう感情にあったかの描写もなく、Donに包帯取ってきてくれと頼まれて終わっていますから、あえて取り上げなくてもいいでしょう(それでなくとも、本問は論点がたくさんあります)。

 実は、私の仕事ではTortsが主力分野の一つなのですが、試験科目としては少し苦手意識がありました。論点がたいていたくさんあるし、日本法弁護士の感覚ではかなりリモートな議論をさせられるからです。ただ、よく考えれば、故意責任、無過失責任、過失責任を順に検討し、過失責任では、Negligenceの一般論とSpecial dutyの論点とに分かれ、前者では同じ状況にあるReasonable prudent personの基準をどう設定するか、Special dutyはどういうFactがあれば思いつく必要があるか(今回なら、犬=動物=Animal、Went to his house=建物=Property owner against Invitee)を整理すれば、漏れはないと思います。

 第2段落を見ましょう。

Forgetting Dan’s earlier admonition, Bob opened the door at the end of the hall, thinking it was the bathroom, and entered a darkened room where Dan kept an enormous pet chimpanzee. The chimpanzee jumped between Bob and the door, beat its chest and made menacing hoots. Frightened, Bob stood still.


 Bobは廊下の端っこにある部屋のドアを開けてしまいます。いきなり”Forgetting”とありますからBobが不注意だった可能性はありますが、それでComarative negligenceが問えるかどうか。なお、Admonitionという単語は難易度高いですが、その前に”Forgetting Dan's earlier"とあり、その後は端っこの部屋のドアを開けたというのですから、注意とか警告とか、そういう意味だろうと推測はできますね。英語力の限界は母語者でなければどこまでもあるわけですが、心配しなくても、文脈から推知可能なので焦らないことです。
 thinking it was the bathroomとあるので、Mistake of factがかってに思いつきます。関係があるかどうかはさておきます。Bobが入ったのは”Darkened"暗くなった部屋で、そこには”Enoumous"巨大なチンパンジーがいました。ここでもAnimalが出てきましたね。今度は大きなチンパンジーですから、Wild animalの論点が全面に展開されます。”Pet"と書かれていますから、DanがDomesticだと言いたくなるかもしれませんが、Enormousと形容されていますし、その後の展開にあるように、動物の性質として危険性が高いですから、Strict Liabilityの問題が発生するといって良いでしょう。暗いというのは、中に入ってみないと何の部屋か分からない状態だということかと思います。また、チンパンジーにとっても刺激を与える状態であったともいえるでしょうね。
 チンパンジーは、ボブとドアの間にジャンプして入って、胸を叩き、威嚇する鳴き声を出します。Menacing hootと言われても私は正確な日本語が浮かびませんでしたが、チンパンジーが胸をたたき鳴らしたというのと、その後の文章でボブが怖くて立っていたというから、威嚇されるなり、大声をあげられたのだろうと理解しました。それで十分です。チンパンジーは動物の中では知的能力が高いですが、いきなり怒り出したのはやはり暗い部屋で静かにいるのにドアが自由に開くようになっていたことや、開けた人が中に入ってくる=距離を詰めてくるような状態になっていたことが原因だと思いますね。
 Bobは怖くて立ち尽くしてしまいます。Frightenedとあるので、Emotional Distressを想起します。IIEDとNIEDとがあり、DanはBobにバスルームに行ってくれと伝えただけですが、その行為が結果として上記のような事態を生んでいるので、Intentとしては十分ともいえます。
 Danの反論としては、いやBobが警告を忘れていたじゃないかとか、Bathroomと間違えて部屋に入ったじゃないかといいたいでしょう。しかし、前者は、警告をしたタイミングが十分であったのかの問題がありますし、警告だけで足りたのか、そもそもチンパンジーを飼っている部屋は施錠しておくべきじゃないのか、ドアの外に注意表示すべきでなかったのかという議論があり、そちらのほうが強いでしょう。後者についても、おそらくはじめて立ち入った建物で、包帯とってこいと言われ、指示も十分でないのに、自由に出入りできる部屋のドアを開けてしまい、しかも中が暗くで入ってみないと何の部屋かわからないということ自体は、よくある話でしょう。Causationは否定されないし、Comparative negligenceというのも難しそうです。
 もう一つ重要なのは、”Bob stood still.”とあることです。固まって動けなくなってしまったわけです。この状況は、False Imprisonment(監禁)を想起できます。MBEでも良く出てきますが、拘束の時間の長短は問いませんし、合理的な方法で逃げられない状況で、一定の場所で自由を奪われれば十分です。今回も該当することになるでしょう。Intentionalといえるかは悩むところですが、部屋の施錠もせず暗いところで巨大なチンパンジーを買っておいて、廊下の向こうのバスルームに行ってきてと言われたら、かなりの確率で扉を開けてしまう、そういう全体的な指示から自由の制限までの流れは、その行為をすることの認識=Intentを否定できないのではないでしょうか。あまり結論で悩んではいけません。ここはどのみち否定されても、Negligentだという結論は動かないですから、Bobに不利益はありません。
 Danにしてみれば、結局Bobは自力で脱出できているじゃないか、と反論したくなるでしょう。しかし、脱出したときに深い傷を負わされていますから、No reasonable means to escapeとはいえるでしょう。怖くて逃げられない状態に陥らせたら、それで十分監禁にあたるといえます。

 第3段落を見ましょう。

In attending to Carol’s bite, Dan mistakenly grabbed a bottle of heavy-duty solvent, thinking it was a bottle of antiseptic. When Dan rubbed its contents into Carol’s wound, she began to scream and shout in pain. Hearing Carol’s cries, Bob barged past the chimpanzee, which gave him a deep gash to his head as he passed. Shaken and sore from their injuries, Bob and Carol fled Dan’s house.


 Danはantipaseticと間違って、heavy-duty solventのボトルを手にとってしまいます。そして、Carolの傷に内容物を塗り込み、彼女は痛くて泣き叫んでしまいます。ボトルが何と何を間違えたのか、これもイメージつかみにくいですけれど、先に想像したとおり、DanはBobに包帯を取りに行かせつつ、消毒したのだろうと想像はつきますね。そして、消毒じゃなくて、業務用の傷に塗ってはいけない何かを塗りつけてしまったこともわかります。答案を書く上ではそれで十分です。
 消毒剤と業務用溶融剤を、取り違えるような場所で一緒に保管しているのは過失が大きいでしょう。また、ボトルを手にとったときにも、ラベルとか色で、気がつくでしょう。Negligentだといえますし、そもそも人に危険な化学物質を塗り込んでいるのですから、Batteryが成立するでしょう。
 さらに、Heavy-duty solventを体に塗りつけるなんて、Ultra hazardous activityじゃないかともいえるかもしれません。少し議論としては遠いですが、少なくとも思いついても良いと思います。
 Danは、いやMistake of factだと言いたいでしょうし、Carolを助けようとしただけだとも言いたいでしょう。ただ、BatteryのDefenseにはならないでしょうし、これを上回る程度の大きな過失(消毒液は、薬の棚に並べておくべきですよね)があるので、十分強い反論とはいえなさそうです。
 Danは、Carolを介抱するためで、Consentがあったとも言うでしょうが、同意の範囲がDanの勘違い行動まで包摂するといえるか、なかなか難しそうです。

 BobはCarolの悲鳴を聞いて、チンパンジーを押しのけて部屋を出るわけですが、そこで頭に深いキズを負うことになります。ここでもBobに対するBatteryが発生しそうです。また、Bobにも同じように、Inviteeに対するProperty ownerとしてのDutyがありますから、Negligentだといえるでしょう。
 Danは、Bobが無理してチンパンジーをどけようとするからだ、自分を呼んでくれたらいいのに、というでしょう。被害者の行動自体が因果関係を切断するという趣旨で反論できるでしょうが、チンパンジーの部屋に入ってしまってドアの前に立たれたら慌てて出ようとすること自体、Forseeable だと十分言えるので、Causationは否定できないでしょう。Carolの悲鳴を聞いて、登場人物の中で唯一の女性で、同行者ですから、悲鳴であわてて出ようとすることも、当然予想がつきますし、それはDanが間違って消毒液じゃないものを塗り込んだからですから、Causationは否定されないでしょう。
 結局、BobとCarolは、怪我で震えて痛くなって、Danの家から逃げ帰ります。それぞれに対するEmotional Distressはここでも確認されます。注意すべきは、shaken and sore from "their" injuriesとある点です。BobはCarolの手の怪我を見ていますが、CarolもBobがチンパンジーに頭に深い傷を付けられた姿を見て、怖くて痛くて逃げ帰ったわけですから、BystanderとしてTortsが成立する可能性があるでしょう。
 
 
 さて、ここまで読んできて、あらためて最終CALLを読むと、”filed a lawsuit against Dan to recover for their injuries”とあり、Injuries=Carolは手の怪我、Bobは頭の怪我について議論を絞るべきようにも受け取られます。それが正しいとすると、IIED・NIEDを外すことができます。

1. Carolについて
 Battery;
  Puppy's nasty bite
   =Assumption of risk(子犬を選びに来て触りに行っている?)
  Rubbing the contents of a bottle of heavy-duty solvent
   =Mistake of fact? Consent?
 Negligence:Property owner's special duty for a business invitee
  Duty to warn all of the hazards discoverable to the owner
   =子犬が噛むのはInviteeにとって予想できない話?Nasty biteまでは想定できなかったのでは?それくらいは生まれて8週にもなっていたら飼い主として理解しておくべきでは?
 Negligence:Domestic Animal owner's duty
  Dangerous propensity & uncommon among the species=子犬としてそんな怪我をさせるような噛み方をするのは普通じゃないのでは?
 Strict Liability: No

2. Bobについて
 False imprisonment;チンパンジーの部屋に閉じ込めたといえるか?
  =No reasonable means to escape
  =Causation:Bobが逃げるときに負った怪我に関連性ある?
 Strict Liability: Wild Animal
  =Causation:Bobが逃げようとした?>Carolが泣き叫んだのはDonの行動によるもので、それを聞いたBobが慌てて部屋を出ることは想定できることでは?
 Negligence: Property owner's special duty for a business invitee
  Duty to warn: ”Don't go into the room at the end of the hall"で十分か?★カギカッコの言葉は十分に分析する必要がある。
  チンパンジーを飼ってはいけない or 飼うなら施錠すべき+注意表示をするのが普通ではないか?

 これで十分かどうかは自信がないですが、私が書くとしても1時間でいっぱいいっぱいだろうと思います。これに加えて、やはりFrightenedとかShakenとか出てきますから、Emotional Distressの議論を捨てるのは躊躇します。そうでないと、特に最後のDanの家を出たところの文章があまり意味をなさないことになってしまいます。時間に限りがあるから、Carol、Bobそれぞれに自分の怪我に関するEmotional Distressと、可能ならBystanderとしての被害の論点に一言触れておければ、加点事由でしょうね。

 現時点で、どこまで書けたら合格ライン=スコア65かは判断が難しいです。なぜなら、試験委員会としては出題のときに模範正答を想定しているのですが、実際は、受験生の答案を一通り見て、みなで集まって何にどこまで配点するか基準を作ってから、実際の採点に入るからです。
 Tortsの場合は、まずは論点を広く拾うことが必要であると思います。その意味で、問題文に典型論点のトリガーワードが散りばめられていますから、CarolとBobでClaimは2つずつ、Bobは特にWild Animalの論点がヒットするので3つが望ましいです。その上で、Donの反論として、子犬を自分たちで見に来ていること、最初に注意喚起したことの2つをきちんと取り上げることが必要でしょう。

 冒頭のTIPSにならって出題意図を推し量ると、同じ論点・同じ種類の事実で、CarolとBobを比較することが重要でしょう。
 第1に、両者ともDonの建物に招き入れられたInviteeですが、彼ら2人に対するDonのDuty to careの内容は違うこと。第2に、両者とも動物に被害を受けているが、その内容に違いが出るか。
 簡単に整理すると、Carolはリビングルームの子犬、Bobは廊下の奥の暗い部屋にいるチンパンジーですから、場所と動物の種類で区別できます。Danが注意したのは廊下の奥の部屋のことだけですから、どちらかというとBobの2問目のほうが長くなりそうです。それらのコントラストを付けることができれば、加点事由です。私がスコアを取る上で使っていたのは例えば、”Unlike Carol”とか”Different from Carol's claim”というような一言です。これが加点につながるのは、不合格時に良いスコアが取れている答案で確認ができると思っています。

 もう一つ、小問1・2と多くのClaimのRuleが重複しますね。これはたとえラップトップで受験していたとしても、ペーストするよりも、Issueの名前は例えば”Property owner's duty to care for Invitee"と揃えた上で、See rule aboveと略記することが勧められています(Graderだった人のビデオか何かを見ました)。これによって時間の節約もできますし、Issueの配点の最低限はゲットでき、Analysisに時間を多く割けます。

 答案構成をしたら、あとは書くわけですが、時間配分をきちんとします。それぞれの時間は、決めたら必ず守り、次の論点に行くことです。ここは紙である程度ラフに数字を記載しておくことでしょう。コツとして、
▼IRAC(Issue-Rule-Application-Conclusion)のルールを守ること
▼ただしIssueはヘッダーをつければ十分で(例えば、Batteryとか、False imprisonmentというタイトルを書いて、次の行でBattery requiresとルールを書けば十分)、文章で”The issue here is"と書かなくてよいこと
▼必ずIssueごとのConclusionを先に書くこと(途中答案じゃないことをアピール)+Callにあわせること(Therefore, Bob is likely to prevail)

 さて、長々書いてきましたが、問題文をこんなふうに読んで見ましょう、論点を抽出してみましょう、という一つの提案として見ていただければ良いと思います。全く外れて話にならない、ということはないかと思います。
 このTortの問題は、論点自体、想定できないような珍しいものはないように思います。その意味で難易度が高いとまではいえません。ただし、いわゆるRace Horseと呼ばれる、多論点で時間に限りがある問題だと思う(Tortsは特にその傾向が強い)ので、どこまで整理して淡々とすべてに触れた上で、過去問と違う部分=出題意図の部分だけ少し手厚く説明できるかが勝負かと予想します。
 
 受験生の方から、こういう論点の抽出はどうしたらいいでしょうかと質問を受けることが多いです。もっともな疑問で、一番大事なのはIssueを拾うことです。Issue単位で配点がされているので、それが拾えているだけで最低限の点数が取れますし、1つ、2つ落とすだけで他がどれだけ書けても回復ができないからです。
 まず、今回検討してみたように、「Essayの問題文は一つとして無駄がない」ということを過去問を読んで十分分析することです。読み方の工夫は色々ありますが、コンマやピリオドごとに分析して(蛍光ペンや色ペンで印をつけました)、それらがどう関係するのかを一つずつ注意することで論点落しがなくなる、という手法を勧めています。
 次に、科目ごとの”お決まり”がある程度存在することに気が付きます。科目数は多いですが、科目ごとの定石、パターンというのはそれほど数多くはないと思います。
 あえていえば、MBE科目は、論点数も多いし、ルールの知識はMBEで受験生が獲得しているのが前提なので、Fact patternも混乱を招くような書き方が多いですが、CA Specificの科目は同じようなFactが繰り返し出題される傾向にあると思います。
 事前の対策として、何度か触れていますが、1日目がWriting、2日目がMBEですから、2日目の精神的な平穏を確保するためにも、MBE科目からしっかり学習することです。MBEの科目は2日目で必ず全部やるのですから、MBEの学習とEssayの学習をリンクさせること=Rule statementを両者で同じもので覚えることです。また、今回の問題でもそうですが、教科書のように長々とはかけませんから、いかに短く過不足ないものを準備できるかだと思います。
 この準備の段階で、日本人ノートがどうとか、どの本が良いとか、固定的に考えるべきではないように思います。予備校のコースを受講されている方はそれを活用することです。オススメを尋ねられれば、以下の投稿でご紹介している本でしょうか。その他、受験生・合格者のノートを買えるサイトもあります。その人の覚えやすい形式、文章のものを用意すること、あとは練習の中でよりよい書き方を見つけたらその都度アップデートすることでしょう。
 カリフォルニア州司法試験・Essay対策について

 私の文章力の限界もあるので、なんだかあれこれまとまりがないようにも思いますが、Activeに問題文を読むという姿勢をお伝えしたいというのが目標です。ご参考にしていただければ幸いです。 

California Bar Exam - February 2019 試験問題公開されました
平成最後の日、少し休みの時間を利用して更新しておきます。
変わらず試験関連で問い合わせが多いので情報を共有しておきます。
直近で実施された2019年2月度の試験問題が公開されました。
以下リンクをしておきます。
Past Exam

通例、だいたい試験実施から1ヶ月から2ヶ月の間に試験問題のみ公開されています。
合格発表があってからだいたい1ヶ月前後で、各問題AとBで合格者の優秀答案が公開されます。

今回もEssay Q1〜Q5とPTの問題文がそのまま公開されています。
とにかくこの過去問がどの予備校の問題よりも参考になりますから、受験された方は良い結果を祈りつつ、記憶があるうちに見ておくことをオススメします。
ただ、ご自身が受験された問題文を読むと、精神的な平穏は必ずなくなり、どんなに本番でがんばっていても、あれも書けてない、これも出来ていない、こんなフレーズ覚えていないと、落ち込んでしまうことが多いです。そこは各自でバランスをとって、合格発表を待ってから復習するかどうか、判断してください。

個人的な考えですが、そもそも合格の確率をはかる上でもある程度感触を確かめておく必要があります(それでも自分の感覚はあてにならないと控えめに受け取っておくべきです)。万一の結果だったら間違いなくすぐに復習すべきですし、もし合格していたら続く受験生にどれくらい書くとOKなのかフィードバックできますから、いずれにせよ有益だと思って、傷口に塩を塗りつける感覚で?復習していました。

私自身は、試験を受けてから年数が経過していますし、実務で13科目を使うわけではないので、忘れている知識がたくさんあります。ただ、日本の受験生の多くが馴染めなくて、苦手になりがちな、論点抽出・Issue spottingについては、ある程度考え方を共有できるかもしれません。答案を書くのは難しいですが、問題文の読み方はお示しできるように思います。記事や小説を読むのと違って、受験生としてActiveに読む姿勢が必要ですから、それはこの後少し書いてみようと思います。

それにしても、全部を見たわけではないですが、A4用紙2枚にわたる問題文もあり、結構難易度高いのかな、と思ったりしています。受験されたor受験を予定されている皆様はくれぐれも一喜一憂されず、淡々と準備を整えて行ってくださいね。
MPRE・CBT(コンピューターベーステスト)への様式変更について
日本国内でサポートをする受験予備校・コースがなくなっているからか、受験されている方、受験を検討されている方から色々とお問い合わせを受けております。それだけ、日本国内受験者向けの情報が不足しているのかもしれませんね。
既に私の体験は古くなりつつありますが、2日制の最初の受験者でもあるので、可能な限り情報は提供していきたいと思います。

米国で弁護士登録をされる場合、NCBEという全州向け試験機関が実施するMPRE(Multistate Professional Responsibility Examination)を受験して、各州が要求しているスコアに達しておく必要があります。
登録するまでならいつ受験してもいいということもあり、本試験に合格してから受験するという方も少なくありません。
ただ、私は、以前の記事にも書きましたが、Bar Examの前に受験されてみてはどうかという意見です。
(過去記事)
カリフォルニア滞在記~米国司法試験・試験会場下見とMPRE

理由は2つ。
第一に、アメリカで受験するという体験自体に慣れていない方には、比較的負担の軽いMPREで体験しておかれたら良いと思います。MPREはアメリカのどこで受験してもいいわけで、日本からはグアム等近いところを選ばれたらよいわけですが、余裕があれば、カリフォルニア州の、本試験を受験しようと思っている都市の近くで受験すれば、宿泊先やその周辺、交通手段などの下調べになるかと思います。
第二に、合格されたら分かることですが、試験に合格してもそれだけでは何も変わらなくて、弁護士として登録が完了してはじめて資格を名乗れたり、履歴書や名刺に記載することができます。合格を知ってから登録までの時間というのは、そのステータスを活用されたい方にとってはジリジリと待たないといけないです。可能なら、MPREをパスし、Moral Character Determinationを済ましておかれれば、試験に合格されたらあとは宣誓を済ますだけです。

いままでは紙のシートにマークする方式でしたが、昨年NCBEからリリースがあり、2019年の試験から順次コンピューターベースの試験に変更になっていくようです。2020年3月度からは全面的にCBTに移行するようです。
試験の内容自体がかわるわけではありませんが、説明を読むと、受験申込をすると一定数の受験者がランダムにCBT会場に割り振られたりするみたいですね。詳細は必ずNCBEのサイトやFAQをチェックしてください。
Schedule for MPRE Transition to Computer-Based Testing Announced

試験自体は、弁護士倫理に関する択一式の試験で、カリフォルニア州の合格ラインは他より高いものの、それを超えるのはさして困難ではありません。
テキストも、最近では予備校がエントリー商品として無料で提供してくれたりもします(送料はかかりますが)。
各自の判断ではありますが、結局弁護士倫理の科目自体は、EssayやPTでも重要科目の一つでありますから、本番前の余裕ある時期に計画されてみてはいかがでしょうか。